顧客の電話応対ををサポートするコールセンターシステムは、オペレーターの業務効率化や応対品質の向上に必要不可欠なシステムです。ITの進化によって、現在ではさまざまな機能が提供されています。記事では、コールセンターシステムで実現できることや機能一覧、期待できる効果について解説します。
コールセンターシステムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
コールセンターシステム40選|比較・選定ポイントとおすすめ「コールセンターシステム」
コールセンターシステムとは
コールセンターシステムとは、コールセンターの業務をあらゆる側面からサポートするシステムです。オペレーターによる電話対応業務やコールセンター全体のマネジメント業務を支援する多彩な機能を備えており、業務効率化や顧客対応の品質向上に役立ちます。
コールセンターシステムの種類
コールセンターシステムの種類は、以下の2つに大別されます。
●インバウンド型
顧客からの電話を受け付けるのがインバウンド型の業務です。そのため、インバウンドに対応するコールセンターシステムでは、着信からオペレーター対応までの業務を効率化する機能が搭載されています。
●アウトバウンド型
企業から顧客に架電するのがアウトバウンド型の業務です。アウトバウンドに適応するコールセンターシステムには、架電業務を効率化する機能を軸に、顧客対応の質向上を支援する機能を備えたものも提供されています。
コールセンターシステムで実現できること
コールセンターシステムは、CTIとPBXという2つのシステムを要にして業務効率化を可能にしています。また、CRM(顧客関係管理システム)との連携によって、実現できることの幅が広がります。
ここでは、3つのシステムに分けて実現できることを見ていきます。
CTIシステム:電話とコンピュータを統合してコールセンター業務を効率化する
CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピュータを統合するシステムです。これによってパソコンでの受電・架電が可能になり、通話内容の録音やデータベース保存ができるようになります。
CTIでは、着信を自動で適切なオペレーターにつなぐ機能(ACD)や、音声ガイダンスによって自動応答する機能(IVR)、稼働状況のレポートなどによりコールセンター運営の効率化を支援します。また、CRMとの連携により、顧客情報や履歴を見ながらの電話応対が可能になります。
PBXシステム:外線・内線を接続し効率的な振り分けを実現する
PBX(Private Branch eXchange)は直訳すると構内交換機で、外線・内線を接続してコントロールする機能です。PBXがあることで、外線と内線、内線同士の接続・転送が可能になり、複数の外線からの入電をオペレーターに振り分けたり、オペレーター同士で通話できたりといったコールセンターの基本業務ができるようになります。
PBXは、代表番号に着信があった場合に特定の番号に転送できるほか、話中転送・応答遅延転送・圏外転送などさまざまな着信転送機能を備えています。
CRM:顧客情報と連携してスムーズな対応を可能にする
CRMは、顧客情報を管理するシステムです。コールセンター業務にCRMの機能を取り入れることで、よりスムーズな顧客対応を実現します。
たとえば、電話番号から顧客の属性や対応履歴、契約状況などを瞬時に確認できるため、応対業務を効率化できます。また、顧客とのやり取りを記録することで、分析や施策検討などマーケティングや営業に活用できるという利点もあります。
コールセンターシステムの導入で得られる効果
応答率の向上
応答率はコールセンターにおける重要な業務指標(KPI)のひとつです。入電数に対する対応数の割合のことで、電話のつながりやすさを表します。属人的な運営をしているコールセンターは1件あたりの対応時間や前後の処理時間が長い傾向があり、応答率が下がるケースが多く見られます。
コールセンターシステムは業務の一部を自動化することで、コールを効率的に差配します。オペレーターのリソースを有効活用できるようになり、応答率の向上が見込めます。
サービスの品質向上
オペレーターの経験・スキルには個人差があるため、従来型のコールセンターではサービス品質にばらつきが出やすいという課題がありました。
コールセンターシステムを導入すれば、ベテランの応対内容を録音して新人教育に活用したり、応対中にリアルタイムで指示を出したりすることが可能です。応対シナリオをまとめたスクリプトを参照できる機能を活用すれば、経験が浅いメンバーでもスムーズな受け答えが可能です。オペレーターの対応力が向上し、コールセンター全体のサービス品質が平準化すれば、お客様の満足度向上も期待できます。
人件費・通信費の削減
コールセンターシステムでは、従来、オペレーターが対応していた工程を自動化できるため、一人あたりの生産性向上による人件費削減が見込めます。また、効率的な運用により1コールあたりの対応時間が短縮されれば、通信費の削減も期待できます。
コールセンターシステムの機能一覧
コールセンターシステムの主な機能を以下にまとめました。
機能 |
内容 |
---|---|
キューイング |
着信順に通話できるように管理する機能。オペレーターの空きがない場合は音声ガイダンスを流して待機してもらう |
ウィスパリング |
顧客と通話する前に、オペレーターに対して顧客情報や問い合わせ内容などを自動音声で通知する。 |
顧客情報の表示 |
電話番号をもとに顧客情報を検索し、オペレーターのパソコン画面に表示する |
クリックトゥコール |
パソコンの画面に表示された電話番号をクリックして電話をかける |
着信自動振り分け機能(ACD) |
応対可能なオペレーターに着信を自動的に振り分ける。任意にルールを設定し、オペレーターのスキルに応じた振り分けが可能なシステムもある |
自動音声応答機能(IVR) |
自動音声ガイダンスで着信を受け、顧客に問い合わせの種類別にプッシュ操作をしてもらい自動応答する。オペレーターにつなぐこともできる |
トークスクリプト |
オペレーターの模範的な対応をまとめた応対マニュアルを作成・登録する |
通話録音 |
通話内容を録音・保存する。通話内容をテキスト化し、検索や分析に活用できるツールもある |
モニタリング |
応対の通話内容やオペレーターの稼働状況をリアルタイムで把握できる |
検索機能 |
顧客情報や問い合わせへの適切な対処方法を検索し、画面に表示させる |
顧客情報管理機能 |
属性やアクション履歴などの顧客情報を記録・管理する
|
スクリプトカウント |
通話内容をロジカルにチェックし、応対の問題点を示す |
分析・レポート機能 |
オペレーターごとの通話時間や離席・休憩時間、コールセンター全体の着信数・応答数などを集計・グラフ化し、レポートとして表示する |
どの機能が搭載されているかはシステムによって異なります。選択の際は注意しましょう。
コールセンターのレベルを高めよう
コールセンターシステムを導入すれば、属人的で煩雑なコールセンターの業務を効率化し、人件費や通信費を削減することが可能です。また、応答率やオペレーターの対応力の向上にも役立ちます。自社に合ったシステムを導入し、コールセンター業務のレベルアップを図りましょう。
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