ペーパーレス化の推進と業務効率化に役立つOCRサービス(OCRエンジン)。紙の文書管理による手間やコストを削減できる有用なサービスですが、その選定方法に関する情報は乏しいのが現状です。自社に役立つOCRサービスを導入するには、サービスを入念に比較する必要があります。ここでは、OCRサービスの比較選定ポイントと導入時の注意点を解説します。

また、導入実績の多い代表的なOCRサービス(OCRエンジン)をご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。

OCRサービスの比較方法・選び方

OCRサービスを比較選定する際のポイント

OCRサービスを比較選定する際のポイント

 

OCRサービスの比較選定ポイントを4つピックアップしました。

 

■文字認識機能を比較する

OCRサービスを比較選定する際に、まずチェックしたいのが文字認識機能です。認識できる文字(手書き文字・縦書き・ルビ付きなど)や認識精度を比較して、自社のニーズに合うサービスをピックアップしてください。

 

帳票の読み取りにOCRサービスを活用するなら、乱雑な手書き文字(枠外へのはみだし・くせ字など)への対応力もチェックしましょう。帳票の項目を判別する機能も確認してください。

 

文字認識精度については、認識率100%のサービスは存在しません。OCRエンジン(光学文字認識ソフト)の文字認識精度は、高くても90%台後半です。完璧を求めるよりも、上手く業務に組み込むことを意識してサービス選定を進めてください。

 

■連携機能をチェックする

OCRサービスの利便性を左右するのが連携機能です。自社システムと連携できるサービスを選ぶことにより、帳票や文書の入力業務を効率化できます。

 

サービス選定では、API連携への対応をチェックしてください。クラウド型のOCRサービス(インターネット上のOCRソフトを利用するサービス)と自社システムを連携させるには、Web-APIが必要です。

 

RPA(業務自動化システム)を利用している場合は、連携機能も確認しましょう。OCRサービスはRPAと相性のよいサービスです。両者を併用すれば、データ化した帳票のチェックや分類を自動化できます。

 

■コストを比較する

OCRサービスの料金体系およびランニングコストは、サービスごとに異なります。自社のサービス利用方法を踏まえて、コストの比較を行ってください。OCRサービスの料金体系には、以下のようなものがあげられます。

 

  • ページ数単位の定額制(例:年間〇〇ページまで)
  • 読取箇所単位の定額制(例:読取箇所〇〇まで)

 

上記は一例であり、料金体系を公開していないサービスも多数あります。まずは、料金プランのわかるサービスでコストを試算してください。おおまかな費用相場をつかんだら、ほかのサービスの料金も問い合わせてコストを比較するとよいでしょう。

 

■セキュリティ性をチェックする

OCRサービスには、自社のデータを預けることになります。安全に活用できるように、セキュリティ性の高いサービスを選びましょう。

 

OCRサービスのセキュリティ性をチェックする場合は、各サービスのWebサイトにアクセスして、情報セキュリティポリシーを参照してください。情報セキュリティ認定(ISO27001・ISO27017など)を受けている企業のサービスであれば、安全性が高いと判断できます。

課題・ニーズ別に見たOCRサービスの向き・不向きの傾向

課題・ニーズ別に見たOCRサービスの向き・不向きの傾向

 

OCRサービスの選定は、自社の課題・ニーズに合わせて行うことが肝要です。以下の表を参考にして、自社に合うサービスのタイプを検討してください。

 

課題・ニーズ

向き・不向きの傾向

帳票の種類が多く効率的に電子化できるか不安

●課題に向くサービス

・書類仕分けを自動化できるサービス(AIによる自動仕分け)

・簡単に帳票設定できるサービス

※導入前にサンプルで精度を確認するとよい

●不向きなサービス

・細かな帳票設定が必要なサービス

・帳票ごとに有料の設定依頼が必要なサービス

帳票の重要項目だけをデータ化したい

●課題に向くサービス

・読取範囲単位(項目単位)で料金が決まるサービス

●不向きなサービス

・ページ単位で料金が決まるサービス

・ページ単位の定額制サービス

膨大な書類を定額でデータ化したい / 自社のセキュリティ要件が厳しい

●課題に向くサービス

 

・オンプレミス型(自社サーバーにソフトウェアを組み込むタイプ)のサービス

※オンプレミス型は一定額で利用でき、セキュリティ性も高い(ただし初期費用が高額な傾向)

●不向きなサービス

・セキュリティ性が不明確なクラウド型サービス

古い資料や製本した文書をペーパーレス化したい / スキャン作業も丸投げしたい

●課題に向くサービス

・原稿の郵送が可能なサービス

・単発でOCR処理を依頼できるサービス

 

導入時に注意すべき点

(OCRサービス)導入時に注意すべき点

 

OCRサービスを導入する際は、次の2点に注意してください。

 

■スキャンのルールを定める

OCRサービスの導入は、書類のスキャンに関するルールを定めた上で進めてください。スキャンのやり方や質が社員ごとに異なると、OCRサービスの文字認識精度にバラつきが生じます。ルールといっても、以下のような簡単なもので構いません。

 

  • シワをきれいに伸ばしてスキャンする
  • スキャン時に書類が傾かないように注意する
  • グレースケールでスキャンする

 

丁寧かつ画一的なスキャンを心がけるだけで、OCRサービスの文字認識精度は安定します。スマートフォンによる帳票の撮影(スキャンの代用としての撮影)についても、同様のルールを決めておきましょう。

 

■効果測定を前提に導入する

OCRサービスの導入は、導入効果の測定を前提に進める必要があります。費用をかけてサービスを導入しても、期待どおりの効果が得られるとは限りません。業務効率化をサービス導入目的とする場合は、とくに効果測定に力を入れる必要があります。

 

OCRサービスの導入前後で、どのような違いが現れたかチェックする方法を検討しましょう。具体的には、「帳票整理にかかった時間を計測する」「残業時間の推移を確認する」といった方法が考えられます。

 

予算の少ない中小企業でOCRサービスを利用する場合は、とくに効果測定を入念に行ってください。期待どおりの効果が得られない場合は、サービス利用方法の見直しや、帳票の改善などの施策を検討しましょう。
 

OCRサービスの選定を進めよう

OCRサービスを選定する際は、各サービスの文字認識機能とコストを重点的に比較してください。費用対効果を意識して、自社に役立つサービスを選び出しましょう。サービス導入段階では、文書スキャンのルールとサービス導入効果の測定方法を決めることが肝要です。以上の点を踏まえて、まずは具体的なサービス選定を進めてください。

OCRサービス 4選「特徴」と「活用事例」

1.雲紙舎(KUMOGAMISHA)

(参照元:https://scanspecial.jp/service/)

サービス名

雲紙舎(KUMOGAMISHA)

キャッチフレーズ

残さないと消える、紙の情報を次世代に。

サービス概要

裁断しないスキャン代行でも納品精度99.9%以上・高品質スキャニングサービスの雲紙舎です。

雲紙舎は電子化業務でお困りなお悩みをすべて解決
1. あらゆる文書タイプを電子化
2. 徹底品質・徹底セキュリティ
3. あらゆる二次利用に対応

【特長】
・精度99.9%でどんな文書タイプにも対応
・徹底的に品質重視、徹底的にセキュリティ重視
・あらゆる二次利用が可能な価値のあるデータに

(参照元:株式会社雲紙舎ホームページ)

向いてる形態

BtoB/BtoC

導入企業の傾向

紙媒体でデータを保持しているあらゆる企業に対応。

機能一覧

・歴史史料・古文書スキャン
・社内報・社史スキャン
・契約書スキャン
・大判図面スキャン
・冊子スキャン
・重要書類スキャン
・写真スキャン
・絵画スキャン
・国立国会図書館デジタルコレクション
・出張スキャン
・カルテスキャン
・OCR処理
・アマゾンPOD・PDF化
・AI教師データ制作
・再製本

価格

・非破壊スキャン+断裁スキャン  30,000円 / 30000円以上1枚~対応

運営企業

株式会社 雲紙舎

サービス詳細

雲紙舎(KUMOGAMISHA)の詳細を見る

 

2.AIよみと~る

(参照元:https://business.ntt-east.co.jp/service/rpa_aiocr/)

サービス名

AIよみと~る

キャッチフレーズ

帳票処理業務の稼働削減が期待できます

サービス概要

≪手書き帳票データ化サービス≫
手書き書類や帳票の文字読取を行い、データ化するAI技術を使ったOCRサービスです。
大量の書類のデータ化により帳票処理業務の稼働削減が期待できます。
RPAツールに連携することで、入力や読取結果の活用の自動化を進められます。
【特徴】
・読取精度は、96.71%。
・ITに詳しい専門家がいなくても使いこなせる。
・RPAと組み合わせることで、稼働時間を半減!
(参照元:東日本電信電話株式会社HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・手書き書類や帳票の文字読取
・入力や読取結果の活用の自動化

価格

・プラン1(小型)  価格はお問合せください
・プラン2(中型)  価格はお問合せください
・プラン3(大型)  価格はお問合せください

運営企業

東日本電信電話株式会社

サービス詳細

AIよみと~るの詳細を見る

 

3.FAXOCRシステム MELFOS(メルフォス)

(参照元:https://www.mdsol.co.jp/lp/melfos/)

サービス名

FAXOCRシステム MELFOS(メルフォス)

キャッチフレーズ

FAXで送信された書類を、自動的に認識しデータ化

サービス概要

MELFOS(メルフォス)は、FAX特有の、傾斜、縮小、汚れ、カスレ等に対応した高性能な文字の読み取り・認識技術を持つ、FAXOCRシステムです。365日24時間のFAX自動受付を実現でき、受発注業務、集計業務、報告業務の効率化、省力化を可能とします。サービス形態は、クラウド型とオンプレミス型の2種類で、環境を問わず導入が可能です。

【導入効果】
・入力作業が1/3から1/10になります。
・受信イメージを、直接イメージデータで保存、業務のペーパーレス化を進めます。
・手入力ではないので、入力ミスが激減します。

{参照元:三菱電機ITソリューションズ株式会社 HP}

向いてる形態

BtoB/BtoC

導入社数

約 200 社

(2021年04月09日時点)

機能一覧

・多変量解析による高性能文字認識エンジン
・手書き文字認識エンジン(ハイブリッドエンジン)
・QRコード認識
・いろいろなデザインの帳票に対応
・効率的な確認・修正画面

運営企業

三菱電機ITソリューションズ株式会社

サービス詳細

FAXOCRシステム MELFOS(メルフォス)の詳細を見る

 

4.AIスキャンロボ

(参照元:https://aiocr.ai/)

サービス名

AIスキャンロボ

キャッチフレーズ

テンプレート作業から解放 進化するAI-OCR

サービス概要

AIスキャンロボ®とは、AI(人工知能)によるOCRデジタルスキャナーです。
専門的な知識と高度なプログラミング能力を持つエンジニアによるAI開発により、高い文字認識精度と簡単なテンプレート設定が可能です。
担当者を事務作業の手間から開放し、大幅なコストダウン・業務効率化を実現することで、御社の「働き方改革」に大きく貢献します。
【選ばれる理由】
・高い認識率を誇るAI-OCR
・テンプレート作成はお任せ
・複雑帳票・多種類の読み取りに強み

(参照元:ネットスマイル株式会社)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・複数ページの ファイルの読み取り
・オート セグメンテーション機能
・パターン学習読取り機能
・データベース マッチング機能
・後処理ルール機能
・直感性の高い コンファメーション画面
・多段組の行構成の 帳票の読み取り
・複数の表組が存在する 帳票の読み取り
・テンプレートの自動判別

価格

・価格はお問合せください

運営企業

ネットスマイル株式会社

サービス詳細

AIスキャンロボの詳細を見る