業務用のスマートフォンやタブレット等のモバイル端末を一括管理する「EMM(エンタープライズモビリティ管理)」。煩雑になりがちな端末管理の効率化やセキュリティ強化に役立ちます。本記事では、EMMで実現できることや機能一覧、導入するメリット・効果を紹介します。

EMMの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
EMM 28選|比較・選定ポイントとおすすめ「統合管理システム」の特徴

EMMとは

EMM(Enterprise Mobility Management:エンタープライズモビリティ管理)とは、企業が業務で使用するスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を統合管理するシステムのことです。

 

EMMには各端末を管理する機能のほか、業務で使用するアプリケーションやコンテンツを制御する機能などが備わっており、効率的かつセキュアな端末運用を実現します。近年、業務のデジタル化推進のためにモバイル端末の活用が進んでおり、EMMを導入する企業も増えています。

EMMで実現できること

EMMで実現できること

 

EMMを導入すると、以下の4つを実現できるようになります。

モバイル端末の基本情報の収集・管理

業務用のスマートフォンやタブレットを適切に運用するには、各端末の使用状況をしっかり管理することが大切です。EMMでは、各端末の設定・使用情報やユーザー情報を集約して一括管理することができます。

 

  • 端末情報の収集・管理
  • ユーザー管理

遠隔操作で端末をロック・初期化

モバイル端末は社外で使用することが多いため、紛失・盗難を想定したセキュリティ対策が求められます。EMMには遠隔操作でロックをかけたりデータを削除したりする機能が備わっており、緊急時でも適切に対処できます。

 

  • リモートロック
  • リモートワイプ

業務で使用するアプリケーションの一括管理

EMMでは業務で使用するアプリケーションの一括配布や利用制限が可能です。また、仮想専用線(VPN)によって業務用のアプリのみを格納する領域が生成され、プライベート用と分けて管理することができます。

 

  • アプリケーションの配布・利用制限
  • 業務領域とプライベート領域の分離
  • 業務領域のデータおよび通信の暗号化
  • 領域をまたぐコピー・移動をブロック
  • 業務領域のデータの削除

業務で使用するコンテンツやデータの一括管理

EMMでは、アプリ内のコンテンツ・データやアクセス権限も管理することができます。

 

  • 安全な通信環境の構築
  • コンテンツへのアクセス権限を管理
  • コンテンツ保管時の暗号化

EMMの導入で得られる効果

EMMの導入で得られる効果

 

EMMの導入により、以下の4つの効果・メリットが期待できます。

情報セキュリティリスクの低減

モバイル端末は社外に持ち出して使用することが多いため、紛失・盗難による情報漏えいや不正アクセスのリスクが高い傾向があります。EMMでは緊急時にリモートロックやリモートワイプなどで端末内のデータを保護・消去することができるため、セキュリティ上のリスクを低減できます。

端末の不正利用の防止

安全性が確認されていないアプリケーションやデータの利用は、ウイルス感染やハッキングの原因となります。EMMでは業務用端末のアプリケーションやコンテンツのインストール・利用を制限できるため、不正利用によるリスクを防止できます。

端末管理の効率化

モバイル端末を一括管理できるEMMを導入すれば、アクセス制御やアプリ管理などを個別に行う必要がなくなります。端末ごとの使用状況もリアルタイムで把握できるため、管理担当者の負担が軽減します。

安全なBYOD環境の構築

EMMでは端末内の領域を業務用とプライベート用で分けて管理できるため、従業員の個人端末を業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」を推進しやすくなります。

EMMの機能一覧

EMMは、以下の3つの要素で構成されています。

 

  • MDM(Mobile Device Management)
  • MAM(Mobile Application Management)
  • MCM(Mobile Contents Management)

 

各要素の主な機能は以下の通りです。

 

機能

内容

モバイル端末管理(MDM)

各端末の設定や使用状況を管理する機能

●端末情報の収集・管理

●ユーザー管理

●アプリケーションの配布

●アプリケーションの利用制限

●リモートロック・リモートワイプ

モバイルアプリケーション管理(MAM)

端末内のアプリケーションを管理する機能

●業務領域とプライベート領域の分離

●業務領域のデータおよび通信の暗号化

●領域をまたぐコピー・移動をブロック

●業務領域のデータの削除

モバイルコンテンツ管理(MCM)                

端末内のコンテンツを管理する機能

●安全な通信環境の構築

●コンテンツへのアクセス権限を管理

●コンテンツ保管時の暗号化

 

どの機能が搭載されているかはツールによって異なります。選択の際は注意しましょう。

EMMでモバイル端末の運用管理を効率化

EMMにはMDM・MAM・MCMの機能が統合されており、モバイル端末を効率的かつセキュアに運用管理することができます。基本的な端末管理だけではなく、業務用とプライベート用で管理領域を分けることもできるため、BYODの推進にも役立ちます。

 

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