BCP対策の一環として、災害時でも従業員の安否状況を速やかに把握できる「安否確認システム・アプリ(安否確認サービス)」を導入する企業が増えています。現在では様々な機能が提供されているため、自社に適したものを見極めるのが難しい状況です。ここでは、自社に最適な安否確認システムを選定するための比較ポイントや、導入時の注意点を説明します。
また、導入実績の多い代表的な安否確認システム(安否確認サービス)をご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
安否確認システム・安否確認サービスの比較方法・選び方
安否確認システムを比較選定する際のポイント
安否確認システムを選定する際、チェックしておきたいのは以下の5つのポイントです。
- 自社に必要な機能が備わっているか
- 適切なセキュリティ対策が講じられているか
- 平常時にも使用できるか
- 予算に合った料金体系か
- 導入時・導入後にしっかりとサポートしてもらえるか
各項目を詳しく見ていきます。
■自社に必要な機能が備わっているか
安否確認システムの基本機能は、安否確認メールの送信・回答・集計の3項目に大別できます。しかし、それぞれの詳細機能は製品によって異なります。以下のチェックポイントを参考に、自社が求める機能を備えているか確認してください。
機能 |
チェックポイント |
---|---|
安否確認の送信 |
・どのような送信手段が可能か(メール・SMS・アプリ・電話など) ・災害情報と連動した自動送信が可能か ・家族の安否確認もできるか |
回答機能 |
・どのような回答手段が可能か(メール・アプリ・音声自動応答など) |
安否状況の集計 |
・回答状況を自動集計できるか ・通知や回答の到達・未達を確認できるか |
その他 |
・掲示板機能があるか(情報共有、指示出しをスムーズに行える) |
このほか、送信機能には予約配信ができるものや、未回答の人に対して自動再送信できるものもあります。回答機能では、管理者が代理回答できる機能なども提供されており、製品によってさまざまです。
選定の際は「自社に必要な機能が網羅されているか」を確認することが大切です。災害時にどのような機能が必要かを検討し、過不足なく搭載されているものを選びましょう。
■適切なセキュリティ対策が講じられているか
安否確認システムでは従業員の個人情報を取り扱うため、情報漏えいや不正アクセスを防止できる対策がとられているかどうかもチェックしておきたいポイントです。以下のような機能やセキュリティ認証を受けているシステムであれば、セキュアな運用が期待できます。
- アクセス権限の管理
- 通信の暗号化
- プライバシーマーク審査基準に適合
- 情報セキュリティマネジメント(ISMS)認証
■平常時にも使用できるか
安否確認システムは、緊急時だけではなく平常時にも使用できることが望ましいといえます。なぜなら、普段から使い慣れていなければ、いざという時にスムーズに使えない可能性があるからです。
また、一般に安否確認システムは災害の有無にかかわらず運用コストが発生するので、平常時にも業務上の社内連絡に使用できるものであれば、費用対効果の面でも検討しやすいといえるでしょう。
■予算に合った料金体系か
安否確認システムの多くは月額制となっています。ただし、料金体系は製品によって異なります。1人当たりの月額料金が決まっていて従業員数に応じて変動するものや、50〜100名単位で段階的に月額料金が設定されているものなどがあります。
初期費用やオプション料金が別途かかるケースもあるため、自社の導入規模と使用する機能から概算を出し、予算内におさまるか確認しましょう。
■導入時・導入後にしっかりとサポートしてもらえるか
安否確認システムを導入しても、管理者や従業員がシステムの機能・仕組みを正確に理解していなければ、災害時に混乱を招く可能性があります。そのため、安否確認システムを選ぶときは、ベンダーによるサポート体制についても確認しておきましょう。
ベンダーによっては、問い合わせ対応のほか、システムの導入支援や管理者向けの説明会を実施するなど、スムーズな導入・運用をサポートしてくれるところもあります。
課題・ニーズ別に見た安否確認システムの向き・不向きの傾向
どのような安否確認システムを選ぶべきかは、自社の課題によっても変わってきます。以下に課題・ニーズ別の向き・不向きの傾向をまとめました。
課題・ニーズ |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
災害情報をいち早くキャッチしたい/速やかに安否確認メールを配信したい |
管理者に気象庁の災害速報の通知が入るとともに、安否確認メールが自動配信されるシステムが適している。たとえば地震の場合、自動配信の条件として「震度5以上」などの設定が可能 |
従業員数が多いため、回答状況の管理負担を軽減したい |
「自動再配信機能」がある安否確認システムであれば、未回答の従業員に対して繰り返し安否確認メールを配信するため、フォローの手間が省ける |
従業員の連絡先情報の更新を効率的に行いたい |
メールアドレスのクリーニング機能があるサービスが便利。人事情報と連携できるシステムであれば、シームレスな運用が可能 |
従業員の家族の安否確認も行いたい |
「家族安否確認機能」があるシステムがおすすめ |
様々な情報を従業員に一斉連絡できるようにしたい/従業員からの情報も共有したい |
「掲示板機能」がある安否確認システムであれば、企業の対応方針を周知しやすい。従業員による書き込み・閲覧も可能 |
外回りの社員が多いため、災害時は所在がスムーズに確認できるようにしたい |
GPS機能が利用できる安否確認システムであれば、誰がどこにいて、どのような状況かマップ上で把握できる |
日本語が苦手な外国人の従業員がいる |
英語表記に対応している安否確認システムが良い |
使い勝手を確かめてから導入したい |
無料トライアルが利用できる安否確認システムが適している |
安否確認システムの導入時に注意すべき点
安否確認システムをスムーズに運用するには、従業員の理解・協力が不可欠です。安否確認システムを導入する際は、導入目的や機能、災害発生時の具体的な使用方法などについて従業員に周知する機会を設け、非常時対応の意識向上を促しましょう。
導入後は、防災訓練の一環として安否確認システムによる一斉送信・回答をひと通り実施することをおすすめします。体験を通して安否確認の流れがわかれば、実際に災害が発生した場合でも管理者・従業員とも慌てずに対応しやすくなります。
安全で使いやすい安否確認システムを選定しよう
安否確認システムを選定する際は、自社に必要な機能が過不足なく搭載されているか、適切なセキュリティ対策が講じられているかを確認しましょう。災害時以外でも使用できるものであれば、費用対効果の面もクリアしやすくなります。ここで紹介した比較ポイントを参考に、自社のBCP対策に適した安否確認システムを見つけてください。
安否確認システム・安否確認サービス3選
1.緊急メール連絡板
(参照元:https://www.em-contact.com/)
サービス名 |
緊急メール連絡板 |
キャッチフレーズ |
簡単操作で、安否確認、自動発報&一斉配信&回答状況 |
サービス概要 |
「緊急メール連絡板」は、大規模地震や台風といった自然災害などの緊急時に、社員・職員の安否状況の確認・集計や緊急連絡を行うことができるサービスです。また、普段から会議・イベントの出欠確認や緊急連絡事項通達などの連絡網としてもお使いいただくことができます。BCP対策、連絡業務の効率化にぜひご導入をご検討ください。 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
|
サービス資料 |
導入した企業の声
株式会社データコントロール:
導入目的は、台風や地震などの自然災害時に社員の安否確認を行うため。緊急メール連絡板を活用することで、リーズナブルな費用で必要な機能が利用でき、緊急時の連絡の他に、社内連絡・通達や、社内アンケートなどにも活用できています。
2.安否確認サービス2
(参照元:https://anpi.toyokumo.co.jp/)
サービス名 |
安否確認サービス2 |
キャッチフレーズ |
安否確認を自動化するなら |
サービス概要 |
安否確認システムは、地震をはじめとする自然災害が発生した際に、早期の事業復旧を目指すためには、欠かせないシステムです。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
導入社数 |
約 2000 社 (2021年02月26日時点) |
機能一覧 |
・災害に連動して 自動で安否確認を送信 |
価格 |
・ライトプラン 6,800円 / 月額(50ユーザー〜) |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
3.Biz安否確認/一斉通報
(参照元:https://www.ntt.com/business/services/application/risk_management/anpi.html)
サービス名 |
Biz安否確認/一斉通報 |
キャッチフレーズ |
法人向け安否確認システム |
サービス概要 |
【特長】 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・自動登録 |
価格 |
・お手軽導入プラン(初期費用) 110,000円 / 税込・企業毎 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |