部品・製品の品質を保証するために行われる外観検査を自動化する「外観検査装置(AI外観検査装置)」。検査精度や生産効率の向上が期待できることから、製造業を中心に需要が高まっており、様々な製品が提供されています。本記事では、外観検査装置を比較選定するポイントや導入時の注意点を解説します。
また、導入実績の多い代表的な外観検査装置をご紹介します。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
外観検査装置の比較方法・選び方
外観検査装置を比較選定する際のポイント
外観検査装置を比較選定する際、特にチェックしておきたいのは以下の4つの項目です。
- 検知可能な欠陥の種類
- 良否の判定方法
- コスト
- サポート体制
各項目を詳しく見ていきます。
■検知可能な欠陥の種類
外観検査装置で検出可能な欠陥には以下のものがあり、どのような欠陥の検出を得意としているかは製品によって異なります。
- キズ・汚れ・変形
- 位置・角度のズレ
- 色ムラ
- 異物混入
- 部品の欠損
- ラベル不良
自社の検査対象物および想定される欠陥の種類に対応可能な外観検査装置を選定しましょう。
■良否の判定方法
外観検査装置のタイプは「ルールベース型」と「AI型」の2種類に大別されます。
- ルールベース型
あらかじめ良品・不良品の判定基準を設定し、それに合致するかどうかで判定する方法です。欠陥のパターンが明確な場合に適しており、判定項目として重量や形状、色などを設定することができます。 - AI型
良品・不良品の画像データをAIが学習・分析し、自ら特徴を分類して良否判定を行う方法です。ルールベース型のように判定基準を明確に定義づける必要がないため、想定される欠陥のパターンが多い場合でも対応しやすく、ディープラーニングによる検知精度の向上も期待できます。
自社の検査内容をふまえて適したタイプを導入しましょう。
■コスト
外観検査装置はカメラ・照明・画像処理装置(ソフトウェア)などで構成され、数百万円~数千万円の導入コストかかります。多くの場合、初期設定や動作プログラム(ティーチング)は専門家(システムインテグレーター)に依頼する必要があり、その費用も別途必要です。
価格は公表していないところが多いため、選定時はメーカーに問い合わせをして見積もりをとりましょう。また、導入に伴う生産性向上や人件費削減などをふまえ、費用の回収期間・償却期間をシミュレーションしておくことも大切です。
■サポート体制
外観検査装置は、自社の用途や設置予定の生産ラインにしっかりと適合させる必要があるため、メーカーのきめ細かなサポートが欠かせません。導入から設計、アフターフォローまで、どのようなサポートを受けられるのかを確認しておきましょう。テスト機の貸し出しサービスや、自社オペレーターのトレーニングサービスなどがあるほうが望ましいです。
課題・ニーズ別に見た外観検査装置の向き・不向きの傾向
どのような画像検査装置を選ぶべきかは、自社の課題によっても変わってきます。
以下に課題・ニーズ別の向き・不向きの傾向をまとめました。
課題・ニーズ |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
増産に伴い、生産ラインにおける目視での全数検査が困難になった |
インライン検査に対応しており、自社の生産ラインに設置可能な外観検査装置が適している |
検知すべき欠陥のパターンが多く、判定基準の設定が難しい |
機械学習によって欠陥検出を行うAI型の外観検査装置であれば、ルールベース型では定義しづらく検知しきれない欠陥にも対応しやすい |
過検出・検出漏れが多く、判定基準をたびたび調整し直す必要がある |
AI型の外観検査装置であれば、ディープラーニングによって判定基準を最適化できる |
外観検査と連動した軽作業も自動化したい |
不良品の排出や箱詰めといった軽作業にも対応可能な外観検査装置が向いている |
外観検査装置の導入ノウハウがない/自社で使いこなせるか不安 |
初心者でも直感的に操作できる仕様の製品や、導入・運用時に適切なサポートが受けられる製品が適している。導入前にデモ機を貸し出してもらえるところもある |
外観検査装置の導入時に注意すべき点
外観検査装置を導入する際は、以下の2点に留意しましょう。
■最初からすべての検査工程を自動化しない
外観検査の対象となる部品・製品が多い場合、対象物ごとに良否判定のプログラムを設定する必要があるため、多くの手間やコストがかかります。導入当初から完全自動化を目指すと、運用が複雑になってトラブルが起こりやすく、かえってマンパワーやコストがかさむ要因になるため注意が必要です。
まずは自動化の効果が出やすい検査に絞って導入し、経験を積みながら対象範囲を拡大していくことをおすすめします。
■検査のオペレーション体制を整える
外観検査装置を導入すると、従来と検査のオペレーションが大きく変わる場合があるため、全体の流れを確認して適切な運用体制を整えておくことが肝要です。自動化する工程と人が担う工程を整理し、適切な人員配置およびトレーニングを実施しましょう。
検査内容にマッチした外観検査装置を選定しよう
外観検査は製造業に欠かせない品質検査であり、必要な検査項目は取り扱う製品・部品によって変わってきます。外観検査装置を選定する際は、対応可能な欠陥の種類や良否の判定方法が自社の検査内容にマッチしているかを比較検討し、さらにコストやサポート体制を確認して最適なものを見極めましょう。
外観検査装置 1選
1.DEEPS
(参照元:https://www.deeps.pathoslogos.co.jp/)
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導入した企業の声
新光ゴム工業株式会社 伊藤 貴紀様:
導入目的は、検査員の目による外観検査では、人員の高齢化や精度が健康状態に左右されるため。DEEPSを活用することで、ベテランでも経験値の浅い新人でもほぼ同じ品質レベル・検査スピードが保てることになりました。