社用車の車両情報や運行情報を一元管理し、車両管理業務の効率化や安全運転のサポートができる車両管理システム(車両管理アプリ)。市場にはさまざまなタイプが提供されており、自社に適したものを見極めるのが難しいという声も聞かれます。ここでは、車両管理システムを選定するポイントや導入時の注意点を説明します。

また、導入実績の多い代表的な車両管理システムをご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。

車両管理システムの比較方法・選び方

車両管理システムを比較選定する際のポイント

車両管理システムを比較選定する際のポイント

 

車両管理システムを選定する際、チェックしておきたいのは以下の4つのポイントです。

 

  • 自社の業種・業態に対応しているか
  • 目的に合った機能が備わっているか
  • デバイスのタイプは自社に合っているか
  • 料金は予算に合っているか

 

各項目を詳しく見ていきます。

■自社の業種・業態に対応しているか

企業が保有・使用する社用車には営業車やトラック、バス、タクシーなどがあり、業種・業態によって異なります。適切な車両管理体制は業種や社用車のタイプによって変わってきます。そのため、車両管理システムを選定する際は業種にフィットしたものを選定してください。例えば、運送業に特化したシステムであれば、複数のトラックによる中継や集荷・集配などの管理機能が充実しています。

■目的に合った機能が備わっているか

車両管理システムに搭載されている機能は製品によって異なるため、自社の目的に合った機能があるものを選ぶことが大切です。一般的な車両管理システムの機能例を以下に挙げます。

 

  • 車両予約
  • 車両の稼働状況の管理
  • 車両情報の管理
  • リース契約情報の管理
  • 車検・メンテナンス情報の管理
  • 位置情報の把握
  • 到着時間の予測
  • 走行データ集計
  • 運転日報管理
  • 安全運転診断・危険運転検知
  • 事故情報の管理

 

「車両管理業務を効率化したい」「ドライバーの負担を軽減したい」など目的によって必要な機能は変わってきます。「何のために車両管理システムを導入するのか」を検討し、適切な車両管理システムを選定しましょう。

 

■デバイスのタイプは自社に合っているか

車両管理システムの導入形態(デバイスタイプ)は主に4タイプに分類されます。それぞれの特徴を以下にまとめました。

 

OBD-II ポート型

車内の差し込みポートに専用デバイスを設置する。自動車の自己診断機能「OBD-II」が走行距離・速度などの運行情報を取得。工事・配線は不要

シガーソケット型

車内のシガーソケットにデータ取得・通信用の専用デバイスを設置する。ソケットに差し込むだけなので手軽に導入できる

アプリ型

スマートフォンやタブレットに車両管理アプリをダウンロードして使用する。導入しやすいが、バッテリー切れやGPSをオフにすると運行データを取得できなくなるため注意が必要

デジタルタコグラフ搭載型

走行速度・距離・時間などの運行情報を記録する「デジタルタコグラフ」を設置する。OBD-IIより高性能だが業者による配線工事が必要。機器の費用が高いため初期コストがかかる

 

デバイスタイプによって設置方法や費用感が変わってくるので、自社に導入しやすいタイプを選びましょう。

 

■料金は予算に合っているか

料金体系もあらかじめチェックしておきたいポイントです。一般的な車両管理システムの料金体系は月額制で、月額料金の単位は「車両1台あたり」「ユーザー1人あたり」などに分かれています。機能によってプランのグレードが分かれている場合もあるので、自社に必要な機能と照らし合わせて検討しましょう。 

 

また、月額料金とは別にデバイス代や設置費用などの初期費用も見積もっておく必要があります。導入コストと運用コストの概算を出し、予算に合っているかチェックしてください。

課題・ニーズ別に見た車両管理システムの向き・不向きの傾向

課題・ニーズ別に見た車両管理システムの向き・不向きの傾向

 

どのような車両管理システムを選ぶべきかは、自社の課題によっても変わってきます。以下に課題・ニーズ別の向き・不向きの傾向をまとめました。

 

課題・ニーズ

向き・不向きの傾向

初期コストを抑えて手軽に導入したい

デバイス不要のアプリ型やシガーソケット型が適している。配線工事が必要でデバイス代が高額なデジタルタコグラフ搭載型は不向き

買取車・リース車・私有車が混在していて管理しにくい

車両の保有形態にかかわらず一括管理ができる車両管理システムが適している

社用車が多く、車両のメンテナンスや保険などの情報管理が煩雑でミスが見受けられる

車両の基本情報・リース契約情報・車検情報の管理機能が充実している車両管理システムが向いている。保険の更新日が近づくと通知が入るものもある

ドライバーの日報業務を効率化したい/運転日報のデータ精度を高めたい

走行データを自動集計し、日報に自動反映される機能が備わっている車両管理システムが良い

輸配送業務を効率化したい

配送計画機能やルート設計機能が充実しているシステムであれば、配送ルート・配送する店舗の順番・配荷数量・到着時間などを適切に管理できる。輸送業に特化した車両管理システムもある

ドライバーの運転技術を高めたい/安全運転を徹底したい

安全運転診断機能や危険運転検知機能が搭載されている車両管理システムがおすすめ。走行スピードやハンドリングを計測し、安全な運転技術の向上に役立てられる。危険運転を検知・アラート通知するものもある

車両管理システムの導入時に注意すべき点

車両管理システムの導入時に注意すべき点

 

車両管理システムを導入すると、車両の現在地や運行状況をつぶさに確認・共有できるようになります。そのため、「会社に常に監視されているようで抵抗がある」と感じるドライバーも出てくるでしょう。車両管理システムを導入する際は、目的・運用方法のほか、ドライバーにも業務上のメリットがあることを丁寧に説明し、その必要性を理解してもらうことが大切です。

業務効率化に役立つ車両管理システムを選定しよう

車両管理システムを選定する際は、まず自社の業種・業態にマッチしているかを確認しましょう。そのうえで、導入目的や自社の課題に合った機能の有無、デバイスのタイプをチェックすることで有力候補を絞り込めます。ここで紹介したポイントを参考に、自社の社用車を適切かつ効率的に管理し、安全運行をサポートできる車両管理システムを見つけてください。

車両管理システム 7選「特徴」と「活用事例」

1. Cariot(キャリオット)

(参照元:https://www.cariot.jp/)

サービス名

Cariot(キャリオット)

キャッチフレーズ

クルマと企業をつなぐドライバーの働き方改革クラウド

サービス概要

車両動態管理クラウドサービスCariot(キャリオット)はリアルタイム位置情報活用と車両管理業務のDXにより、現場の業務効率化と安心・安全を提供!

車載デバイスまたはスマホアプリを用いクルマのデータをかんたん、リアルタイムに取得・可視化、データを活用、ドライバーを中心に管理者やスタッフ、顧客などクルマに関わる全ての人の働き方改革を支援

車両位置情報のリアルタイム共有によるコラボレーション体験の提供、デジタル運転日報による業務の効率化、アルコールチェックの結果管理、車両やドライバーの台帳管理、日常点検、危険運転等のレポート・グラフ機能により現場が回る安全・コンプライアンスを強化します

向いてる形態

BtoB

導入社数

約 250 社

(2022年12月31日時点)

導入企業の傾向

中小企業を主として、製造業の自社便やトラック運送業はもちろん、収集運搬車両や、建設車両、送迎車、営業・サービス車両等、さまざまな業種でご利用いただいております。

機能一覧

・DriveView(リアルタイム位置情報管理)
・DriveCast(リアルタイム位置情報共有)
・走行記録・危険運転管理
・運転日報・月報
・ドライバー・車両台帳管理
・アルコールチェック結果管理
・車両日常点検
・車両予約
・レポート&ダッシュボード(分析機能)

価格

・価格はお問合せください

運営企業

株式会社フレクト

サービス詳細

Cariot(キャリオット)の詳細を見る

サービス資料

 

導入した企業の声

UCCコーヒープロフェッショナル株式会社:

導入目的は、1日の業務時間の大半が運転で、一人ひとりの営業活動の細かな“見える化”ができていなかったため。Cariotを活用することで、全国一律の基準で可視化することができるようになり、地方ごとに配送課題の特性が浮き彫りになりました。

 

2. クラウド車両管理システム SmartDrive Fleet

(参照元:https://smartdrive.co.jp/fleet/)

サービス名

クラウド車両管理システム SmartDrive Fleet

キャッチフレーズ

ドライバーの安全と車両管理を効率化

サービス概要

SmartDrive Fleetは車両管理に関する悩みを解決するクラウド型の車両管理システムです。シガーソケットにデバイスを挿すだけで利用することができますので工事が不要で、すぐに使い始めることが可能。
車両の現在位置をパソコンやスマートフォンアプリでリアルタイムに把握することが可能で、運転日報もアプリから入力することでドライバーの工数と管理コストを削減することができます。
また、安全運転の度合いを自動で計測する独自技術により、事故が起きる前のヒヤリハットを検知することで事故削減の取り組みを行うことも可能です。

向いてる形態

BtoB

運営企業

株式会社スマートドライブ

サービス詳細

クラウド車両管理システム SmartDrive Fleetの詳細を見る

 

導入した企業の声

株式会社東集 代表取締役 望田 竜太様:

導入目的は、材木物流業界の人手不足が深刻で、業務効率化の必要があるため。SmartDrive Fleetを活用することで、リアルタイムに車両の現在地が分かるため、問い合わせに対してタイムリーな対応が可能になりました。

 

3. 自動配車クラウド「Loogia」

(参照元:https://loogia.jp/)

サービス名

自動配車クラウド「Loogia」

キャッチフレーズ

圧倒的な配車精度で配車を完全自動化へ

サービス概要

自動配車システム「Loogia(ルージア)」は、ラストワンマイル配送におけるルート最適化を目的としたクラウドサービスです。「どの車両が、どの訪問先を、どの順に、どういうルートで回るか」という配車計画を短時間で作成します。
実際の走行車両から収集したビッグデータを用いて経路探索を行うことで、計画通りに走れる「ズレない」自動配車を実現。また、国内最高峰のアルゴリズム研究によるメタヒューリスティクス技術を用いて、ラストワンマイルならではの制約を考慮した「実際に現場で使える配車計画」を提案します。使いやすさを追求したシンプルな操作画面で、誰でも明日から使い始められる自動配車システムです。

向いてる形態

BtoB/BtoC

導入社数

約 160 社

(2023年02月22日時点)

導入企業の傾向

ラストワンマイル配送を行う企業様 / 宅配・プロパンガス・店舗配送・家具家電・宅食・食品卸・宅配水・リネン・鉄鋼製品・食品メーカー・陸運・医薬品・自動販売機など、幅広い業種でご利用いただけます。

機能一覧

・車両タイプ・積載量登録
・配送先の一括入力
・道路混雑や交通規制の考慮
・左付け・Uターン禁止等の走行条件
・回転数の設定
・時間指定や荷量の考慮
・配車計画の詳細を確認
・配車計画の手直し
・ドライバー用音声ナビ
・配車表の出力
・配送実績の出力

価格

・価格はお問合せください

運営企業

株式会社オプティマインド

サービス詳細

自動配車クラウド「Loogia」の詳細を見る

サービス資料

 

導入した企業の声
株式会社シンエイ・ネクサス:

導入目的は、当日注文でも配送に対応しながら配車担当のストレスを軽減すること。

Loogia導入後は、最適なルートを考えるというストレスが非常に少なくなりました。

配送シミュレーションの精度が高く、新しい配送拠点に移転後も混乱なく配送できました。

 

4. ビークルアシスト

(参照元:https://mobility-service.pioneer.jp/cloud/)

サービス名

ビークルアシスト

キャッチフレーズ

これからは、運行”管理”+運行”支援”へ

サービス概要

ポイント
・クラウド型運行管理サービス「ビークルアシスト」は、管理者の負荷を少なくし、継続的に運用できる「運用の自動化」をコンセプトに開発しています。
・事故削減/運行業務効率化/管理業務省力化など、車両運行業務に関わる様々な課題解決を支援します。
・業種やニーズ、使い方などに応じて、お客様に適したサービスや対応端末を提供します。お客様自身の開発が不要なパッケージサービスのため、業務を改善・効率化する様々なサービスを手軽に導入できます。

(参照元:パイオニア株式会社HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・日々の安全運転指導を自動化
・一歩踏み込んだ安全運転指導も楽に
・コース作成
・経験の浅いドライバーを即戦力化
・問い合わせや緊急時にもスムーズに対応
・日報・月報を自動作成
・業務分析に効く、様々なレポートを自動作成
・動態管理

価格

・価格はお問合せください

運営企業

パイオニア株式会社

サービス詳細

ビークルアシストの詳細を見る

 

5. Linkit Maps

(参照元:https://linkit.access-company.com/map/)

サービス名

Linkit Maps

キャッチフレーズ

GPSで地図上の 居場所に応じたコミュニケーション

サービス概要

ポイント
・現在位置・移動履歴をチームで共有
・現場や顧客先などを固定スポットとして共有
・位置情報を起点にチームでコミュニケーション

(参照元:株式会社ACCESS HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

価格

・GPS共有チャット Linkit Maps  500円 / 月額通信料(1IDにつき)
・業務用小型GPSセンサー GPS SLIM  9,800円 / 端末料金
・業務用小型GPSセンサー GPS SLIM  500円 / 月額通信料

運営企業

株式会社ACCESS

サービス詳細

Linkit Mapsの詳細を見る

 

6. 無事故プログラムDR®

(参照元:https://dr.biprogy.com/)

サービス名

無事故プログラムDR®

キャッチフレーズ

社用車の運転を「見える化」して事故を防ぐ。

サービス概要

ドライブレコーダーとテレマティクスを組み合わせた管理者向けの安全運転支援サービスです。
・危険運転をリアルタイムでメール通知 個人の運転傾向を把握し、未然に事故を防止
・バック時走行の「見える化」で、駐車場内の事故対策に!
・画像認識機能の追加で、交通違反の疑いのある危険運転も「見える化」
・速度超過の発生時もメールで即時通知します


(参照元:日本ユニシス株式会社HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

導入社数

約 1200 社

(2021年02月10日時点)

機能一覧

・リアルタイム危険運転通知
・危険運転データ閲覧
・グループ分析
・安全/エコ運転分析
・運行日報・運行経路

価格

・無事故プログラム DR®  0円 / 初期費用
・無事故プログラム DR®  2,980円 / から月額(1台につき)

運営企業

日本ユニシス株式会社

サービス詳細

無事故プログラムDR®の詳細を見る

 

7. 車両管理BPO

サービス名

車両管理BPO

キャッチフレーズ

車両管理業務の受託 (BPO)

サービス概要

お客様が実施している車両管理業務を包括的に業務受託するサービスです。
現在お客様が実施している業務内容の見直しを行ったうえで、業務受託を行います。
【特長】
・経営資源の集中
ノンコア業務を外部委託することで、限られた人員や時間をよりコアな部分に集中させることができます。
・コスト削減
・車両関連情報と窓口の一本化
・専門スキルを活用した管理業務プロセスの改善
・業務継続性の確保
マニュアルや帳票類、業務プロセスを整備することで、車両管理業務の安定運営が確保されます。
(参照元:三菱オートリース株式会社HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

機能一覧

・現状把握
・情報収集・分析
・BPR
・サービス開始
・モニタリング
・改善・見直し

価格

・価格はお問合せください

運営企業

三菱オートリース株式会社

サービス詳細

車両管理BPOの詳細を見る