各種申請・承認の電子化や業務の流れを可視化し、業務効率の向上を実現するワークフローシステム。ペーパーレス化や申請・承認のスピードアップができるほか、内部統制の強化に役立つ多様な機能が提供されています。ここでは、ワークフローシステムの機能や導入メリットを解説します。

 

ワークフローシステムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

ワークフローシステム26選|比較・選定ポイントとおすすめ「ワークフローツール」の特徴や活用事例

 

ワークフローシステムとは

 

ワークフローとは、一連の業務の流れを指すビジネス用語です。ワークフローの自動化・可視化を実現するシステムを、ワークフローシステム(ワークフローツール)と呼びます。

 

社内業務は、稟議書や各種申請書を提出して上長が承認・決裁する流れで進むのが一般的です。しかし、従来の紙の文書によるやり取りでは時間や手間がかかるうえ、申請内容によって承認ルートが違うなど、運用が煩雑になりがちという課題があります。

 

ワークフローシステムは、書類の電子化や承認ルートの設定、進捗状況の可視化といった機能により、業務プロセスの効率化を可能にします。

ワークフローシステムで実現できること

 

ワークフローシステムの導入により実現できることは、以下の4つです。ただし、ツールによって提供されている機能は異なるため、注意してください。

申請書作成を簡易化

ワークフローシステムには、各種申請書の作成を簡易化する機能が備わっています。提供されている機能には、以下のものがあります。

 

  • 豊富なテンプレートから申請書を作成
  • 既存申請書の流用が可能
  • 入力補助機能によるスムーズな書類作成(数値の自動計算など)
  • ミス入力のチェック機能
  • 申請内容の修正・取り消し

書類の申請・承認・決裁を効率化

ワークフローシステムの基本機能となるのが、申請から承認・決裁までの自動化です。この機能により、短期間での承認・決裁が可能になるほか、処理漏れや不正ルートでの処理を防ぐことができます。書類申請から承認までの流れを効率化する機能には、以下のものがあります。

 

  • 所属部署や申請書の種類によって承認経路を簡単に設定・編集
  • 承認依頼をメールで通知
  • ワンクリックで申請・承認・決裁
  • スマートフォン・タブレットから申請・承認処理が可能
  • 申請・承認・差し戻しなどのアクションがあった際にメールやポップアップで通知
  • 処理が遅延している場合の督促通知
  • 担当者が不在時の代理申請・承認が可能

ワークフローの管理

ワークフローシステムの導入により、申請状況の管理ができるほか、内部統制上の問題を解決することが可能です。管理面で提供されている機能には、以下のものがあります。

 

  • 申請・承認の流れや進捗を可視化
  • 入力項目の権限設定によりミスや改ざんを防止
  • 閲覧権限の設定
  • 書類をカテゴリー分けして保存
  • 書類の検索機能(期間・内容・担当者名など)
  • 申請書のデータを集計(経費など)

他ツールとの連携機能による業務効率化

ワークフローシステムには、外部システム・外部ツールとの連携機能を備えたものもあります。利用中のシステム・ツールと連携して、業務を効率化することが可能です。

 

  • 外部ツール(チャットツール・グループウェア・SFA・CRMなど)と連携
  • 申請書作成時に外部システムのデータを参照可能
  • 文書データをCSV・PDF形式で出力

ワークフローシステムの導入で得られる効果

 

ワークフローシステムの導入により得られるメリットは、以下の3つです。

意思決定スピードの向上

紙の書類による業務手続きでは、書類の確認漏れや上長の不在などにより、承認が遅れるケースがあります。また、内容不備による差し戻しがあると、想定外の時間がかかり業務が遅延することもあるでしょう。

 

ワークフローシステムを活用すれば、外出先からも申請や承認作業ができるため、意思決定スピードの向上に貢献します。くわえて、入力ミスの自動チェックや遅延している承認を通知する機能や、不在時の代理機能も申請・承認作業の高速化に役立ちます。

内部統制の強化

紙の文書による運用は、正しい決裁ルートになっているかを可視化するのが難しいという課題があります。ワークフローシステムでは、設定した通りに手続きが進むため、自動的に適正ルートでの運用ができます。また、手続きの記録を残せるほか、文書の紛失や流出を防ぐことができるなど、内部統制の強化に役立ちます。

書類作成・保管にかかるコストを削減

紙の文書の場合、紙代・印刷代・メールや郵送にかかる費用のほか、保管場所のコストが必要になります。ワークフローシステムではペーパーレス化を実現できるため、これらのコストを削減できます。また、検索機能が備わっているため、必要な書類をすぐに探し出すことができるというメリットもあります。

ワークフローシステムの機能一覧

 

ワークフローシステムの主要機能を表にまとめました。

 

機能

特徴

申請書作成機能

・入力補助機能によるスムーズな申請書作成

・各種テンプレートから申請書を作成

・既存の申請書を流用

・入力不備を通知

・申請書にコメントを添付

・過去の入力内容を流用

ワークフロー機能

・承認経路を設定

・承認条件(全員承認・指定人数が承認・メンバーの1人が承認など)を設定

・分岐条件を設定(値による承認ルートの自動切り替えが可能)

・承認者を追加指定

・役職別に承認経路を設定(役職に応じて一部経路を省略)

承認・決裁機能

・ワンクリックで承認

・差し戻し(否認・再申請請求)

・一括承認(選択した案件を一括で承認)

・自動で次の承認者へ承認依頼

・承認遅延がある場合にメールで催促

・承認状況を一覧表示

・モバイル端末(スマホ・タブレット)で承認

・代理承認者を設定

・申請書のコメントに返信

通知機能

・承認依頼をメールやポップアップで通知

・承認放置されている案件をメール通知

管理機能

・組織管理機能

・社員情報管理

・マスタデータ設定

・社員情報をインポート(CSV形式)

連携機能

・チャットツールと連携

・グループウェアと連携

・自社のデータベースと連携

・API連携

・データをCSV/PDF形式形式で出力
 

ワークフローシステムの導入準備を進めよう

ワークフローシステムの導入により、業務の手続きを効率化できます。書類申請から承認処理までの流れを高速化し、意思決定を早めることが可能です。ただし、ワークフローシステムはそれぞれに強化されている機能が異なるため、選定は慎重に行う必要があります。自社の導入目的を踏まえたうえで、適したシステムを選択することが肝要です。

 

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