顧客情報の管理・分析に役立つCRM(顧客関係管理)。顧客の囲い込みや長期的な関係性構築の重要性が高まる昨今、戦略的にCRMツールを導入する企業が増えています。記事では、CRMの導入によって実現できることや主な機能、期待できる効果について解説します。

CRMの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

CRM43選|比較・選定ポイントとおすすめ「CRMツール・システム」の特徴や活用事例

CRMとは

CRMとは


CRMとは、顧客情報を統合・管理し、顧客との良好な関係性構築のために活用するマネジメント手法です。Customer Relationship Managementの略語で、日本語では「顧客関係管理」「顧客管理」などと訳されます。また、CRMを支援するためのITシステムはCRMツール・CRMシステムと呼ばれています。

 

顧客ニーズが多様化している現代の市場環境においては、従来のプロダクトアウト発想は通用しにくくなっています。顧客を細分化し、それぞれの特性にマッチした施策を打つことが重要です。このようなOne to oneマーケティングの視点で顧客情報を整理・分析し、次の施策や営業活動に活かそうというのがCRMの基本概念です。

 

CRMで実現できること

 CRMで実現できること



CRMの導入により実現できることは、以下の3つです。

顧客情報の一元管理

CRMの基本となる機能は、見込み客や既存顧客の情報を一元管理できることです。CRMを導入することで、営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、顧客情報が必要なさまざまな部署でリアルタイムに情報共有することができます。管理できる情報には、主に以下のものがあります。

 

  • 属性情報(会社名、部署名、担当者名、役職など)
  • 対応履歴(問合せや面談、クレームの日時・内容など)
  • 購買履歴(購入した商品・サービス、購入日、数量、価格など)
  • 収益情報(購入頻度、売上累計、購入頻度、予算、次回購入見込みなど)

 

顧客の分析

CRMには、集積した顧客データをもとに多角的な分析ができる機能が備わっています。たとえば、見込み度の高い顧客を抽出したり、特定の条件をもとにセグメントしたりすることが可能です。これらの分析データは、営業活動やマーケティングに活用できるほか、販売予測や生産計画といった事業計画の策定にも活かすことができます。

マーケティング支援

CRMは本来、顧客情報の管理をベースとするシステムですが、現在ではこれに付随して、マーケティングを支援する機能までカバーしているツールが多数提供されています。たとえば、以下のような機能です。

 

  • メール配信
  • SNS連携
  • Web接客
  • アンケート調査
  • イベント管理

 

MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)に搭載されているような機能を有するツールもあるほか、これらを含めた、さまざまな外部システムと容易に連携できるタイプも多く提供されています。 

CRMの導入で得られる効果

CRMの導入で得られる効果

顧客満足度の向上/ロイヤルカスタマーの増加

CRMでは各部署に散在していた顧客情報を一元管理できるため、より顧客に適した商品・サービスの提供が可能になります。最適なタイミングで的確なアプローチをする、顧客視点のOne to oneマーケティングを強化することで、顧客満足度の向上やロイヤルカスタマーの増加が期待できます。

業務効率の向上

顧客情報をエクセルやスプレッドシートなどで管理している場合、煩雑な運用になりやすく、ミスも起こりやすいというリスクがあります。また、担当者が個別に顧客情報を管理している場合は、情報共有のための手間が発生します。

 

CRMシステムを活用すれば、必要な顧客情報を見やすい形で簡単に抽出できます。システム上で情報共有が完結するため、資料作成やメールなどにかかる時間・手間を省けます。

PDCAサイクルのスピードアップ

ニーズが多様化するなかで迅速かつきめ細かな顧客対応をするには、社内連携を強化してPDCAのサイクルを早く回すことが重要です。

 

CRMを用いれば、顧客の詳細情報がリアルタイムで共有され、各部門が必要に応じて分析・活用できます。たとえば、マーケティング部門が握っているリード情報を営業部門がチェックしたり、既存顧客と営業担当者のやりとりをカスタマーサポート部門が確認できたりします。

 

さまざまな顧客情報を関連部門で共有することで、次にとるべきアクションを予測しやすくなり、スピーディかつ的確に対処・提案できるようになります。

CRMの機能一覧

CRMの機能一覧

 

CRMの主な機能を以下にまとめました。

 

機能

内容

顧客の基本情報管理

会社名、氏名、所在地、電話番号、メールアドレスなどの属性情報を管理する

問い合わせ情報管理

顧客からの問い合わせ日時・内容や対応内容を管理する。類似した過去のやりとりの参照や、回答テンプレートの作成・引用ができるツールもある

商談・受注情報管理

商談の進捗管理や、見積書・請求書などを管理する

スケジュール管理

部署やチーム内でスケジュールを共有する

ToDo管理

やるべき仕事・タスクの期日や進捗状況を管理する

メール自動配信

見込み客や既存顧客にメールを自動配信する。同じメールを顧客全員に一斉送信できるほか、対象者を絞ってステップメールやフォローメールを送信することも可能

ファイル共有

メールに添付された資料・画像などを関連部門と共有できる。CRMシステム内で閲覧できるため、情報漏洩のリスクが低下する

SNS連携

各種SNSのアカウントと連携し、自社商品・サービス、キャンペーンに関する情報を収集する

アンケート調査

Webアンケートのフォーム作成や、集計・分析をする

プロモーション管理

顧客の属性や検討状況に合わせ、適切なタイミングでプロモーション情報を配信する

顧客データ抽出機能

設定した条件に合致する顧客を抽出する

顧客情報分析

顧客を属性や取引額などで分類し顧客理解を深める。デシル分析やREM分析などさまざまな分析手法がある

外部システムとの連携

DMPやMA、SFA、Googleドライブ、チャットツールなど外部システム・ツールと連携できる

 

搭載されている機能はツールによって異なります。CRMシステムを選択する際は注意しましょう。

CRMを戦略的に活用しよう

CRMを導入すれば、顧客情報を一元管理し、効率的に社内共有できるようになります。部門をまたいで顧客情報を活用することにより、顧客視点のOne to oneマーケティングが実現でき、顧客満足度やロイヤルティの向上が期待できます。自社に適したCRMを用いて顧客との長期的な関係性を構築しましょう。

 

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