製造業務のあらゆる課題解決に役立つ「生産管理システム(生産管理ソフト)」。製造業DXに必須のツールであり、企業に多くのメリットをもたらします。しかし、業務への影響が大きいツールでもあるため、サービス選定は慎重に進めなければなりません。ここでは、自社に合った生産管理システムを選ぶための比較方法と選定ポイント、導入時の注意点を解説します。
また、導入実績の多い代表的な生産管理システムをご紹介します。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
生産管理システムの比較方法・選び方
生産管理システムを比較選定する際のポイント
生産管理システム(生産管理ソフト)を大きく分類すると、独自のシステムを開発するフルスクラッチ型と、開発済みのシステムを利用するパッケージ型に分かれます。本節では、中小企業でも導入しやすいパッケージ型システムに的を絞って、比較選定ポイントを解説します。
■導入目的を明確化する
生産管理システムの機能は多岐にわたり、システムごとに備わる機能もさまざまです。カバーできる業務範囲がシステムによって異なるため、導入目的を明確化した上でサービス選定に臨む必要があります。
生産管理システムで効率化できる主な業務には、生産計画、工程管理、在庫管理、販売管理があげられます。これに加えて、一部のシステムでは原価管理、売上管理、支払管理などの業務もカバーすることが可能です。
とはいえ、上記業務のすべてを1つのシステムで管理し、自社の希望どおりに効率化することは容易ではありません。場合によっては、他のITシステムとの併用も視野に入れたほうがよいケースもあります。
そのため、まずは生産管理システムを導入する目的を明確にし、優先的に効率化したい業務をピックアップすることが選定時のポイントとなります。
■導入方式を決定する
生産管理システムの導入方式には、オンプレミス型とクラウド型があります。双方の特徴を押さえて、どちらの方式を利用するか検討しましょう。
- オンプレミス型
自社サーバーでシステムを運用する導入方式です。社内インフラで運用するため、セキュリティ性に優れます。ただし、オンプレミス型は導入コストが高額であり、設備の保守管理にも費用や手間を要します。 - クラウド型
インターネット上に設けられたシステムを利用する導入方式です。ソフトウェア購入やサーバー構築が不要なため、初期コストを安く抑えられます。この反面、外部に情報を預ける必要があり、自社でのセキュリティ対策ができません。
自社の状況に照らし合わせながら、導入方式を決定しましょう。
■自社の業態に合うものを選ぶ
生産管理システムの選定をスムーズに進めるには、数あるサービスの中から自社の業態に適するものを絞り込むことが肝要です。次のポイントを参考に、導入候補をピックアップしましょう。
- 自社の事業規模に適しているか
- 自社の業種に対応しているか
- 自社の生産形態に適しているか
- 効率化したい業務範囲をカバーしているか
生産形態とは、少品種多量生産や多品種少量生産、個別受注生産などの生産方式のことです。それぞれの形態で生産管理の方法が異なるため、適切なシステムを選ぶ必要があります。
効率化できる業務範囲については、各システムの業務フロー図(システム構成図)をチェックするとよいでしょう。
■基本機能を比較する
生産管理システムの導入効果を左右する要素に、基本機能の充実度があげられます。次のポイントを参考にして、導入候補に選んだシステムの機能を比較してください。
- 業務の効率化・標準化に役立つ機能は備わっているか(計画立案を効率化する機能・作業負荷を可視化する機能など)
- 自社の生産管理方式に対応しているか(MRP方式・製番管理方式など)
- 自社が必要とする粒度で情報管理できるか(在庫管理や工程管理などの情報粒度)
上記のほか、システムのカスタマイズ性についても比較しましょう。カスタマイズできる範囲の広いシステムを選ぶことにより、システム導入時の業務改変が少なく済みます。
■サポート体制を比較する
生産管理システムにトラブルが生じると、業務全体に多大な影響が生じます。いざというときに困らないように、サポート体制の手厚いサービスを選定しておくと安心です。サポート体制のチェックポイントには、次の3点があげられます。
- 専任スタッフによるサポートの有無
- サポート方法の種類(電話・メール・オンライン・訪問など)
- リアルタイムでサポートを受けられる時間帯
上記のほか、サポートスタッフの人数やサポート解決率などもチェックしましょう。オンプレミス型システムを導入する場合は、ハードウェアに関する保守サポートの有無も確認してください。
課題・ニーズ別に見た生産管理システムの向き・不向きの傾向
自社で抱える課題や要望により、導入に適する生産管理システムのタイプが変わります。次の表を参考にして、自社にはどのようなタイプのシステムが向くのか検討してください。
要望・課題 |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
生産に関連する全システムを刷新したい / 製造業DX実現に向けて既存システムをすべて破棄したい |
・現在または将来の業務プロセスに合わせてシステム全体を構築したい場合は、フルスクラッチ型システムを視野に入れる ・パッケージ型システムの場合はカスタマイズ性に優れたものを検討するとよい。ただし、高額になる可能性が高い点に注意 |
短期間で導入したい |
・クラウド型システムはサーバー構築や社内インフラ整備が不要なため短期間で導入できる。 ・既存のマスタデータを取り込めるシステムであれば、より短期間での導入を実現できる |
生産管理をテレワーク化したい / 営業先で生産情報や在庫を確認したい |
・クラウド型システムでは個人のPCやモバイル端末からのアクセスが容易 ・オンプレミス型も社外での利用も可能だが、環境構築に手間とコストを要する |
収益性の向上や迅速かつ精度高い意思決定に活かしたい |
・分析機能が充実しているシステムを選択するとよい。コスト削減施策や作業員の補充など、即座の判断が可能になる ・基幹システムと連携できるものであれば、意思決定に必要な情報を一元管理できる |
生産管理システムの導入時に注意すべき点
パッケージ型の生産管理システムを導入する際は、システムに合わせて業務をどこまで変更するか決めることになります。このときに、生産管理に関わる各部門との協議が不十分だと、システム導入後に大きな問題が生じかねません。最悪の場合はシステム導入失敗につながるので注意しましょう。
生産管理システムの導入フェーズでは、システムと業務プロセスのギャップ分析を行うことが一般的です。続いてギャップを埋めるために、生産管理システムをカスタマイズするか、業務プロセスを改変するかを検討します。
予算に余裕がない場合は、なるべく後者の方法で済ませたいと考えるかもしれません。しかしながら、経営層の独断で業務プロセスを変更してしまうと、高確率で現場からクレームがつきます。結果的に高額な追加カスタマイズ費用が発生したり、システムが可動しなくなったりする可能性があるので要注意です。
こうした事態に陥らないためには、現場担当者の意見を聞き、カスタマイズの内容を決めることが肝要です。カスタマイズ費用が膨らみすぎるようであれば、システム選定を見直すことも必要です。
生産管理システム選定に動き出そう
生産管理システムの導入は、SIベンダーに相談して進めることが一般的です。しかし、ベンダー任せでシステムを選ぶのではなく、自社でシステムに関する知識をつけて、導入候補を絞った上でSIベンダーのコンサルティングを受けることが失敗を防ぐポイントです。以上を踏まえて、自社に合った生産管理システムを選定してください。
生産管理システム 7選
1.FutureStage製造業向け⽣産管理システム
(参照元:https://www.hitachi-systems.com/ind/fs/fabrication/)
サービス名 |
FutureStage製造業向け⽣産管理システム |
キャッチフレーズ |
製造業に特化した基幹業務パッケージ |
サービス概要 |
「FutureStage 製造業向け⽣産管理システム」は、製造業に特化した基幹業務パッケージです。さまざまな業種・業務形態におけるモノづくりのノウハウを凝縮した⽣産管理システムです。 |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・生産管理システム |
価格 |
・FastPack(ファストパック) 価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
2.AMMIC/NetP
(参照元:https://www.ammic.co.jp/product/netp/)
サービス名 |
AMMIC/NetP |
キャッチフレーズ |
あらゆる製造形態に対応したERP |
サービス概要 |
ディスクリート、プロセス系などあらゆる製造形態に対応したERP。日本の製造業が育てた生産管理パッケージ。 |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・プロセス系に役立つ標準機能 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |
3.rBOM
(参照元:https://www.daikodenshi.jp/solution/rbom/rbom-v2/)
サービス名 |
rBOM |
キャッチフレーズ |
「部品表中心のモノづくり」 を実現 |
サービス概要 |
≪リアルタイム統合管理システム「rBOM」≫ |
向いてる形態 |
BtoB |
導入社数 |
約 200 社 (2021年03月01日時点) |
機能一覧 |
・案件、見積、受注管理、債権管理機能 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |
4.TECHS-BK
(参照元:https://www.techs-s.com/product-bk)
サービス名 |
TECHS-BK |
キャッチフレーズ |
多品種少量型の複雑になりがちなデータを一元化 |
サービス概要 |
≪多品種少量型の部品加工業様向けに開発された、中小企業のための生産管理システムです。≫ |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・データを取り込む |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |
5.クラウド2Mfg
(参照元:https://cloud2mfg.com/jp/)
サービス名 |
クラウド2Mfg |
キャッチフレーズ |
業務上のムダをなくし、 業務を高度化いたします |
サービス概要 |
≪簡単、シンプルで経済的。月額利用料金方式のクラウド型生産管理システム≫ |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・生産計画・資材所要量計画(MRP) |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |
6.SmartFactoryNavi
(参照元:https://unitics.jp/ps_pi_fn.html)
サービス名 |
SmartFactoryNavi |
キャッチフレーズ |
稼働状況がわかる! 原価がわかる! 進捗がわかる! |
サービス概要 |
≪[中小製造業者向け]工場経営改善ナビゲーションシステム≫ |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・生産管理システム |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |
7.AP-21
(参照元:https://www.asahi-kasei.co.jp/aec/business/eic/product/ap_21.html)
サービス名 |
AP-21 |
キャッチフレーズ |
実績とノウハウから生まれた生産管理システム |
サービス概要 |
旭化成グループの多彩な製造現場で積み重ねた実績とノウハウから生まれた、生産管理システム AP-21。 |
向いてる形態 |
BtoB |
導入社数 |
約 40 社 (2021年03月02日時点) |
機能一覧 |
・生産計画作成(AP-21/Roll) |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |