マーケティング活動の基本となるデータの収集・分析・活用を支援するDMP。大企業を中心に導入が進んでいるものの、実際に何ができるものかわからないというケースも多いでしょう。DMPは比較的高額なツールであり、導入のハードルも高めです。ここでは、DMPでできることや機能一覧、導入のメリットを説明します。

DMPの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

DMP 4選|比較・選定ポイントとおすすめ「DMP」の特徴や活用事例

DMPとは

DMPとは

 

DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは、インターネット上に蓄積されているデータや自社が独自に保有しているデータの一元管理、分析を通じて、マーケティング施策に生かすためのプラットフォームです。DMPは「オープンDMP」と「プライベートDMP」に大別されます。

 

●オープンDMP(外部データ)

オープンDMPは、インターネット上にある行動履歴や属性情報など、3rdパーティーデータ(第三者機関から提供されるデータ)を集約・管理するプラットフォームです。パブリックDMPとも呼ばれます。自社にはないデータを収集できるため、新規顧客の開拓や広告配信に役立てることができます。

 

●プライベートDMP(自社データ)

プライベートDMPは、1stパーティーデータ(自社の保有するデータ)を集約し、管理・活用するプラットフォームです。自社サイトから収集した顧客データのほか、オフライン(店舗・DMなど)で取得した情報の集約もできます。外部データと組み合わせれば、より細かな顧客分析や広告配信の最適化が可能になります。

DMPで実現できること

DMPで実現できること

 

DMPで実現できることは、大きく次の4つです。

 

  • データの収集・一元管理
  • データの分析
  • データの活用
  • 広告配信の最適化

 

それぞれ詳しく見ていきます。

データの収集・一元管理

データ活用はマーケティングの基本ですが、データが社内に散在していたり、さまざまなツールでそれぞれに管理していたりして、有効に活用できていないケースは少なくありません。DMPは、社内外に点在する各種データの蓄積や統合による一元管理を可能にします。来店情報やPOSデータなど、実店舗の情報を収集・管理することも可能です。また、同一ユーザーの異なるIDを統合するなど名寄せ機能もあります。

データの分析

DMPでは、取得した各種データを統合することで、より精度の高い分析を可能にします。オープンDMPで提供されるデータを活用した場合は、自社が保有するデータやアクセス解析などでは得られない細かなユーザー情報も取得できるため、より効果的なマーケティング施策につなげることができます。

 

たとえば、自社サイトを訪問したユーザーがどのような経路でたどり着いたのかといった細かな履歴を取得することも可能です。行動履歴からユーザーの属性を割り出し、セグメンテーションすることもできます。

 

このほか、自社商品・サービスに対するユーザーの関心度をスコアリングする機能を備えているものもあります。

 

  • 複数種類のCookieから同一人物(ユーザー)を特定
  • Cookie追跡によるユーザーの行動解析
  • 収集したデータに基づくセグメンテーション
  • 行動履歴に基づきユーザーをスコアリング

データの活用

DMPにより収集したデータは、ウェブページやDMのパーソナライズ、マーケティングに活用できます。

 

DMPに蓄積されたデータは、Webページやメルマガのパーソナライズ、見込度の高いユーザーに向けたプッシュ通知といったマーケティング施策に有効活用できます。

 

  • 各ユーザーに最適化したWebページを表示(LPOサービスを活用)
  • 顧客情報と紐付けしたメルマガ配信
  • ユーザーの属性・自社への関心度に合わせたマーケティング施策を展開

広告配信の最適化

DMPを活用することで、ターゲットの条件を細かく絞り込むことが可能になり、インターネット広告配信の最適化を実現します。オープンDMPはオーディエンスデータ(サイト訪問者の属性や行動履歴)を保有するため、広告配信を効率的に行うことを目的に導入されるケースが多く見られました。

 

しかし最近では、自社が保有するIDとcookieを紐づけて詳細なセグメントをし、ユーザーごとに最適な広告を配信するなどプライベートDMPと組み合わせた活用も増えています。

 

  • 蓄積したデータをDSPやSSPと共有
  • サイト閲覧者と広告とのマッチ率を高める

DMPの導入で得られる効果

DMPの導入で得られる効果

シームレスなデータ活用

プライベートDMPに集積した顧客データは、社内でシームレスに活用できます。データ収集後に正規化(活用しやすい形に整理)するため、全部署で同じ情報を扱うことが可能です。

 

共通した顧客データを扱えば、部署間で意思疎通を図りやすくなり、意思決定スピードが向上します。結果的に、PDCAサイクルが高速化し、効率的なマーケティング活動を行えるようになります。

データ分析の効率化

DMPを構築すれば、膨大なデータを効率的に分析できるようになります。アルゴリズムに従ったユーザーのセグメンテーション、類似する行動パターンを持つユーザーを探し出してターゲットとするオーディエンス拡張にも、手間がかかりません。データ管理のミスによるトラブルの減少も、DMP導入で得られるメリットです。

ターゲットへの的確なアプローチが可能に

DMPにデータを蓄積することにより、ユーザーのニーズに合わせた的確なアプローチが可能となります。具体的には、ターゲットの属性に合わせたメール配信、自社商品に関心の高いユーザーへのプッシュ通知などが可能です。セグメント分けしたデータを活かし、顧客ごとにアプローチ方法を調整できます。

第3者データを活用して顧客獲得

DMPに3rdパーティーデータを取り込むことにより、既存顧客と属性の近いユーザーに自社をアピールできます。先に触れたように、DMPはアドテクノロジーとの親和性が高いシステムです。自社のデータをSSPとDSPに提供することにより、既存顧客と共通点の多いユーザーに対して、適切な広告表示を行えるようになります。

 

SSPは広告表示媒体の収益化に貢献するシステム、DSPは広告主の費用対効果に貢献するシステムです。両者への情報提供により、広告媒体、広告主、閲覧者の3者に役立つ広告配信が可能に。引いては新規顧客の獲得につながります。

DMPの機能一覧

DMPの機能一覧

 

DMPの主要な機能をまとめました。

 

機能

特徴

各種情報の収集・管理

●プライベートDMPの機能

・オンラインで得た顧客情報を格納(自社全体から情報を集める)

・オフラインで得た情報(会員情報・POSデータなど)を格納

・3rdパーティーデータ(他社サイトにおけるユーザーの行動履歴・属性など)とデータ連携

・SNSから得た情報を格納

・アプリの利用データを収集

・外部ツール(CRMやSFAなど)のデータをインポート

・収集したデータを正規化(全社で活用できる形に整理する)

●オープンDMPの機能

・オーディエンスデータ(ユーザーの属性や行動履歴、嗜好性など)を格納

・3rdパーティーデータに基づくユーザー拡張

※個人情報や会員情報などは扱わない

データ分析機能

・クラスタ分析

・行動履歴分析(Cookieを使用)

・収益性分析

・Web広告効果分析

・LTV分析

・店舗別分析

・データセグメント

・顧客のスコアリング

外部出力

・LPOサービスへ情報を出力

・DSPやSSPへ情報を出力

・収納データを活かしたメール配信

・プッシュ通知

・Google Analyticsとデータ連係

・連携機能

・レコメンドエンジンと連携

・MA(マーケティングオートメーション)と連携

 

DMP導入は慎重に検討する

DMPの導入により、社内に散らばるデータの収集管理と有効活用が可能となります。広告配信の効率化やマーケティング施策の促進など、DMP導入で得られる効果は多大です。ただし、DMPは高コストなツールであるうえに、有効に活用するにはある程度のノウハウが必要です。使用目的や求める機能、運用の道筋を明確化したうえで、導入を検討する必要があります。

 

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