出張関連業務の効率化や、出張コスト削減などに役立つBTM(ビジネストラベルマネジメント)。機能や特徴はサービスにより異なっており、選定には注意を要します。自社に適するBTMを選び出すには、サービス比較を入念に行うことが肝要です。ここでは、BTMの比較選定ポイントと、導入時に注意すべき点を解説します。
また、導入実績の多い代表的なBTM(ビジネストラベルマネジメント)をご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
BTMの比較方法・選び方
BTMを比較選定する際のポイント
自社に適したBTMを比較選定するうえでは、次の5つのポイントをチェックしましょう。
■導入目的を明確にする
BTM(ビジネストラベルマネジメント)の比較選定は、サービス導入目的を明確にした上で進めることが肝要です。導入目的により、重点的に比較すべき機能も明確になります。BTMの導入により何を実現したいのか、次の4つを参考に検討してください。
- 出張者の負担を軽減したい(出張手配や立替精算の負担を軽減したい)
- 経理担当者の負担を軽減したい(旅費精算業務を効率化したい)
- 出張コストを削減したい・旅費規程を最適化したい
- 出張者の危機管理を強化したい
上記4つはいずれもBTMの導入により解決できる課題です。ただし、1つのサービスで全ての課題を解決できるとはかぎりません。重点的に解決したい課題を明確化してから、BTMの選定に進みましょう。
■手配できるサービスを比較する
BTMの機能の中でも、とくに出張者に役立つのが交通機関や宿泊施設などを手配する機能です。出張者の負担軽減を課題とする企業では、サービス手配機能の比較を入念に行いましょう。
BTMで手配できるサービスは、鉄道(新幹線・特急)、飛行機(国内線・国際線)、ホテル、国内レンタカーの4つです。ただし、交通機関の手配に関しては、BTMにより対応が以下のように異なります。
- 飛行機(国内線・国際線)と鉄道に対応
- 飛行機(国内線のみ)と鉄道に対応
- 飛行機(国内線・国際線)の手配のみ対応
上記の違いがあるため、たとえば海外出張の多い企業では国際線の手配に対応するBTMを選ぶ必要があります。国内に支社の多い企業では、飛行機と鉄道の両方に対応するBTMを選んだほうがよいでしょう。
■経費精算機能を比較する
BTMの導入目的を経理担当者の負担軽減とするなら、経費精算機能の充実したサービスを選ぶ必要があります。次のポイントを参考にして、各BTMの経費精算機能を比較してください。
- 旅費規定外の経費精算を検出できるか
- 勘定科目の自動仕分けに対応しているか
- コーポレートカードの請求情報を取得できるか
- 領収書画像(スマホ撮影画像)から請求情報を取得できるか
- 自社の会計システムと連携できるか
経費精算機能を比較する際は、経理担当者の意見も参考にしましょう。実用性を重視して、旅費精算の効率化に役立つBTMを選定してください。
■出張データ管理機能を比較する
BTMの機能の中でも、出張コスト削減と旅費規程改善に役立つのが出張データ管理機能です。過去の出張データを管理・分析することにより、コスト削減と規定改善のヒントが見つかります。BTMの選定では、出張データ管理機能の充実度を比較してください。具体的な比較ポイントには次の4つが挙げられます。
- 蓄積・分析できる情報の粒度(データ項目の多寡)
- レポート機能の充実度
- BTM提供元によるコンサルティングの有無
- BTM提供元によるサプライヤーとの交渉サポートの有無
BTMのデータ管理機能に関する情報は、インターネット上に公開されていない場合があります。サービス提供元への問い合わせや資料請求を活用して、詳細な情報を収集してください。
■危機管理機能を比較する
出張の多い企業にとって、出張者の危機管理は重要な課題です。BTMの選定では、危機管理機能の比較も行いましょう。危機管理機能の比較ポイントには、次の4つが挙げられます。
- 出張者の現在地を確認できるか
- 危険情報の配信に対応しているか
- 緊急対応デスクは用意されているか
- 24時間体制のサポートを受けられるか
とくに海外出張の多い企業では、危機管理機能の比較に力を入れることをおすすめします。緊急対応デスクや24時間体制のサポートに対応するサービスを選ぶことにより、海外出張時の安全を確保しやすくなります。
課題・ニーズ別に見たBTMの向き・不向きの傾向
BTMの選定は、自社の要望を踏まえて進めることが肝要です。次の表を参考に、自社に向くBTMのタイプを検討してください。
課題・要望 |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
出張の少ない時期のコストを抑えたい(時期により出張の頻度が大きく異なる) |
・利用時のみ費用が発生するサービスであればコスト効率がよい |
社員への導入説明の手間を軽減したい |
・利用者向けの説明会を依頼できるサービスは、導入時の負担を軽減しやすい ・使い方が複雑なシステムの場合、導入までに手間を要することがあるので注意が必要 |
出張者にとっての利便性を重視したい |
利便性を高めるうえでは、必要に応じて以下の点を確認するとよい。 ・専用スマホアプリで各種手配を行えるサービス ・旅行傷害保険の手配に対応するサービス ・ビザ取得のサポートに対応するサービス ・パスポート取得代行に対応するサービス |
BTMの導入時に注意すべき点
BTMを導入する際は、社員への周知や事前説明を丁寧に行いましょう。出張管理システムであるBTMは、社員に利用が浸透することにより高い効果を発揮します。利用状況にバラつきがあると、旅費精算の効率化や出張コスト削減の達成に影響が出るので注意しましょう。
社員数の少ない中小企業においても、全社員が協力して出張業務を効率化させることにより導入効果が高まるので、BTM導入の周知と事前説明は徹底してください。
なお、一部のBTMは利用に際して月額数万円のランニングコストを要します。費用を無駄にしないためにも、BTMの利用が広まるように導入準備を進めてください。
BTMの導入に動き出そう
BTMの導入を成功させるには、まずサービス導入目的を明確化することが肝要です。続いて自社に必要な機能を検討しましょう。サービス選定フェーズでは、機能の比較を入念に行ってください。導入するBTMを決定したら、社員への周知と説明を丁寧に行いましょう。以上を踏まえて、具体的なサービス選定へ進んでください。
BTM 4選「特徴」と「活用事例」
1.ピカパカBTM
(参照元:https://btm.pikapaka.co.jp/)
サービス名 |
ピカパカ出張DX |
キャッチフレーズ |
ビジネス出張の立替精算をなくすならピカパカ出張DX |
サービス概要 |
東証プライム上場企業であるエアトリの法人部門から分社化して作られた、株式会社ピカパカが提供。 |
向いてる形態 |
BtoB |
導入企業の傾向 |
個人で出張手配をしていたが、業績の成長に伴い、立替精算の負担や出張管理の煩雑化に課題を感じている企業様 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
2.AI Travel
(参照元:https://aitravel.cloud/)
サービス名 |
AI Travel |
キャッチフレーズ |
出張申請・手配・管理をワンストップで自動化。 |
サービス概要 |
AI Travelは、面倒な出張申請・手配・管理をワンストップで自動化するクラウドサービスです。 |
運営企業 |
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サービス詳細 |
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サービス資料 |
導入した企業の声
株式会社エスエルディー 鈴木様 兵藤様:
導入目的は、出張の際の出張者や経理担当者からの問い合わせ対応に追われていたため。AI Travelを活用することで、サービスひとつで新幹線やホテルの予約が完結するので、複数の拠点を周遊する出張を手配する際も圧倒的に楽になりました。
3.BORDER
(参照元:https://border.co.jp/)
サービス名 |
BORDER |
キャッチフレーズ |
出張が変わる、 ビジネスが変わる |
サービス概要 |
≪チャットでスピーディーにフライトやホテルを手配し、クラウド上で海外出張・国内出張の情報を一元管理。≫ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
導入社数 |
約 450 社 (2021年02月26日時点) |
機能一覧 |
・チャットでフライトやホテルを手配 |
価格 |
・初期費用 0円 / 初期費用 |
運営企業 |
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サービス詳細 |
4.Racco -ラッコ-
(参照元:https://travel.rakuten.co.jp/btm/racco/index.html)
サービス名 |
Racco -ラッコ- |
キャッチフレーズ |
業務工数を削減し、生産性を向上 |
サービス概要 |
≪総合出張予約・管理サービスRacco -ラッコ-≫ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
導入社数 |
約 12500 社 (2021年02月26日時点) |
機能一覧 |
・予約データを一元化 |
価格 |
・月額利用料 0円 / 月 |
運営企業 |
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サービス詳細 |