メールアーカイブとは、送受信したすべての電子メールを保存し、必要に応じて検索・転送などができるようにすることです。メールアーカイブサービスを導入すれば、情報漏洩対策や内部統制に役立ち、不測の事態にも対応しやすくなります。ここでは、メールアーカイブサービスで実現できることや機能一覧、導入するメリット・効果を紹介します。

メールアーカイブの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

メールアーカイブ2選|比較・選定ポイントとおすすめ「メールアーカイブサービス」の特徴

メールアーカイブとは

メールアーカイブとは

 

アーカイブ(archive)とは「複数のファイルやデータを保存する」という意味です。メールアーカイブは、送信・受信した電子メールを専用サーバーに自動的に保存し、一元管理するサービスのことをいいます。

ビジネスの重要情報をメールでやりとりするのが当たり前になっている昨今、企業にとっては、メールによる情報漏洩やシステムダウンによる情報消失などがリスク材料として懸念されます。メールアーカイブサービスは、企業が抱える様々な情報セキュリティリスクや内部統制の課題を解決するうえで有効なサービスです。

なお、アーカイブと似ている機能に「バックアップ」がありますが、両者の役割は異なります。バックアップは、システム復旧を目的としてデータを一時的に複製・保管するものですが、アーカイブは利用期間のピークを過ぎたデータの長期保存を目的としています。

メールアーカイブで実現できること

メールアーカイブで実現できること

 

メールアーカイブによって実現できることは、以下の2点です。

送受信メールの全文を長期間保存できる

メールアーカイブの基本機能は、送受信メールの全文を保存することです。メールに含まれる情報は、利用時期を過ぎた後でも必要になる場合があります。メールアーカイブを用いれば、メールの件名・本文・添付ファイルなどを含めて別サーバーに長期間保存しておくことが可能です。また、保存したアーカイブデータは変更できない仕組みになっています。

 

  • 送受信メールの全文保存
  • 保存するメールの選別
  • メールデータの改ざん防止

過去のメールをスピーディーに検索・活用できる

業務上、急に過去のメールの情報が必要になったとき、大量のメールのなかから探し出すのは手間がかかります。メールアーカイブには多彩な検索機能が備わっているため、特定のメールを効率的に検索できます。アーカイブから取り出したメールの情報や添付ファイルは、任意のメールアドレスに転送・再送信することも可能です。

 

  • メール検索
  • アーカイブメールの転送

メールアーカイブの導入で得られる効果

メールアーカイブの導入で得られる効果


メールアーカイブの導入によって期待できる効果は以下の4点です。

情報漏えいの抑止・コンプライアンスの強化

従業員による情報漏えいは企業の信頼性を著しく低下させてしまうため、確実性の高い対策が求められます。メールアーカイブを導入すれば、送受信メールを一元管理できるため、メールによる機密情報の持ち出しを防止できます。

 

また、万が一、情報流出が発生したとしても、実行した人物を速やかに特定することが可能です。全メールが別サーバーに保存されていることが社内に周知されていれば、メールの不正利用の抑止にもつながります。

訴訟などに対する適切な情報開示

顧客や取引先などから訴訟を起こされた場合、裁判所からメールの開示請求をされるケースがあります。メールアーカイブを用いれば、対象データを速やかに検索し、電子証拠として提出できます。アーカイブ上のデータは原文なので、自社の主張を裏付ける信頼性の高いデータとして扱われます。

法令への適切な対応

J-SOX法(日本版内部統制報告制度)では、取引情報にまつわる電子メールの全文保存を推奨しており、経産省の不正競争防止法では営業機密の内部流出への対策の必要性を提唱しています。また、関税法では輸出入の取引に関する電子メールの保存が義務化されています。長期保存とスムーズな検索が可能なメールアーカイブを導入すれば、電子データの保存管理を促す各種法令に適切に対処しやすくなります。

BCP(事業継続計画)の対策強化

PCのクラッシュや自社サーバーダウンなどのトラブルが発生すると、メールデータがすべて消失してしまう可能性があります。メールアーカイブを利用すれば、アーカイブ専用サーバーにメールが自動保存されるため、システム障害時でもデータ消失のリスクを回避でき、ビジネスを継続できます。

メールアーカイブの機能一覧

メールアーカイブの機能一覧

 

メールアーカイブの主な機能を以下にまとめました。

 

機能

内容

送受信メールの全文保存(複製)

指定期間内にメールの全文を保存できる。保存可能期間は1〜5年程度のものが多い

保存するメールの選別

メールアドレスやドメインなどで保存するメールを選別できる

メール検索

以下のような様々な条件やキーワードで絞り込み検索ができる

—差出人、宛名、同報者のアドレス

—送受信の日時

—件名

—添付ファイル

フィルタリング(送受信制御)

フィルター設定・ポリシー設定により、メールの送受信を制御して誤送信を防ぐ

一括ダウンロード

検索条件を満たした複数のメールを一括でダウンロードできる

アーカイブメールの転送

検索したアーカイブメールをメールシステムに転送し、任意の宛先に送付できる

改ざん防止機能

メールデータに改ざんが加えられたかを検知する

管理者向けの機能

—システム環境設定

—職務権限に応じた管理者の設定

—アーカイブの条件設定

—検索ユーザー承認

—アーカイブメールのグループ管理

—ログ情報の表示・レポーティング機能

 

どの機能が利用できるかはサービスによって異なります。選択の際は注意しましょう。

情報セキュリティリスク対策にメールアーカイブを活用しよう

電子メールはビジネスを円滑に進めるために欠かせないツールです。メールには取引先との重要なやり取りや機密情報が含まれているため適切な管理が必要ですが、メールアーカイブを用いれば安全に長期保存・管理が可能になります。とくに、情報漏えい対策やシステム障害など、様々な情報セキュリティリスクの管理に有効です。 

 

メールアーカイブの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

メールアーカイブ2選|比較・選定ポイントとおすすめ「メールアーカイブサービス」の特徴