発着信の制御や内線同士の通話に必要不可欠なPBX(電話交換機)。古くから存在し、現在も進化を続けているインフラシステムですが、現在はIP-PBX、クラウドPBXといった企業のIT化に即したサービスが提供されています。ここでは、PBXの基礎知識や機能、導入メリットを解説します。

PBXの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

PBX21選|比較・選定ポイントとおすすめ「クラウドPBX・IP-PBX」の特徴

PBXとは

PBXとは

 

PBXとは、電話回線交換機のことです。外線と内線の接続や内線同士の接続、各種回線の制御を主な役割としています。

 

PBXは3種類に大別できます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

 

  • レガシーPBX・・・メタル回線を使用(構内に交換機の設置が必要)
  • IP-PBX・・・インターネット回線を使用(構内に交換機の設置が必要)
  • クラウドPBX・・・インターネット回線を使用(クラウド上で電話交換機能を利用)

 

ビジネスフォンとの違いは、電話機の接続可能台数が多く、複数拠点をまたいで利用できる点です。また、IPネットワークを利用するPBXはPCやスマホと接続できるため、さまざまな場面で活用が広がります。

 

現在はIP-PBXが主流であり、低コストでの導入が可能なクラウドPBXは中小企業を中心に導入が進んでいます。

PBXで実現できること

PBXで実現できること

 

PBXの導入により実現できることは、以下の4つです。

外線・内線の発着信を制御

PBXの基本機能は、外線・内線の発着信制御です。以下の機能により、電話回線のインフラ構築が可能です。

 

  • 外線と内線を接続・制御(複数の内外線を制御)
  • 内線同士の通話・転送・保留が可能
  • 代表番号への着信を登録した電話機につなぐ
  • 転送機能(不在、話中、応答遅延などに対応)
  • パーク保留機能(通話中に保留すると他の電話機で外線を受けられる)
  • 千台以上の内線電話を管理可能

スマートフォンを内線電話に活用

IP-PBXとクラウドPBXには、スマートフォンを内線電話として使用する機能が備わっています。また、クラウドPBXでは専用アプリを導入すれば、外出先からでも会社の番号として発信することが可能です。

 

  • 専用アプリでスマートフォンを内線化
  • スマートフォンから会社の番号で発信できる

PC・OA機器と連携

PBXは多様なビジネス機器と接続できます。PCやOA機器などと連携させて、ビジネスに役立てることが可能です。

 

  • PBXとファックスを接続(アナログ接続)
  • ビジネスツール(CRM・SFAなど)と連携してCTIを構築(PC画面に顧客情報を表示するなど)

PBXの導入で得られる効果

PBXの導入で得られる効果

通信コストを削減

IP電話を利用できるPBXは、通信コストの削減に役立ちます。自社の拠点間で同じVoIP基盤を使う場合、基本的に外線・内線ともに通話料は無料です。海外拠点の場合も、一般的な通話料金と比較して低料金または無料となります。とくに外出先からスマホで通話する機会が多い場合は、大幅なコストダウンが見込めます。

移転・レイアウトの手間とコストを削減

IP-PBXおよびクラウドPBXのメリットに、オフィス移転やレイアウト変更への対応のしやすさがあげられます。アナログ回線を使用しないため、配線工事の手間とコストを抑えられるとともに、新しいレイアウトや組織変更にも柔軟に対応できます。

BYODを推進

IP-PBX、クラウドPBXの導入により、自社のBYOD(Bring Your Own Device)を推進できます。BYODとは、個人所有のモバイルデバイスを業務に利用する取り組みです。

 

BYODのひとつに、社員個人のスマートフォンの利用があげられます。たとえば、個人所有のスマホを外回り業務やテレワークに活用すれば、社用スマホが不要となり、コスト削減につながります。ただし、社員の個人情報である電話番号は保護しなければなりません。

 

IP-PBXやクラウドPBXには、個人所有のスマートフォンから会社の番号を使って発信できる機能を備えたものもあります。企業側はコストを削減でき、社員側はスマホ2台持ちの手間から解放されます。

PBXの機能一覧

PBXの機能一覧

 

PBXの主な機能を表にまとめました。ただし、各社のサービス内容によって搭載されている機能は異なります。

 

機能

特徴

電話回線制御機能(全タイプのPBXに共通)

・外線と内線を接続

・内線同士を接続

・最大数千台の内線電話を接続・制御可能

・各内線番号へ着信を割り振り(着信制御)

・内線から外線への発信番号を制御(発信制御)

・各種転送(話中転送・不在転送・応答遅延転送など)

・拠点間を内線接続

・外線とFAXを接続(IP-PBX・クラウドPBXの場合は別途オプション加入や専用機器が必要)

電話帳機能

・PBX本体に電話帳データを保存(クラウドPBXの場合はクラウド上のシステムに保存)

・電話帳データを使って発信

・PCやスマートフォンから電話帳を参照(IP-PBX・クラウドPBX)

IP接続機能(IP-PBX・クラウドPBX)

・インターネット回線と接続

・IP電話機と内線接続

・PCと内線接続

・スマートフォンと内線接続

・海外拠点と内線接続

・スマートフォンで内線番号を使用(発着信)

データ連携機能(IP-PBX・クラウドPBX)

・PCとデータ連携

・PCに通話内容を記録

・留守番電話の音声をメール送信

・各種ビジネスツール(CRM・SFA・グループウェアなど)と連携

会議機能(クラウドPBX)

・電話会議

・ビデオ会議

自社に適するPBXを選定しよう

PBXは電話回線の整備に必要不可欠です。とくにIP-PBXやクラウドPBXは、通信コストの削減や設備費の節約にも役立ちます。メリットの多いPBXですが、サービス選定は慎重に行ってください。導入コストや機能などを比較して、自社に適するサービスを選ぶことが肝要です。

 

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