交通費などの経費申請・承認作業の効率化に役立つ経費精算システム。煩雑な業務の自動化・一元管理により、申請者・承認者・管理者(経理)ともにメリットを享受できるツールです。経費精算システムで実現できることや機能一覧、期待できる効果を紹介します。
経費精算システムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
経費精算システム21選|比較・選定ポイントとおすすめ「経費精算アプリ・クラウド」の特徴
経費精算システムとは
経費精算システムとは、交通費や出張費、物品購入費など各種経費の精算業務を自動化・一元管理できるシステムです。
一般的な経費精算の流れは、従業員が立て替えた経費を領収書とともに申請し、上長の承認を得たうえで管理者(経理)に提出。管理者は内容をチェックしたあと、振込の手配を行います。経費精算システムは、これら一連の業務をシステム化し、経費精算業務の効率アップを実現します。
経費精算システムには、ソフトをインストールするパッケージ型と、インターネット経由で利用できるクラウド型があります。現在は、スマホを活用した申請・承認のニーズが高まっていることから、クラウド型のサービスが主流になりつつあります。
経費精算システムで実現できること
経費精算システムは、申請者・承認者の負荷を軽減する機能と、管理者である経理担当者にとって利便性の高い機能とに大別されます。ここでは、それぞれの立ち位置で実現できることを見ていきます。ただし、ツールによって提供されている機能は異なるため注意してください。
申請作業の効率化
経費精算では支払日や支払先、内容などを申請書に記入する必要があり、この作業に多くの時間を割かれるという課題があります。経費精算システムでは以下のような機能を提供し、申請者の負荷を軽減しています。
- 交通系ICカードの読み取りによる交通費明細の自動入力
- 定期券区間の自動控除
- 領収書の読み取り機能(OCR)による自動入力
- クレジットカード連携による利用明細の自動取り込み
- スケジューラーとの連携による日付・訪問先の自動取り込み
- 入力ミスや精算ルール違反があった場合のアラート機能
- スマホによる申請(経費精算アプリのインストールが必要)
承認作業の効率化
承認作業における課題として、上長が不在がちで承認が滞る、申請内容のチェックに手間がかかる、ミスがあった場合の差し戻しに時間がかかるといったことが挙げられます。経費精算システムでは、以下の機能で承認作業の効率化を実現します。
- スマホによる承認(経費精算アプリのインストールが必要)
- 自社の精算ルールに合わせた承認フローの設定(金額の上限・交通手段の制限など)
- 精算ルール違反を自動チェック
- 申請があった場合に通知
- 承認期日や承認待ちのアラート機能
経理担当者の業務を効率化
経理担当者は、経費精算を正確かつスピーディに処理する必要があるほか、会計業務にも反映しなければなりません。経費精算システムの中には、これら経理業務の効率を高める以下の機能を搭載しているものもあります。
- 申請書から勘定科目を自動仕訳(課税・非課税の区分も可能)
- 振込先データを自動作成して支払依頼
- 電子帳簿保存法への対応(領収書検索機能、タイムスタンプ自動付与)
- 科目・部門ごとの経費分析
- 会計システムとの連携
経費精算システムの導入で得られる効果
経費精算の工数削減・労働生産性の向上
経費の申請書をExcelや手書きで作成し、領収書を添付して上長や経理担当者にまわす申請方法は工数が多く、会計処理の完了までタイムラグが生じます。また、紙ベースでは申請内容を経理担当者が会計ソフトなどに再度入力しなければならず二度手間です。
経費精算システムを活用すれば、設定した承認フローに沿ってシステム上でデータを共有できるため、紙のやりとりや再入力の必要がなくなります。申請・承認フローの工数を削減できればコア業務にリソースを費やすことができ、生産性の向上が期待できます。
経費・人件費の削減
紙ベースの経費精算は紙代や印刷代がかさむうえ、領収書等の保管場所のコストも必要です。くわえて、締め日の前後は作業が集中するため、残業が発生しがちです。
経費精算システムを導入すれば、申請書も領収書も電子データ化・保管ができるため、ペーパーレス化によるコスト削減が見込めます。精算業務の自動化・効率化によって人件費の削減も期待できます。また、経費の状況を可視化できる集計・分析機能を備えているツールは、無駄な経費の洗い出しや経費削減対策に役立ちます。
人的ミスの防止・内部統制の強化
紙ベースの経費精算では、入力・転記ミスや計算ミス、領収書の紛失などのヒューマンエラーが起こることがあります。また、過剰申告や私的な支出の申請といった不正ががないようにチェックするには、手間と時間を要します。
経費精算システムは交通費の自動計算や領収書のデータ読み込みなどができるため、ミスや不正な申請の抑止が可能です。自社に合わせた承認フローの設定や規定違反チェック機能により、内部統制の強化にもつながります。
経費精算システムの機能一覧
経費精算システムの主な機能を以下にまとめました。
機能 |
内容 |
---|---|
領収書・レシートの読み取り |
領収書やレシートを携帯電話のカメラで撮影し、経費精算システムに自動的に取り込む(OCR機能) |
電子帳簿保存法対応 |
・証票類のデータアップロード時にタイムスタンプを自動付与 ・読取情報の保存 ・入力者情報の確認 |
クレジットカード連携 |
クレジットカードを登録して利用明細を自動的に取り込む |
交通費精算 |
・乗換案内サービスとのデータ連携 ・交通系ICカードのデータを自動取込 ・定期区間の自動控除 ・タクシーやガソリン代の領収書読み取り |
出張費精算(国内・海外) |
・日当・手当の自動算出 ・仮払金の申請 ・為替レートの登録 ・円換算の自動計算 |
申請・承認 |
・承認フローの設定 ・代理申請・承認 ・通知メール送信(承認・差戻しなど) ・ステータス表示 ・承認期日、承認待ちのアラート警告 |
規定違反チェック・アラート表示 |
あらかじめ設定したルールや旅費規程などに沿わない申請にアラートを表示する |
自動仕訳 |
申請された項目を勘定科目や税区分に紐づけて自動仕訳 |
振込先データ作成 |
申請書をもとに振込先データを自動作成 |
データ集計・分析 |
科目別・部門別・週別・月別などで集計・グラフ化 |
データ連携 |
会計ソフトや給与計算ソフトと連携して自動仕訳をする |
マルチデバイス対応 |
スマートフォンやタブレットからの申請・承認ができる |
どの機能が搭載されているかはシステムによって異なります。導入検討の際は注意しましょう。
経費精算プロセスを改善しよう
経費精算システムの導入により、交通費や出張費などの精算申請・承認作業の手間を省くことができ、人的ミスや不正申請の防止効果が期待できます。経費精算の業務効率化や内部統制の強化を図るためには、自社に適した経費精算システムを導入することが大切です。
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