法人携帯とは、法人名義で契約した携帯電話・スマホのことをいいます。企業が従業員用に法人携帯を契約することにより、多数のメリットを得られます。個人携帯の業務利用に問題を感じているなら、法人携帯の導入を検討する価値は大です。ここでは、法人携帯のサービスの内容と活用のメリット、導入の流れを解説します。
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法人携帯とは
法人名義で契約した携帯電話・スマートフォンを法人携帯と呼びます。使用する回線や端末は個人携帯と同じで、一般販売されているiPhoneやAndroidスマホ、携帯電話を法人携帯、法人スマホとして使用できます。
法人携帯と個人携帯の違いは、提供されるサービス内容です。法人向けの管理画面やオプション、ソリューションなどを利用できることが法人携帯の特徴です。これらのサービスを活かすことにより、個人携帯では難しい端末管理や携帯電話・スマホの業務活用などが可能となります。
法人携帯の種類
法人携帯の種類は、提供会社によって次の2つに大別されます。
大手キャリアの法人携帯
docomo、au、SoftBankなどの大手キャリア(電気通信事業者)は、法人向けのモバイルサービスを提供しています。ビジネス向けオプションの豊富さや通信安定性の高さなどが大きな特徴です。また、auとSoftBankでは法人向けの端末レンタルも利用できます。
MVNOの法人携帯
MVNO(仮想移動体通信事業者)では、法人向けに格安SIMを提供しています。法人向けの格安SIMは、基本的に大手キャリアのサービスより料金が安価です。また、料金プランがシンプルに設計されていることも、法人向け格安SIMの特徴にあげられます。
法人携帯のサービス内容
法人携帯で提供されている主なサービス内容は以下の通りです。ただし、各社で詳細は異なります。
携帯電話・スマホの基本サービスを提供
法人携帯の契約をすると、個人携帯と同様の基本サービスが提供されます。利用企業は多数の回線を一括契約でき、端末の調達も行えます。
- 複数の料金プランを提供(基本料金は個人用と共通、または法人専用を設定)
- 携帯電話・スマホ端末を販売
- SIMカードのみの契約も可能
法人用の管理画面を提供
法人携帯を取り扱う電気通信事業者では、法人専用の管理画面を提供しています。法人用の管理画面では、下記のような機能を利用できます。
- 月々の料金明細を確認・ダウンロード
- 回線の利用者や利用部署などの情報を登録管理
- 利用金額や通話料などを分析(部署別・時間帯別などで分析)
- 契約内容の照会・変更
法人向けセキュリティを提供
次のような法人向けセキュリティサービス(オプション)を提供しています。
- 複数の端末をリモート管理できる「MDM(モバイル デバイス マネジメント)」
- SIM差し替えによる不正利用を防ぐ「端末認証サービス」
- グループ別にメール受信ポリシーを設定できる「メールフィルター」
ビジネス向けサービスを提供
携帯電話・スマホの法人契約者を対象に、ビジネスに役立つ下記のようなオプションサービスを提供しています。
- 社員間の国内通話料が24時間定額になる通話オプションを提供
- モバイル端末から社内PCに接続できるリモートアクセスを提供
- 携帯電話・スマホを内線電話化するFMCを提供
- グループウェア、Web会議システムなどの提携SaaSを提供
- 各種サービスの導入支援や保守サポートを提供
法人携帯を活用するメリット
法人携帯を活用するメリットは以下のように整理できます。
通信費の管理を省力化
従業員の個人携帯を業務利用する企業では、通信費の精算業務が煩雑になりがちです。従業員に通話明細書を提出してもらった上で、経費対象となる料金を集計するといった対応をしている企業もあるでしょう。
法人携帯を活用することで、業務での携帯・スマホの利用で生じた通信費を一括精算できるようになり、経理部門の負担が軽減されます。また、携帯電話・スマホ料金を精算する際の通話明細書の収集と集計が不要になります。契約回線の料金を管理画面で一括チェックできるようになるため、経費精算の手間を大きく削減できます。
情報漏えいリスクが低減する
法人携帯では、ビジネスシーンを考慮したセキュリティ強化を図っています。MDMによる端末の一元管理を行えるのは法人携帯ならではのメリットです。
端末の不正利用の監視や紛失時の遠隔ロックなども管理者が行えるため、携帯電話・スマホを安全に業務利用できます。このほか、アプリの利用制限や端末のセキュリティポリシーなども管理者側で一括設定できます。これらのセキュリティ対策を講じることで、携帯電話・スマホによる情報漏えいのリスクを低減することができます。
ビジネス向けサービスを利用して業務を効率化
法人携帯と合わせてビジネス向けのオプションサービスを利用することにより、自社の業務を効率化できます。具体的には、次のようなことが実現できます。
- FMC導入により、固定番号での発着信を社外で行えるようになる
- リモートアクセス導入により、社内PCのデータを社外で確認できるようになる
- グループウェア導入により、情報共有やコミュニケーションが円滑化する
各種のビジネス向けオプションを利用する際は、法人携帯の提供元によるサポートを受けられます。導入研修やアフターサポートを受けられるため、ITツールをはじめて使う企業でも、各種オプションをスムーズに導入して有効活用できます。
法人携帯を利用する際の流れ
法人携帯の契約からサービス利用開始までは、次の流れで進むことが一般的です。
- 実店舗・電話・オンラインショップのいずれかで利用申込
- ベンダーが申込書類を送付(電話で申し込んだ場合)
- 申込書類に必要書類を添えて返送
- 契約締結〜端末発送
- 利用開始
法人携帯の申込窓口の種類はサービス提供元により異なります。MVNOには実店舗の少ない事業者が多いため、格安SIMを契約する場合は電話またはインターネットでの申込になります。なお、法人携帯の契約には、次のような書類が必要になります。
- 法人確認書類(登記簿謄本、印鑑登録証明書など)
- 担当者の本人確認書類(免許証、健康保険証など)
- 担当者の在籍証明書類(社員証、名刺など)
上記のほか、契約時は料金支払いに使用する預金通帳やキャッシュカード、クレジットカードも必要となります。実店舗で申込を行う場合は、必要書類をそろえた上で出向くとスムーズです。
法人携帯を業務に活用しよう
経費精算業務の省力化、情報漏えいリスク低減、業務効率化など、法人携帯の活用メリットは多岐にわたります。個人携帯の業務利用に課題を感じているなら、法人携帯の導入に踏み切ったほうがよいでしょう。ただし、サービス選定は慎重に行ってください。提供サービスや料金などを詳しくチェックして、自社に適するベンダーを見つけることが肝要です。
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