LMS(Learning Management System)とは、デジタル教材の配信や学習管理ができるシステムのことです。eラーニングによる従業員研修やキャリアアップ支援をより効率的かつ効果的に実施するための機能が備わっています。ここでは、LMSの機能や実現できること、導入のメリットを解説します。
LMSの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
LMS 36選|比較・選定ポイントとおすすめ「LMS」の特徴
LMSとは
LMS(Learning Management System)とは、デジタル教材の配信や学習履歴、テスト成績の管理などに用いる学習プラットフォームです。学習管理システムとも呼ばれ、企業においては研修やキャリアアップ支援などに用いられています。
LMSはeラーニングと混同されがちですが、両者の定義は異なります。eラーニングはインターネットとデジタルデバイスを用いた学習方法であるのに対し、LMSはeラーニングを効率的に実施するための管理システムのことをいいます。LMSとeラーニング教材がセットになったサービスも多く提供されています。
近年のLMSは多機能化しており、ライブ授業や受講者間のディスカッションなど、従来のeラーニングの範囲を超えた学習も可能となっています。また、集合研修を管理できるシステムも増えており、人材育成や研修業務全般に役立つサービスへと進化しています。
LMSで実現できること
LMSの代表的な機能例と、導入により実現できることを見ていきます。
多種多様な教材を配信
LMSの活用により、多種多様な学習教材を従業員に配信できます。ベンダーが提供する汎用的な教材をはじめ、自社オリジナルの教材や研修資料、ライブ授業などを配信することが可能です。
- 数百〜数千種類のeラーニング教材を提供
- ビジネスマナー・業務スキル・語学など多様なジャンルを提供できる
- 教材やテストをシステム上で作成できる(LCMS機能)
- 動画教材の作成も可能
- Web会議システムと連携してライブ授業を配信
学習管理を効率化
LMSには学習コースや受講者の管理、学習サポートを効率化する機能が備わっています。カリキュラムの設計やクラス分け、学習進捗管理、フォローアップなどをシステム上で行えます。
- システム上で単元やカリキュラムを設計
- 勤続年数や部門などの属性で受講者をクラス分け
- 各受講者の学習進捗や成績などをシステムで管理
- 受講者へメッセージを送信(お知らせ、受講催促などを送信)
効率的な学習環境を提供
LMSは受講者である従業員にとってもメリットの多いサービスです。オンラインで教材を配信するシステムのため、時間や場所に縛られず効率的に学習を進められます。
- モバイルデバイスでいつでも受講できる
- カリキュラムに沿って迷わず学習を進められる
- 不明点についてシステム上で質問できる
- テストやレポート提出がシステム上で完了する
- テスト結果が即座にわかる(自動採点機能)
社員のコミュニケーションを促進
LMSにはコミュニケーション機能が備わっており、受講者同士または受講者と講師の討議や情報共有などに活用できます。
- チャットやメッセージ機能でディスカッション
- SNS機能や掲示板機能で情報共有
集合研修の管理を効率化
一部のLMSでは、集合研修の参加者情報を管理できます。手間のかかる参加受付や変更対応、出欠管理などをシステムで効率化できます。
- 集合研修への参加申込をシステムで受付
- キャンセルや参加日変更などをシステム上で処理
- 集合研修の出欠をシステムで集計
LMSの導入で得られるメリット・効果
LMSの導入により、以下のメリット・効果が期待できます。
従業員研修を効率化
集合研修の場合、研修の日程調整や未受講者へのフォローなどに手間がかかりがちという課題があります。LMSを導入することで、受講漏れ対策や理解度の確認もシステム上で行えるため、少ない負担で研修を進められます。
また、LMSを使った研修であれば従業員が任意のタイミングで学習できます。部署や人によって繁忙期が異なる、または勤務体制が違うという場合でも、業務に影響が出ないように調整しながら学習することができます。
従業員のモチベーション向上
eラーニング教材やLMSによっていつでも学習できる体制を整えることで、従業員が成長を実感できる機会が増えます。結果として、従業員のモチベーション向上に役立ちます。
人材育成コストの削減
従来型の集合研修ではコストが膨らみがちという課題があります。とくに拠点数や従業員数が多い場合、会場までの移動費用や宿泊費なども発生します。LMSを使った研修では、これらのコストがかかりません。また、ペーパーレスで実施できるという利点もあります。
LMSの機能一覧
LMSの機能一覧をまとめました。ただし、搭載されている機能は各社で異なるため、導入の際はしっかり確認しましょう。
機能 |
特徴 |
---|---|
教材作成機能(LCMS機能) |
・システム上で学習教材を作成 ・テキストや画像などのコンテンツ用データをシステムにアップロード ・スライド教材作成 ・PDF教材作成 ・動画教材作成 ・テスト作成 |
教材提供機能(eラーニング提供機能) |
・ベンダーオリジナルの学習教材を提供 ・ビジネススキル、自己啓発、マネジメントなど多ジャンルのコンテンツを用意 |
教材管理機能 |
・教科設計(単元、教材振り分け、受講順序などを設定) ・学習条件設計(教材公開時期、受講条件などを設定) ・テストの合格点を設定 |
受講者管理機能 |
・受講者をシステムに登録(CSV登録が可能) ・学習クラスを設定(部門・役職など属性別にクラスを設定) ・学習クラスに受講者を割り振り |
学習機能(受講者向け機能) |
・教材を選んで受講 ・ライブ授業を受講 ・PCのほかスマホやタブレットでの受講が可能 ・テストを受験 ・レポートを提出 ・アンケートに回答 ・質問機能(講師へ質問送信・回答確認) ・学習状況確認(学習進捗、成績などを確認) |
学習・研修管理機能 |
・各種教材の受講状況を管理 ・各受講者の受講進捗や成績を閲覧 ・テストを自動採点 ・レポートを確認 ・受講者からの質問に返信 ・アンケートを集計 ・受講者にメールを送信 ・受講者へのお知らせをメッセージで配信 ・集合研修の情報をシステムに掲載 ・集合研修への参加を受付 ・集合研修の出欠を管理 |
コミュニケーション機能 |
・受講者同士でメッセージを送受信 ・SNS機能で意見交換 ・掲示板機能で情報共有 ・チャットでリアルタイムにディスカッション |
多言語対応機能 |
・インターフェースの言語を英語や中国語などに切替 ・学習コンテンツを指定言語に自動翻訳(一部サービスのオプション機能) |
外部連携機能 |
・Web会議システムと連携 ・基幹システムと連携 ・人事システムと連携 |
LMSを従業員研修に活用しよう
従業員研修の効率化や教育コスト削減、従業員のモチベーション向上など、LMSは多数のメリットを企業にもたらします。学習管理のしにくさにお悩みなら、LMSの導入を検討する価値は大です。ただし、サービス選定は慎重に行いましょう。機能や料金などを比較して、自社に適するLMSを選ぶことが肝要です。
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