各種ツールの進化を背景に、BtoBマーケティング手法としてABM(アカウントベースドマーケティング)の導入を検討する企業が増えています。しかし、自社の課題や営業方針と合致したツールを選択しなければ期待する効果は得られません。ここでは、ツールの比較方法として、選び方や導入の向き・不向きを解説します。
また、導入実績の多い代表的なABMツールをご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
ABMの実践では前提として、自社にとってポテンシャルの高い企業を選別するターゲティングが必要です。そのため、企業データの収集および社内に散在する顧客情報を統合し、顧客分析の精度を高めなくてはなりません。このステップを踏んだうえで、ターゲット企業に合わせた最適な施策を実行し、売上最大化を目指します。
ABMに取り組む手順は、以下のように整理できます。
①企業データの収集・顧客情報の統合
②企業のポテンシャルを分析
③ターゲット企業(アカウント)の選定
④施策の決定・実行
⑤効果検証・改善
ツールを活用することで、これらのステップを効率化できます。ABMに役立つツールを大別すると、①②③に特化した企業分析機能を有するツール、④⑤に対応しながらABMを支援するツールがあります。ABMを効率化するツールは主に以下のものです。
- 顧客データ統合・分析型ツール:企業のデータベース提供・顧客データの統合・ポテンシャル分析によるターゲティング
- MA(マーケティングオートメーション):マーケティング活動を自動化する
- SFA(営業支援システム):営業活動を可視化し効率化する
- CRM(顧客関係管理):顧客とのやり取り・履歴を可視化し関係維持を図る
ABMの手順とツールとの対応は、次のように整理できます。
ABMの手順 |
推奨ツール |
---|---|
①企業データの収集・顧客情報の統合 |
●顧客データ統合・分析型ツール |
②企業のポテンシャルを分析 |
●顧客データ統合・分析型ツール |
③ターゲット企業(アカウント)の選定 |
●顧客データ統合・分析型ツール |
④施策の決定・実行 |
●MA ●SFA ●CRM |
⑤効果検証・改善 |
●MA ●CRM |
ただし、各社が提供しているツールによって、機能やカバーしている範囲は異なります。事前に確認しておきましょう。
ABMツールの比較方法・選び方
ABMツールを比較選定する際のポイント
ABMツールを比較選定する際は、次の3つのポイントをチェックしましょう。
■どの機能が必要か
先の表に記したようにABMの実践に役立つツールはさまざまあり、どの機能が必要か検討することが第一歩です。とくにABMでは、企業データの収集・統合と、自社が重点的にアプローチすべき企業を選別するターゲティングが前提になります。これを実現したい場合は、顧客データ統合・分析機能を持つツールを活用するとよいでしょう。
■ツール連携は可能か
ABMの実践では、顧客情報や施策の結果を一元管理しながら、効果的なPDCAの実現を目指します。そのため、各ツールと連携できるかどうかは重要なポイントになります。 たとえば、顧客データ統合・分析型ツールとSFAを連携すれば、マーケティング部門と営業部門の情報が統合され、顧客の状況をすぐに確認できます。また、MAやCRMとの連携では、顧客管理から施策の実行・振り返りまでの工程を効率化できます。自社の戦略を実現できる仕組みを構築するには、各ツールの連携を視野に入れる必要があります。
■インターフェースは使いやすそうか
インターフェースの使いやすさは、ABMツール選びで重視したいポイントです。操作にストレスを感じるようなツールでは、効率化の妨げになります。デモ版を提供しているABMツールであれば、導入前に使い勝手を確認できます。めぼしいABMツールを見つけたら、提供元へデモ版の配布をリクエストしてみるのも良い方法です。
ABMの向き・不向き
ABMでは、ターゲットとする企業を深耕し、1社あたりの取引額を最大化することに重点が置かれます。そのため、企業の戦略や方針によって導入の向き・不向きの傾向があります。自社に向いているかどうかの目安として、以下に整理しました。
向き・不向き |
傾向 |
---|---|
ABMが向いている |
・重点的にアプローチすべき顧客を選別してリソースを集中させたい |
・大口顧客を持っていて、複数の窓口にアプローチしている |
|
・アップセルやクロスセルの提案を効率化したい |
|
・継続的な取引によって1社あたりの売上・利益を最大化したい |
|
ABMが向いていない |
・商材の単価が低く、取引社数を増やすことで利益を生むモデル |
・窓口が一つしかない小規模企業をターゲットにしている |
ABM導入時に注意すべきこと
ABMの導入でつまずきがちなのは、営業部門がABMの考え方に同意しないというケースです。ABMでは、顧客のポテンシャルを分析して自社が重点的にリソースを割くべき顧客をセグメンテーションします。つまり、長期的な取引を見越したうえでの選定がなされるわけです。しかし、期ごとの売上目標を追いかける営業部門にとっては、今すぐ数字につながる顧客群を重視する傾向が強いため、ABMを用いた戦略に反発する事態が起こり得ます。
これを回避するには、営業側が持つ情報を顧客データにフィードバックし、マーケティングと営業活動とをしっかり連携させて、双方にとって納得感のあるリストを生成することが必要です。継続的に調整を図りながら、各部門が同じゴールを目指せる状態を作ることが大切です。
ABMツール導入に向けて動き出そう
ツールなしにABMを実践するのは手間がかかりすぎるため、現実的に難しいでしょう。ツール選択の段階では、現在利用中のシステムとの相性や、目標達成に必要な機能を見極める必要があります。ここで解説した選定ポイントや注意点をヒントにして、自社の課題解決に役立つABMツールを見つけてください。
ABMツール 3選「特徴」と「活用事例」
1.FORCAS
(参照元:https://www.forcas.com/)
サービス名 |
FORCAS |
キャッチフレーズ |
B2Bに特化した国内唯一のABMプラットフォーム |
サービス概要 |
●成約確度が高いターゲット企業リストをカンタンに作成 |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・FORCAS独自の 企業データ |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
2.Datanyze(データナイズ)
(参照元:https://datanyze.jp/)
サービス名 |
Datanyze(データナイズ) |
キャッチフレーズ |
毎日更新 テクノロジー導入解約データで見込客を獲得 |
サービス概要 |
◆ 世界250ヵ国、 3,500万ドメイン、9,000ツールと300万アプリのデータ |
向いてる形態 |
BtoB |
機能一覧 |
・テクノグラフィック |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
3.Treasure Data CDP for Sales
(参照元:https://www.incudata.co.jp/service/dbc/cdp_for_sales.html)
サービス名 |
Treasure Data CDP for Sales |
キャッチフレーズ |
B2Bセールス&マーケティング活動の高度化を実現 |
サービス概要 |
Treasure Data CDP for Salesは、法人営業高度化のためのデータプラットフォームです。 |
向いてる形態 |
BtoB |
導入企業の傾向 |
ABMに取り組みたい企業 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |