新規市場への参入や既存事業の刷新などに役立つ市場調査を代行・支援するのが「市場調査会社」です。現在では多種多様な市場調査会社があるため、自社に合った会社を選定するのが難しい状況です。本記事では、市場調査会社を比較選定する際のポイントや利用時の注意点を説明します。

市場調査会社を比較選定する際のポイント

市場調査会社を比較選定する際のポイント

 

市場調査会社を選定する際にチェックしておきたいポイントは、以下の4つです。

 

  • 対応可能な調査手法・実績
  • 調査モニターの数・質
  • 実査から結果報告までの期間
  • リサーチャーの質

 

各項目を詳しく見ていきます。

対応可能な調査手法・実績

市場調査は、商品開発や店舗出店、マーケティング活動などを行うにあたって「どのような市場なのか」を把握するための調査です。

 

主に3種類あり、それぞれ以下のような手法で実査が行われます。

 

  • 定量調査:インターネット調査、郵送調査、電話調査、会場調査など
  • 定性調査:グループインタビュー、デプスインタビュー、行動観察調査など
  • デスクリサーチ:国や自治体、業界団体の統計データや研究資料など

 

どのような調査を強みとしているかは各社異なります。大規模なインターネット調査を得意とするところもあれば、定性調査に特化しているところもあるため、自社が必要とする調査に対応している会社を選定してください。

 

なお、市場調査会社の得意領域はホームページで確認することができます。過去の調査実績や事例が記載されている場合は、具体的な業界・規模・調査内容を参考にできます。自社と同じような規模・業界での調査実績があれば、その領域でのノウハウが蓄積されている可能性が高いといえるでしょう。

調査モニターの数・質

市場調査で信頼性の高いデータを得るためには、調査目的に合ったモニター(調査対象者)に調査を実施する必要があります。また、まとまったサンプル数を確保することも重要です。

 

市場調査会社では独自に調査モニターを保有していることが多く、調査内容に応じて企業や消費者を選定して実査を行います。どのような属性の調査モニターをどのくらい保有しているかは各社異なるため、自社が知りたい市場・業界や調査内容に合致しているかを確認しましょう。

実査から結果報告までの期間

目的に合った調査を実施できたとしても、実査から調査結果の報告までの期間が長すぎると情報の鮮度が落ちてしまいます。そのため、市場調査会社を選定する際は調査スケジュールをチェックしておくことも重要です。

 

調査の所要期間は調査方法・調査内容などで変わってくるため、自社のケースでのスケジュールや納期を確認し、スピーディに対応してくれるところを選びましょう。

リサーチャーの質

必要な市場データが得られるかどうかは、担当リサーチャーの力量が影響します。自社のケースでの調査・分析スキルが不足していると、調査結果を意思決定や次のアクションに活用できない可能性が出てきてしまいます。

 

自社と相性の良いリサーチャーかどうかを見極めるために、事前相談の段階で以下のポイントを確認しておきましょう。

 

  • 自社の調査目的・課題の理解度
  • 目的に合った調査手法の提案力
  • これまで手掛けた調査の実績
  • 客観的な視点でのアドバイス

課題・ニーズ別に見た市場調査会社の向き・不向きの傾向

どのような市場調査会社を選ぶべきかは、自社の目的によっても変わってきます。

 

以下に課題・ニーズ別の向き・不向きの傾向をまとめました。

 

課題・ニーズ

向き・不向きの傾向

海外で事業展開するにあたり現地の市場環境を把握したい

海外に拠点があり、現地調査(グローバルリサーチ)の実績が豊富な市場調査会社が適している

新規エリアへの出店を検討している

商圏調査を得意とする市場調査会社であれば、通行量調査や競合の出店状況などを調査し、自店舗に適したエリアや見込み来客数などを分析してもらえる

ネットリサーチだけでは必要な統計データにアクセスできない

デスクリサーチを強化している市場調査会社に依頼する。多彩な市場・業界の統計データやデータベースなどを保有しており、信頼性の高い情報を提供してもらえる

市場調査会社を利用する際の注意点

市場調査会社を利用する際の注意点

 

市場調査会社を利用する際は、以下の2点に留意しましょう。

調査の目的を明確にする

市場調査会社は依頼主の目的・要望に応じて調査計画を立てます。調査目的が曖昧だと効果的な調査とならず、必要な市場データを取得できなくなる可能性があるため注意が必要です。依頼の際は、どのような市場データをどのように活用したいのかを整理しておきましょう。

仮説を立てる

市場調査は手あたり次第に質問を羅列するのではなく、仮説に沿って組み立てることが大切です。仮説とは、調査で知りたいことに対する仮の答えです。仮説がないと「あれもこれも聞いておこう」と調査項目が膨大になり、回答者の負担増大や回答率の低下を招く可能性があります。

信頼できる市場調査会社を選定しよう

市場調査には様々な手法があるため、自社の目的に合った調査内容・手法を得意とし、合致する調査モニターを保有している調査会社を選ぶことが大切です。また、実査から結果報告までスピーディに対応してくれることや、リサーチャーとの相性も重要な比較検討ポイントです。

 

ご紹介した選定ポイントを参考に、信頼できる市場調査会社を見つけてください。