予算管理を効率化する「予算管理システム」。部門ごとの予算の情報収集や、予実分析に役立つ機能が備わります。Excelでの予算管理では柔軟に対応できなかったことも、予算管理システムの導入によりスムーズかつ効率的に運用できるようになります。ここでは、予算管理システムの機能や導入メリット、サービス導入により実現できることを解説します。
予算管理システムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
予算管理システム 6選|比較・選定ポイントとおすすめ「管理会計システム」の特徴
予算管理システムとは
予算管理システムとは、予算に関する情報管理を効率化するITツールです。Excelで行われることの多い予算管理を、より少ない負担で正確に行うための機能が備わっています。
予算を正確に管理するには、売上や費用などの情報を定期的に収集し、予実状況を分析しなければなりません。これら予算管理に関連する作業は、企業の規模に比例して煩雑化します。拠点数や店舗数が多くなれば、予算管理に必要な情報量も多くなり、Excelでの処理は難しくなるでしょう。
予算管理システムは情報収集と分析を専門とするツールであり、Excelによる予算管理の問題点を解消します。また、自社の予実情報を可視化できるため、管理会計に役立てることができます。
予算管理システムで実現できること
予算管理システムの導入によって実現できることは、次の3つです。主要機能とともに見ていきましょう。
情報収集を効率化
予算管理システムを利用すれば、予算管理に必要な情報収集を効率的に行えます。各部署や拠点からシステムに直接データを入力できるため、Excelファイルを配付・回収するような手間がかかりません。
- 各拠点からオンラインでデータ入力
- Excelライクな画面で入力できる(一部ツール)
- Excel・CSVファイルのアップロードも可能
- 情報収集進捗をシステムで可視化
予実管理・分析を効率化
予算管理システムには、予実管理を効率化する機能が備わっています。データ集計やレポート作成を自動化できるほか、予実差異の分析も効率的に行え、期中や次期の予算再編成に役立てることができます。
- 各拠点から集めたデータを自動集計
- レポート機能により予実状況を可視化
- 予実差異の要因をドリルダウン機能でチェック
- レポートを外部出力して分析(Excel・BIツールなどで分析)
予算編成を効率化
予算のボトムアップとトップダウンをシステムで管理することにより、スピーディな予算編成を可能とします。
- 予算編成のワークフローを設定
- 各部署・拠点の予算案をシステムに入力
- 予算案と過去の予算実績をシステムで比較
- 予算編成をシステムでシミュレーション
- 総合予算編成をシステムに入力
予算管理システムの導入で得られる効果・メリット
予算管理システムの導入により、次の効果・メリットが期待できます。
業務負担とミスの削減
予算管理システムの導入により、システム上でのスムーズな情報収集が可能となり、管理担当者の業務負担が軽減されます。Excelで予算管理している企業であれば、ファイルの配付と回収が不要になるうえ、ファイルの誤消去やバージョン間違いなどのミスもなくなります。
情報分析が効率化されることも、予算管理システムの導入メリットです。予算情報の分析やレポート作成がシステムで自動化されるため、Excelでのデータ集計や加工が不要となります。結果的にデータ分析ミスが減り、分析作業の属人化解消につながります。
予実管理精度の向上
予実状況がリアルタイムで可視化されるため、月次の着地予想や差異分析を素早く行えるようになり、経営層は常に最新の予実情報をチェックできます。
また、予算管理システムでは、予実確認に用いるデータ項目の変更・追加をExcelよりも簡単に行えます。このため、必要に応じて分析データの精度を高めることも容易です。
情報漏えいのリスクを低減
メールでのExcelファイルの送信には、誤送信やウイルス感染による情報漏えいの危険がともないます。クラウドストレージやスプレッドシートで情報共有する場合も、共有設定ミスやURLの漏えいに注意しなければなりません。
予算管理システムでは、IPアドレス制限や操作権限の設定、通信暗号化などにより、予算情報の漏えいを防止できます。また、多くのベンダーがデータセンターのセキュリティ対策に力を入れているため、クラウド環境でも安全に情報を管理できます。
予算管理システムの機能一覧
予算管理システムの代表的な機能を以下にまとめました。ただし、搭載されている機能はシステムごとに異なるので、事前に確認してください。
機能 |
特徴 |
---|---|
データ収集機能 |
・予算関連情報をシステムに入力(売上や費用などの情報を入力) ・Excelファイルをアップロード ・CSVファイルをアップロード ・会計ソフトからデータをインポート ・データ収集の進捗をステータス表示 ・外貨を自動換算(海外拠点の予算管理に使用) |
データ集計・分析機能 |
・システム上のデータを自動集計 ・予実分析レポートを自動作成 ・期間別や部署別など条件を指定してのレポート作成が可能 ・ドリルダウン機能で予実差異の原因を確認できる ・独自のレポート設計が可能 ・データ項目の変更や追加が可能 |
予算編成機能 |
・予算承認フローを設定 ・各拠点や部署から予算案を入力 ・予算編成をシミュレーション ・総合予算編成を入力 ・予算計画にKPIを設定 |
システム管理・セキュリティ機能 |
・アクセス権限を設定 ・データ閲覧権限を設定 ・操作権限を設定 ・操作ログを照会 ・IPアドレス制限を設定 |
外部連携機能 |
・ERPと連携 ・会計ソフトと連携 ・原価管理システムと連携 ・BIツールと連携 |
予算管理システムの導入に動き出そう
予算管理システムの導入により、業務負担とリスクの少ない予算管理が可能となります。また、リアルタイムでの予実確認も可能となり、予算編成からアクション検討までのPDCAサイクルを効率化できます。以上のようにメリットの多い予算管理システムですが、サービス選定は慎重に行いましょう。システムの導入目的を明確化した上で、自社に適するサービスを選ぶことが肝要です。
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