正確で効率的な倉庫管理を可能にする「倉庫管理システム(WMS)」。コスト削減や属人化解消などのメリットを持つ一方で、選定が難しいサービスでもあります。ここでは、自社に適する倉庫管理システムを選ぶための比較方法や選定ポイント、導入時の注意点を解説します。
また、導入実績の多い代表的な倉庫管理システムをご紹介します。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
倉庫管理システム(WMS)の比較方法・選び方
倉庫管理システムを比較選定する際のポイント
倉庫管理システムを比較検討する際のチェックポイントは、次の4つです。
■導入方式を決定する
倉庫管理システムの導入方式には、オンプレミス型、パッケージ型、クラウド型の大きく3種類があります。サービス選定に入る前に、どの導入方式を採用するか決めておきましょう。
- オンプレミス型
自社サーバーでソフトウェアを運用する導入方式です。カスタマイズを前提とする方式であり、自社に合わせたシステムを構築できます。ただし、初期費用が高額な上に設備のメンテナンスにも費用を要します。 - パッケージ型
完成済みのソフトウェアをサーバーにインストールする導入方式です。オンプレミス型より安価ですが、カスタマイズできる範囲は限定されます。 - クラウド型
オンラインサービスを利用する導入方式です。ソフトウェアやサーバーの準備が不要なため、初期費用を安く抑えられます。メンテナンスフリーで使える便利な導入方式ですが、オフライン環境で利用できない点に注意を要します。
■基本機能を比較する
倉庫管理システムの選定において、特に力を入れたいのが基本機能の比較です。次のポイントを参考にして、導入候補とするサービスの機能を比較してください。
- 自社の業務フローに必要な機能は備わっているか
- 複数拠点を効率的に管理できるか
- 引当条件を細かく設定できるか
- 自社の取扱商品に適した情報管理ができるか
- 自社で利用したいハンディ端末に対応しているか
- 自社の基幹システムと連携可能か
基本仕様で不足する機能については、カスタマイズで補える場合があります。不必要な機能を省ける場合もあるので、要望があるならベンダーに問い合わせを行ってみるとよいでしょう。
■サポート体制を比較する
トラブルにより倉庫管理システムが使えなくなると、業務に大きな支障が出てしまいます。万が一の事態に困らないように、サポート体制の充実したサービスを選んでおきましょう。
サポート体制を比較する際の重要チェックポイントに、サポート対応時間とサポート方法があげられます。対応時間については、自社の業務時間をカバーしていることが重要です。深夜まで倉庫を稼動させている企業には、24時間体制のサポートが必要となります。
サポート方法にあげられるのは、電話・メール・遠隔サポートなどです。トラブル発生時には早急な対処が求められるため、電話サポートと遠隔サポートを利用できたほうがよいでしょう。
■コストを比較する
倉庫管理システムの利用コストは導入方式により大きく変わります。サービスごとのコスト差も大きいため、相場を押さえた上で価格比較を行うことが肝要です。
パッケージ型システムの価格相場は、基本仕様で300〜500万円前後です。数千円〜数万円で購入できるPC用システム(在庫管理ソフト)もありますが、機能が大幅に限定されていることもあるので、しっかり確認しましょう。
オンプレミス型システムの価格は、数百万〜1千万円以上と高額です。システム構成や倉庫の規模などにより開発費が大きく変わるため、具体的なコストについてはベンダーに問い合わせてください。
クラウド型システムの初期費用は40〜50万円前後、月額料金は基本プランで50,000〜80,000円前後が相場です。プランの内容(アカウント数や機能など)や追加アカウント料金、従量課金などを比較して、納得できるサービスを選定しましょう。
課題・ニーズ別に見た倉庫管理システムの向き・不向きの傾向
自社の抱える課題や要望によって、選択すべき倉庫管理システムのタイプは変わります。次の表を参考にして、自社にはどのようなシステムが向くのか検討してください。
課題・要望 |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
なるべく低コストで導入したい |
・クラウド型はコストを抑えた導入が可能。ただし、長期利用によるランニングコストを勘案する必要がある ・カスタマイズの必要性がなければ、リーズナブルなパッケージ型ソフトを検討するという選択肢もある |
システム導入による業務フローの変更をなるべく抑えたい / 特殊な業務フローに合うシステムを探している |
・オンプレミス型システムであればオーダーメイドが可能 ・カスタマイズ性を備えたクラウド型システムも提供されている |
複数倉庫を手軽に管理したい/社外でも倉庫情報を確認したい |
・クラウド型システムはインターネット環境があれば利用できるため、複数拠点や社外利用を踏まえた導入に適している |
海外拠点でも活用したい |
・多言語対応や現地通貨での仕分け計算ができる機能を備えたシステムを選ぶとよい |
倉庫管理システムの導入時に注意すべき点
倉庫管理システムを導入する際は、以下の点に注意が必要です。
■費用対効果を検討する
倉庫管理システム導入の是非は、システムの費用対効果を検討した上で決定しましょう。十分な検討なしにシステム導入を進めると、思うような効果を得られない場合があるので要注意です。
たとえば、取扱商品数が少なく、数名の従業員で事業を回せている企業では、倉庫管理システムを導入しても高い費用対効果を得にくい場合があります。一方、上記のような小規模企業でも、従業員の増員や事業拡大を予定している場合は、倉庫管理システムを導入する価値は高いといえます。
倉庫管理システムの導入には、まとまった費用を要します。導入目的を明確にしたうえで費用対効果を検討し、価値があると判断できたらサービス導入に踏み切ることをおすすめします。
■従業員への説明に力を入れる
倉庫管理システムの導入により従来の業務フローに大幅な変更が生じる場合、倉庫で働く従業員から反対を受けるケースがあります。従業員への説明が不足していると、反対意見が出やすくなるので注意しましょう。
倉庫管理システムをスムーズに導入するには、マニュアル作成や説明会に力を入れることが肝要です。従業員への説明を行う際は、システム導入メリットを丁寧に伝えましょう。説明の仕方がわからない場合は、ベンダーによる導入サポートや相談会などを利用するのも良い方法です。
倉庫管理システムの導入準備を進めよう
倉庫管理システムは業務フローに大きな影響を与えます。機能とコスト、サポート体制の3点を比較して、自社に最適なサービスを選定しましょう。サービス導入フェーズでは、費用対効果の検討と、従業員への説明に注力することが肝要です。以上を踏まえて、まずは具体的なサービス選定に進んでください。
倉庫管理システム(WMS) 6選
1.COOOLa
(参照元:https://www.brycen.co.jp/service-solution/logistics-solution/#coola)
サービス名 |
COOOLa |
キャッチフレーズ |
クラウド型倉庫管理システム |
サービス概要 |
COOOLaは、物流・倉庫業務の生産性を徹底的に追求したシステムです。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・物流画像検品システム |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
2.ci.Himalayas/wms
(参照元:https://www.cross-docking.com/service/wms-standard/)
サービス名 |
ci.Himalayas/wms |
キャッチフレーズ |
機能が約170標準搭載された倉庫管理システム |
サービス概要 |
『ci.Himalayas』は、入庫、出庫、在庫、棚卸、請求など、倉庫管理に必用な機能が約170標準搭載されたクラウド型の倉庫管理システムです。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・入庫 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
3.クラウドWMS 「倉庫革命」
(参照元:https://www.nekonet.co.jp/service/lmslogistics-management-service)
サービス名 |
クラウドWMS 「倉庫革命」 |
キャッチフレーズ |
入出庫・在庫管理業務の効率化とシステム化を実現 |
サービス概要 |
「入庫・出荷・在庫管理」をクラウド上の倉庫管理システム(WMS)で行うことにより、貴社の庫内業務における、効率化・標準化を支援いたします。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・入庫管理機能 |
価格 |
・初期費用(システム構築費用) 300,000円 / サイト |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
4.ci.Himalayas/GLOBAL
(参照元:https://www.cross-docking.com/service/wms-asia/)
サービス名 |
ci.Himalayas/GLOBAL |
キャッチフレーズ |
クラウド型多言語版倉庫管理システム |
サービス概要 |
≪海外拠点での使用に対応した、多言語対応のクラウド型倉庫管理システムです。≫ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・【入庫・返品入庫】 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
5.ONEsLOGI / WMS Cloud サービス
(参照元:https://www.hitachi-hbsoft.co.jp/solution/wms/cloud.html)
サービス名 |
ONEsLOGI / WMS Cloud サービス |
キャッチフレーズ |
短期間・低コストで物流改革 |
サービス概要 |
≪庫内運用に必要な、入荷管理機能(予定取込から検品・棚入まで)、在庫管理機能(問い合わせ、調整/移動、棚卸)、出荷管理機能(指示取込から、在庫引当、ピッキング、検品、帳票発行)を実装いたします。≫ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・複数拠点・荷主の在庫管理 |
価格 |
・パブリック版クラウドサービス 50,000円 / 月 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
6.ZIZAIA(ジザイア) WMS
(参照元:https://www.info-sense.co.jp/zizaia/)
サービス名 |
ZIZAIA(ジザイア) WMS |
キャッチフレーズ |
変わるパッケージで、効率が変わる。倉庫が変わる。 |
サービス概要 |
≪新発想のフレームワークにより、お客様の業務効率を高めるパッケージ変更を、低コスト・短納期*で行うことが可能です。お客様の2つの効率(導入効率&業務効率)を追求したWMS。それがZIZAIA(ジザイア)WMS。≫ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・入荷機能 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |