給与明細書を電子化するWEB給与明細システム(給与明細電子化)。業務効率化やコスト削減など、多数の導入メリットを持つWEBサービスです。ただし、WEB給与明細システムは数多く提供されており、機能性もそれぞれに異なるため、自社に適しているかをしっかり見極めておく必要があります。ここでは、WEB給与明細システムの比較選定ポイントと導入時の注意点を解説します。
また、導入実績の多い代表的なWEB給与明細システム(給与明細電子化)をご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
WEB給与明細システム・給与明細電子化の比較方法・選び方
WEB給与明細システムを比較選定する際のポイント
WEB給与明細システムを検討する際のポイントは、次の4つです。
- サービスのタイプを検討する
- 基本機能を比較する
- セキュリティ性を確認する
- ランニングコストを比較する
一つずつ見ていきましょう。
■サービスのタイプを検討する
WEB給与明細システム(WEB給与明細書配信システム)には、大きく2つのタイプがあります
- WEB給与明細システムを単体で提供
- 給与計算ソフト・労務関連システムの中に組み込んで提供
給与明細電子化だけをサービス導入目的とするなら、単体タイプで用が足りるでしょう。また、すでに給与計算ソフトなどを利用している場合は、連携できるサービスを選ぶことが重要になります。
一方、給与明細関連の業務に加えて、給与計算や人事管理などの効率化も検討中なら、WEB給与明細機能が付いた給与計算システムや労務管理システムも導入候補にあがります。また、自社でクラウド会計ソフトを利用中の場合は、連携性を考慮して、シリーズ製品にWEB給与明細システムがあるものを選ぶという方法もあります。
なお、次節からの解説は、WEB給与明細システム(明細書発行と配信を主要機能とするサービス)に特化した比較選定に的をしぼって進めます。
■基本機能を比較する
WEB給与明細システムの選定において、特に入念に比較したいのが基本機能です。次の5つのポイントを参考にして、自社が必要とする機能に不足のないサービスを選び出しましょう。
- 給与明細の閲覧方法は適切か(メール配信、WEBでの閲覧など)
- 幅広い端末に対応しているか(PC、スマホ、タブレット、ガラケーなど)
- 給与明細書以外の明細書・帳票も作成できるか(賞与明細、源泉徴収票など)
- 給与明細書の配信スケジュールを細かく設定できるか
- システム上で明細書電子化の同意確認ができるか(社員の同意確認を収集できるか)
給与明細書の閲覧方法については、複数の方法から社員に合わせて選べると便利です。特にガラケー(フィーチャーフォン)を利用している社員が多い企業では、HTML形式のメールでの明細書送信を選べたほうがよいでしょう。
上記の基本機能を比較したら、付加機能もチェックしてください。一部のWEB給与明細システムでは、英語表記での明細書発行や、給与明細書へのファイル添付(書類、動画などの添付)などが行えます。自社にとって便利な機能が備わっているサービスを選定しましょう。
■セキュリティ性を確認する
WEB給与明細システムは、クラウド上にデータを保存することになります。万が一の情報漏えいが起こらないように、セキュリティ性の高いサービスを選定しておきましょう。具体的には次の4点をチェックして、安心して使えるWEB給与明細システムを選び出してください。
- アクセス二重認証や操作ログ管理などのセキュリティ機能が充実しているか
- データ暗号化通信(SSL)に対応しているか
- ベンダーがプライバシーマークを取得しているか
- ベンダーが外部機関の情報セキュリティ認証(ISO27001、ISO27018など)を取得しているか
上記のポイントだけでサービスのセキュリティ性を判断できない場合は、ベンダーへ問い合わせることをおすすめします。質問に丁寧に答えてくれるベンダーであれば、安心感も持てます。
■ランニングコストを比較する
WEB給与明細システムの多くは、ユーザー数(従業員数)に応じて料金が決まる従量課金制を採用しており、料金相場はユーザー1人あたり月額30〜100円前後です。これに加えて、一部サービスでは従量料金とは別に月々3,000〜5,000円程度の基本料金を設定している場合があります。
また、初期費用も無料〜10万円以上とサービスにより差があります。このため、コストの比較は一定期間のサービス利用で発生するトータル料金を試算した上で行うことが肝要です。
たとえば、初期費用やオプション利用料を含めて、年間でどの程度の費用がかかるか試算するとコストを比較しやすくなります。費用と機能性のバランスを考えながら、自社に適したサービスを導入しましょう。
課題・ニーズ別に見たWEB給与明細システムの向き・不向きの傾向
WEB給与明細システムの選定は、自社の課題を踏まえて行うことが肝要です。次の表を参考にして、自社にどのようなWEB給与明細システムが向くのか検討してください。
課題 |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
従業員のITリテラシーが低い |
・画面がシンプルで操作しやすいサービスが適している(操作性は試用版で確認することをおすすめ) |
従来の給与明細のレイアウトを崩したくない |
・明細書レイアウトを自由に設計できるサービスが適している ・テンプレートからの明細書作成にしか対応していない場合は不向き |
システムの運用または明細書の電子化に不安がある |
・サポートが手厚いサービスを選ぶとよい(サポート方法・サポート対応時間をチェックする) ・強固なセキュリティ対策がとられているか確認する |
給与明細書の郵送を希望する従業員がいる / 給与明細の郵送を効率化したい |
・給与明細書の発送代行を依頼できるサービスであれば、負荷を下げながら対応可能 |
導入時に注意すべき点
給与明細書の電子化は法律で認められています。ただし、所得税法において、紙から電子化への移行には受給者の承諾を得ることが必要とされています。この際に、電子化する書類の名称や配付方法、ファイル形式などを明示する必要があります。(このため、従業員の同意なく給与明細書を電子化することはできません。仮に多くの従業員が紙の明細書の継続を希望すれば、WEB給与明細システムの導入効果は大幅に減少してしまいます。
給与明細書の電子化について多くの従業員の同意を得るには、電子化のメリットを丁寧に説明することが肝要です。スマートフォンやガラケーでも明細書を閲覧できる便利さや、明細書の紛失リスクがなくなる点などを説明して、従業員に納得してもらいましょう。
WEB給与明細システムの導入準備を進めよう
WEB給与明細システムの選定では、基本機能とセキュリティ性およびコストの3点を比較して、自社に適するサービスを選び出してください。サービス導入フェーズでは、給与明細電子化の同意を得られるように、従業員への事前説明を入念に行いましょう。電子化により従業員が得られるメリットを説明することにより、電子化への同意、引いてはサービス導入効果を得やすくなります。以上を踏まえて、具体的なサービス選定へ進んでください。
WEB給与明細システム・給与明細電子化4選
1.Pay-Look
(参照元:https://www.clicks.ne.jp/paylook/index.html)
サービス名 |
Pay-Look |
キャッチフレーズ |
給与明細のウェブ化でコスト削減!! |
サービス概要 |
【Pay-Look導入の特徴】 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
2.やよいの給与明細 オンライン
(参照元:https://www.yayoi-kk.co.jp/products/payroll-ol/)
サービス名 |
やよいの給与明細 オンライン |
キャッチフレーズ |
かんたん、あんしん、たよれる。 |
サービス概要 |
初心者でも、給与明細書がかんたん、気軽に作成できる。シンプル機能のクラウドアプリ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・設定 |
価格 |
・無料体験プラン 0円 / 月額 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
3.Focus U 給与明細
(参照元:https://www.focus-u.jp/product/pay/)
サービス名 |
Focus U 給与明細 |
キャッチフレーズ |
給与明細は今、 紙からクラウドの時代へ |
サービス概要 |
Focus U 給与明細を使えば、ウェブ上で給与明細書を閲覧し、必要に応じて個人でPDF印刷を行うことができるため、用紙コストや封入コスト、配付コスト、郵送コストがすべてなくなります。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・for 弥生 |
価格 |
・初期導入費用 50,000円 / 初期費用 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
4.Fleekform 給与
(参照元:https://www.fleekform.com/payslip/)
サービス名 |
Fleekform 給与 |
キャッチフレーズ |
Web給与明細 |
サービス概要 |
給与明細配布に掛かる時間やコストを抑えて、ルーティンワークを自動化 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |