さまざまな業務のオンライン化が進む昨今、ペーパーレス会議に注目する企業が増えています。ペーパーレスとは紙の不使用を指す言葉ですが、ペーパーレス会議のメリットは紙の削減だけにとどまりません。ここでは、ペーパーレス会議で実現できることや導入メリットを解説します。
ペーパーレス会議とは
ペーパーレス会議とは紙の資料の代わりに、WordやPDFなどのデータをそのまま資料として用いる会議スタイルです。資料の閲覧はPCやタブレットなどのデバイスで行われ、会議運営の利便性を高めます。
近年は、より効率的な会議運営のために「ペーパーレス会議システム」が広く利用されています。ペーパーレス会議システムとは、会議資料の共有と管理に特化したシステムです。会議運営に役立つ多様な機能が備わっており、社内ネットワークとオンラインの両方で利用できます。特に現在はオンラインでの活用事例が増えており、Web会議システムと併用しての遠隔会議の充実化や、テレワーク中の社員とのミーティングなどに役立てられています。
ペーパーレス会議システムの進化により、単に資料をデジタル化するだけにとどまらない、メリットの多いペーパーレス会議が可能となりました。なお、次節以降の解説は、ペーパーレス会議に用いるシステムの呼称を「ペーパーレス会議」に統一して進めます。
ペーパーレス会議で実現できること
ペーパーレス会議で実現できることは、以下の通りです。
スピーディに資料を共有
ペーパーレス会議には、資料を会議参加者へ共有する機能が備わっています。簡単な操作でスピーディに資料を共有することが可能です。
- ブラウザから各種資料(PDF、Word、PowerPointなど)をアップロード
- ドラッグ&ドロップでアップロードが完了する
- 自社サーバーやクラウドサーバーを通じて資料を共有
- フォルダやダウンロードURLなどから資料を閲覧できる
会議資料を安全に管理
ペーパーレス会議で共有した資料は安全に管理できます。各種の制限を設定して、資料の管理ミスによる情報漏えいを防ぐことが可能です。
- 資料の閲覧制限やダウンロード制限などを設定できる
- 資料の公開期限を設定できる
- 公開期限が過ぎた資料を参加者端末から自動削除
デジタルの利点を活かしたスムーズな会議進行
ペーパーレス会議には、会議の進行を補助する機能が多数備わっています。デジタルの利点を活かした各種機能により、スムーズに会議を進めることが可能です。
- 会議の進行に合わせて発表者を変更できる
- 発表者の画面操作(ページ送り・ポインターなど)を参加者端末に同期
- 会議中に資料を追加できる
- 資料へのメモ書きが可能
- メモを参加者間で共有できる
ペーパーレス会議の導入で得られる効果・メリット
資料のペーパーレス化で得られる効果といえば、まず思い浮かぶのが紙や印刷コストの削減です。ペーパーレス会議の導入効果はこれにとどまりません。次に解説する3つの導入効果により、企業に大きなメリットをもたらしてくれます。
資料の電子化による生産性向上
デジタルデータをそのまま資料として使えることがペーパーレス会議のメリットです。紙の資料を使う会議と比べて準備の手間が少なく済むため、リソースをより生産的な活動に向けることができます。
紙の資料を会議に利用する場合、会議開催のたびに印刷やホチキス留めなどの作業が生じます。当然ながら準備作業中はほかの業務を行えません。会議終了後の保管作業も含めると、年間でかなりのリソースを紙の資料の取り扱いに割くことになります。
こうした紙の資料のデメリットは、ペーパーレス会議の導入により一気に解消できます。資料配布がシステムで完了できるようになり、印刷やホチキス留めなどの作業が不要に。資料の保管もファイル操作だけで済むため、保管場所の削減につながります。
意思決定スピードの向上
システム導入により、社員がどこにいても充実した会議を行えるようになれば、結果的に意思決定を高速化できます。
紙の資料をベースとする会議では、参加者が一カ所に集合して行うスタイルが一般的です。しかし、スケジュール調整に手間取ることがあるほか、現在ではテレワークの普及により、セキュリティ対策を含めて会議運営が煩雑化しています。
ペーパーレス会議を利用する体制では、システムに接続できるデバイスさえあれば、社員がどこにいても資料を閲覧できます。資料の差し替えや追加もリアルタイムで反映されるため、社外にいて不便を感じることはほぼないでしょう。充実したオンライン会議が可能になれば、企業の意思決定スピードに貢献します。
情報漏えいのリスクを低減
ペーパーレス会議には情報漏えいを防ぐための機能が多数備わっています。資料を閲覧する環境や期間を制限できるほか、誰がいつどのようなファイル操作を行ったか、記録を追って調べることが可能です。これらの機能を活用すれば、情報漏えいのリスクは大きく減少します。
紙の資料を使う会議では、会議開催後の資料の紛失が起こりがちです。ほかの書類に紛れて資料の行方がわからなくなったり、重要な資料を誤って捨ててしまったりといった管理ミスは思いのほか頻繁に生じます。行方不明になった資料から、機密情報が漏れてしまうケースも少なくありません。
ペーパーレス会議を導入すれば、会議終了後に参加者の端末から資料を自動削除するように設定できるため、機密性の高い資料も安全に扱えるようになります。このほか役職に応じて、資料の閲覧やダウンロードの権限を設定することも可能です。ペーパーレス会議の柔軟なセキュリティ設定を活用すれば、カジュアルな打ち合わせから重役会議まで安全性を保って開催できます。
ペーパーレス会議の機能一覧
ペーパーレス会議の代表的な機能をまとめました。ただし、提供されている機能はサービスによって異なります。
機能 |
特徴 |
---|---|
資料共有機能 |
・システムに各種ファイル(Word・Excel・PowerPoint・PDFなど)をアップロード ・資料の閲覧権限や閲覧期限を設定 ・資料ダウンロードの禁止が可能(読取専用モード) ・端末(PC・タブレットなど)で資料を閲覧 ・閲覧期限終了時に参加者端末から資料を自動削除 |
会議補助機能 |
・発表者の操作(ページ送り・画面ズーム・マーカーなど)を同期 ・メモ書き機能(手書き・キーボード入力) ・メモ書きを端末間で共有 ・個人メモを端末またはサーバーに保存 ・独立した画面表示(発表者と同期しない画面)に切り替え可能 ・発表者切り替え機能 ・資料差し込み機能 ・議案投票と集計 |
管理・セキュリティ機能 |
・システムにアクセスする端末を管理 ・ユーザー管理 ・データ容量管理 ・操作ログを閲覧 ・IPアドレス制限 ・資料ファイルを暗号化 |
ペーパーレス会議を導入する価値は大
ペーパーレス会議を導入すれば、会議資料の共有や管理を効率化できます。テレワークを充実化できることもペーパーレス会議の導入メリットです。資料共有機能と画面同期機能により、場所にとらわれず、かつ進行に取り残されないオンライン会議が可能となります。ただ、これらメリットを得るには、まずサービス選定を慎重に行わなければなりません。機能やシステム要件などを比較して、自社に適するサービスを選び出すことが肝要です。
以下の記事も参考にしてください。