給料日前に給与の一部を前払いする「給与前払いサービス」。企業と従業員の双方にメリットがあるサービスとして、導入を検討する企業が増えています。ここでは、給与前払いサービスのサービス内容と活用メリット、契約やサービス実施の流れを解説します。

給与前払いサービスの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

給与前払いサービス4選|比較・選定ポイントとおすすめ「給与前払いサービス」の特徴

給与前払いサービスとは

給与前払いサービスとは

 

給与前払いサービスとは、企業に代わって給与の前払い作業を行うサービスです。従業員が前払いを申請すると、その時点で発生している給与(働いた分相当)から一定額を前払いするというものです。

 

貯蓄額が少ない若年層を中心に、必要なときに給与を受け取りたいというニーズが高まっていることから、福利厚生の一つという位置付けで導入が進んでいるサービスです。

 

労働力人口が減少している昨今、安定した人材確保を実現するには、若年層のニーズを満たす必要があります。とはいえ、給与の前払いは労務の負担が大きいため容易には実現できません。そこで役立つのが給与前払いサービスです。効率的なシステムの提供を通じて、業務負担の少ない前払い制度を実現できます。

給与前払いサービスの種類

給与前払いサービスの種類

 

給与前払いサービスには、給与支払方法の異なる2タイプがあります

 

●立て替えタイプ

立て替えタイプでは、ベンダーが前払い分の給与を立て替えて支払い、後日クライアント企業へ請求を行います(月1回の請求が一般的)。前払いの手数料は従業員負担となることが一般的です。

 

●引き落としタイプ

引き落としタイプでは、従業員からの前払い申請に応じて、クライアント企業の銀行口座から給与を引き落とします。前払いの手数料は企業負担となることが一般的です。

 

立て替えタイプは企業の負担が少ないタイプ、引き落としタイプは従業員の負担が少ないタイプといえます。それぞれにメリットと特徴が異なるため、両タイプともに多くの企業に利用されています。

給与前払いサービスのサービス内容

給与前払いサービスのサービス内容

 

給与前払いサービスで提供されている具体的な内容は、以下の通りです。

給与前払いの仕組みを提供

給与前払いサービスでは、給与の前払いに必要な仕組みを提供しています。給与計算と支払業務を代行することにより、クライアント企業の負担が少ない前払い制度を実現します。

 

  • 勤怠情報(主にCSVデータ)を元に前払い可能額を自動計算
  • 勤怠管理システムとの連携が可能
  • 給与振込業務を代行
  • 給与控除データをクライアント企業と共有

従業員向けのシステムを提供

給与前払いサービスでは、従業員向けの給与受け取りシステムを提供しています。サービスを通じて、実用的で便利な前払いシステムを従業員に提供できます。

 

  • 従業員のPC・スマートフォンから前払いを申請
  • 前払い金額の指定が可能(支払可能額の範囲で指定)
  • 給与口座に指定額を振込
  • 最短で申請当日に振込(振込に要する日数はサービスにより異なる)
  • 提携ATMでの給与受け取りも可能(一部サービスの機能)

給与前払いサービスを活用するメリット

給与前払いサービスを活用するメリット

 

給与前払いサービスを活用するメリットは、以下のように整理できます。

福利厚生を充実化できる

給与前払いは従業員のニーズを満たすためのサービスであり、導入により福利厚生の充実化につながります。給与の前払いは労務担当者の手間を要しますが、給与前払いサービスを活用すれば、負担を省きつつ導入することができます。

求人応募数の増加を期待できる

近年は給与即時払いや前払いへのニーズが高まっており、「即時払い」や「日払い」といった検索ワードで求人情報を探す人も多くなっています。求人広告に「給与前払い制度あり」と記載するなど給与即時払いへの対応をアピールすれば、求人応募数の増加につなげることが期待できます。

定着率の向上に役立つ

従業員に経済的な余裕がなくなると不満が強まる傾向にあり、結果として離職率の上昇を招いてしまう可能性もあります。

 

給与前払いサービスを導入すれば、従業員がいつでも給与の前払いを利用できるようになります。前払い申請はスマホで簡単に行うことが可能。必要なタイミングで給与を受け取れるようになることで従業員満足度が高まれば、定着率の向上が期待できます。

給与前払いサービス実施の流れ

給与前払いサービス実施の流れ

 

給与前払いサービスの契約とサービス実施の流れを解説します。

サービス契約の流れ

給与前払いサービスの契約は次の流れで進むことが一般的です。

 

  1. 申し込み〜財務審査
  2. 契約締結〜システム連携(勤怠データ提供)
  3. 従業員への説明
  4. 利用開始

 

サービスによっては、財務審査が不要な場合や、特定銀行の口座開設が必要な場合があります。

サービス実施の流れ

給与前払いサービスは次の流れで実施されることが一般的です。

 

  1. 従業員からの前払い申請
  2. ベンダーが給与口座への振込を実施
  3. 給与控除データを連携
  4. 残りの給与を支給(給与日にクライアント企業が実施)
  5. 前払いの精算(立て替えタイプのみ)

 

上記のとおり、給与前払いサービスの利用に大きな手間はかかりません。ただし、サービスと勤怠システムを連携させない場合は、勤怠データのアップロードを定期的に行う手間が生じます。

給与前払いサービスを福利厚生に活かそう

給与前払いサービスの活用により、労務担当者の負担を増やすことなく、給与前払い制度を導入できます。結果的に、求人応募数の増加や従業員定着率の向上などのメリットを得ることが可能です。福利厚生の充実化に役立つ給与前払いサービスですが、サービス選定は慎重に行いましょう。利用コストや従業員にとっての利便性などを考慮して、自社に適するサービスを選ぶことが肝要です。

 

給与前払いサービスの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

給与前払いサービス4選|比較・選定ポイントとおすすめ「給与前払いサービス」の特徴