業務の外注化に役立つクラウドソーシング。年々サービスが増加しており、多様化も進んでいます。自社に適するクラウドソーシングを選定するには、各サービスを詳しく比較することが肝要です。ここでは、クラウドソーシングの比較選定方法と、導入時の注意点を解説します。
クラウドソーシングを比較選定する際のポイント
クラウドソーシングの比較選定ポイントを4項目に分けて解説します。各ポイントを押さえたうえで、自社に適するサービスを選定しましょう。
対応ジャンルをチェックする
クラウドソーシングの選定において、まずチェックしたいのが対応ジャンル(発注できる業務のジャンル)です。
クラウドソーシングには多ジャンルに対応するものと、特定ジャンルに特化したものがあります。大手サービスは対応ジャンルが多い傾向にあり、200種類以上の業務に対応しているところもあります。
専門スキルが必要な業務を外注化したい場合は、特定ジャンルに特化したクラウドソーシングもチェックしておくとよいでしょう。クラウドソーシングの中には、外国語翻訳やIT関連、イラスト制作などに特化したものもあります。スキルの高い人材に仕事を依頼したいなら、こうしたサービスも選択肢に入れておきましょう。
登録ユーザー数を比較する
クラウドソーシングの実用性を測る要素として、サービスのユーザー数が挙げられます。ユーザー数は、大手サービスで最大300万人ほど、比較的新しいサービスで3〜5万人ほどです。登録者数の違いは案件に対する応募者数に影響するため、受注側のユーザー数が多いほど、自社の業務にマッチする人材を見つけやすいサービスといえます。
ただし、ユーザー数がクラウドソーシング選定の絶対的基準というわけではありません。登録者数は数千人と小規模ながら、高いスキルを持つ人材が多い特化型サービスもあります。対応ジャンルも踏まえて、サービス選定を進めてください。
サポートサービスを比較する
はじめてクラウドソーシングを利用する企業にとって、強い味方となるのがサポートサービスです。一部のクラウドソーシングには、次のようなサービスが用意されています。
- 案件に適する依頼方法や適切な報酬額を提案
- 初回発注限定で依頼文作成を代行
- 運営会社が案件掲載やディレクションを代行
- 運営会社が厳選した人材を紹介
サポートサービスの内容や充実度はサービス提供元により異なります。どのようなサポートを受けたいか検討した上で、各クラウドソーシングのサービス内容を比較してください。なお、サポートサービスには有料のものもあります。
導入事例をチェックする
クラウドソーシング選定の参考としてチェックしたいのがサービス導入事例です。他社の事例からは、課題に対してクラウドソーシングがどのように役立ったかを知ることができます。
導入事例をチェックする際は、なるべく自社と同業種の事例や、同じ課題を抱える企業の事例を探しましょう。サポートサービスの利用を予定している場合は、目当てのサービスの利用事例も探してみてください。
課題・ニーズから選ぶクラウドソーシングの向き・不向き
クラウドソーシングの選定は、自社の課題や要望を踏まえて進める必要があります。次の表を参考にして、どのようなタイプのサービスが自社に向くか検討してください。
課題・要望 |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
多様な業務を外注化したい / 業務の切り出しについて相談したい |
・対応ジャンルが広ければ、さまざまな業務を委託しやすい ・サポートサービスが充実しているクラウドソーシングが適している |
外注化の手間を省きたい / 大量案件を効率的に外注化したい |
・人材選定からディレクションまでプロジェクトを一括委任できるサービスであれば、受注者と個々にやり取りする手間も省けるため効率化を図りやすい |
急ぎの案件を依頼したい |
・人材紹介に対応するサービスであれば、案件掲載や応募者選定の手間を省ける |
データ入力や簡単な記事作成などを依頼したい / なるべく低コストで利用したい |
・タスク形式の依頼が可能なサービス ・専門性は高くないが低単価での発注が可能なユーザー数が多いサービス ※作業単価は自社で決定可能。ただし作業の品質は単価に比例する傾向があるので注意 |
クラウドソーシングの導入時に注意すべき点
クラウドソーシングの導入は次の2点に注意して進めてください。
受注者の技量はさまざま
クラウドソーシングを利用する際は、受注側ユーザーの技量差に注意しましょう。受注側ユーザーの中には、スキルの低い人材や実務経験の浅い人材もいます。発注する相手の選択を誤ると、自社の求めるクオリティに満たない成果物が納品される可能性もあります。
スキルの高い人材に仕事を発注したいなら、まず求めるスキル要件を明確にして依頼文に明記する必要があります。案件への応募が集まったら、応募者のプロフィールや実績、過去の評価などをチェックしましょう。
急ぎの仕事を依頼したい場合は、登録ユーザーから自社の要望にマッチする人材を探して、直接依頼を出すのも一案です。このように依頼方法を工夫することにより、案件と受注者のミスマッチを防げます。
費用相場を踏まえて利用する
クラウドソーシングでは、案件の報酬額を発注者が決定できます。このため、格安で業務を外注化することも可能です。ただし、あまりに報酬額を安く設定してしまうと、応募者が集まらないか、集まってもスキルの低い人材ばかりとなる可能性があります。
クラウドソーシングを円滑に利用するには、案件ジャンルごとの費用相場を押さえることが肝要です。サービス提供元に問い合わせれば、おおまかな相場額を教えてもらえます。費用相場がわかったら、案件の難易度を踏まえて報酬額を決定しましょう。
外注予算に余裕のない企業においても、なるべく費用相場かそれ以上の金額で案件を出すようにすることをおすすめします。極端にコストを節約すると成果物のクオリティが低くなり、修正や再依頼に余計なコストがかかるので要注意です。
クラウドソーシングを上手く活用しよう
クラウドソーシングの選定では、対応ジャンルをチェックした上で、登録ユーザー数やサポートサービスを比較しましょう。サービスを利用する際は、受注側ユーザーの技量差に注意してください。スキルの高い人材に仕事を依頼したいなら、相場かそれ以上の報酬額を設定する必要があります。以上を踏まえて、具体的なサービス選定へ進んでください。