複雑な給与処理を効率化し、人的ミスを削減できる給与計算ソフト(給与計算アプリ)。多様な形態での導入が可能になっており、自社の都合に合わせた運用がしやすいツールです。ただし、多様な機能を備えたタイプが提供されているだけに、選定は簡単ではありません。ここでは、給与計算ソフトの比較選定ポイントと導入時の注意点を解説します。
また、導入実績の多い代表的な給与計算ソフトをご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
給与計算ソフト・アプリの比較方法・選び方
給与計算ソフトを比較選定する際のポイント
給与計算ソフト(給与計算アプリ)の比較選定ポイントを4項目に分けて解説します。
■導入形態を決定する
給与計算ソフトの導入形態には「インストール型」「オンプレミス型」「クラウド型」の3つがあります。ツール選定のはじめに、どのタイプを導入するか決めておきましょう。
●インストール型
自社PCにソフトウェアをインストールする導入形態です。比較的安価に導入できますが、使用するPCは限定されます。
●オンプレミス型
自社サーバーにソフトウェアをインストールする導入形態です。複数のPCで利用できる利便性と、カスタマイズ性の高さがオンプレミス型のメリットです。デメリットには初期コストおよび管理コストの高さが挙げられます。
●クラウド型(給与計算クラウド)
インターネット上のアプリケーションを利用する導入形態です。複数のPCで利用でき、社外からもアクセスできます。常に最新版の利用が可能なため、法改正への対応のしやすさが魅力です。初期費用の安さもクラウド型のメリットですが、カスタマイズ性は低くなります。
■基本機能を比較する
給与計算ソフトの利便性は基本機能により決まります。複数のサービス(ソフトウェア)をピックアップして、基本機能を比較してください。機能比較の際に意識すべきポイントには、次の5つです。
- 給与規定や残業代ルールを柔軟に設定できるか
- 自動計算機能は充実しているか
- 自社の労務管理システムや勤怠管理システムと連携できるか
- 税率・保険料率は自動アップデートされるか(もしくはアップデートが通知されるか)
- 給与明細書の電子化は可能か
給与計算ソフトの基本機能を比較する際は、給与処理担当者の意見も参考にしましょう。現場の声を聞くことにより、重点的に比較すべき機能や、優先すべき機能が明確になります。
■コストを比較する
給与計算ソフトの利用コストは、サービスにより大きく異なります。各導入形態の料金相場を把握した上で、サービスの料金比較を行ってください。導入形態ごとの料金相場は以下のとおりです。
- インストール型・・・4千円〜10万円程度
- オンプレミス型・・・20万〜100万円以上
- クラウド型・・・3千円〜10万円以上/月〜(もしくは1ユーザーあたり数百円/月)
インストール型の給与計算ソフトは毎年更新することが一般的です。サービス選定ではソフトウェアの更新条件(料金割引や無償提供など)もチェックしてください。
オンプレミス型を導入する際は、上記費用に加えてシステム構築費も発生します。具体的な費用はサービス提供元に問い合わせてください。
クラウド型ソフトの料金プランは、複数用意されていることが一般的です。プランにより機能や対応従業員数などが変わる点に注意してください。
■操作性をチェックする
毎月使用する給与計算ソフトには、操作性のよいものを選びたいところです。導入候補とするツールを絞り込んだら、試用版や無料期間を利用して、操作性のチェックを行いましょう。
操作性のチェックでは実際の業務の流れを想定して、各種機能の使い勝手を確認してください。ユーザーインターフェースの使用感や操作への反応速度などもチェックして、ストレスなく使える給与計算ソフトを選び出しましょう。
課題・ニーズから選ぶ給与計算ソフトの向き・不向き
給与計算ソフトには、自社の課題・ニーズによる向き・不向きがあります。次の表を参考にして、自社の課題に適するサービスタイプを検討してください。
課題・ニーズ |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
小規模企業向けのサービスを探している |
・インストール型、クラウド型サービスの少人数向けプランであれば導入ハードルが下がる ・オンプレミス型は基本的に大企業向けのものが多いため注意が必要 |
勤怠・労務管理から給与計算までシームレスに行いたい |
・ひとつのサービス内で給与計算に関わる業務を総合的に行えるソフトウェアが適している ・すでに導入済みの勤怠システムなど各種外部サービスとの連携ができるものを選ぶ |
テレワークなど多様な雇用形態がある |
・支給や控除などの計算式を細かく設定できるなど、高度な機能を有しているサービスを検討する |
使いこなせるか不安がある |
・サポート体制が充実しているサービスが安心。電話・メールでのサポートのほか、専門アドバイザーや税理士などが相談に応じてくれるものもある。有料・無料の場合があるので確認が必要 |
セキュリティに不安がある / 自社のセキュリティ要件が厳しい |
・オンプレミス型であれば自社のセキュリティ基準をクリアしやすい ・クラウド型でもセキュリティに力を入れているサービスが多いので、自社のセキュリティ要件への適合は要確認 |
給与計算ソフトの導入時に注意すべき点
給与計算ソフトは優れたツールですが、万能ではありません。イレギュラーな給与計算には対応できない場合があるので注意しましょう。たとえば、給与規定に沿わない支払いが慣例的に行われていると、給与計算ソフトでは実態に即した計算ができません。
とくに中小企業では、給与規定と支払い実態の乖離が起こりがちです。自社でイレギュラーな給与支払いが常態化しているなら、ツール導入前に給与規定を見直す必要があります。見直しの際は社労士の力を借りましょう。専門家の監修のもとで給与規定を改定すれば、給与計算ソフトを利用しやすい環境が整います。
給与計算ソフトの初期設定についても、できれば社労士の監修を受けてください。初期設定にミスがあると、間違った計算で給与を支給し続けることになります。未払いや過払いが起こらないように、給与計算ソフトの導入は専門家の力を借りて進めましょう。
給与計算ソフトの導入へ動き出そう
給与計算ソフト導入のポイントは、自社の課題・ニーズに合わせてサービス選定を慎重に行うことです。サービス選定では導入形態を決めた上で、基本機能やコストなどを比較してください。サービス導入フェーズでは、必要に応じて社労士などの専門家監修のもとで給与規定を見直しましょう。以上を踏まえて、具体的なサービス選定へ進んでください。
給与計算ソフト・アプリ 7選
1.らくらく定期
(参照元:https://rk2.mugen-corp.jp/teiki/)
サービス名 |
らくらく定期 |
キャッチフレーズ |
通勤費精算管理ソリューション |
サービス概要 |
らくらく定期-あらゆる機能を兼ね備えた通勤費精算管理ソリューション |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・駅すぱあと連携 |
価格 |
・1ライセンス(月額) 300円 / ユーザー |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
2.Cells給与
(参照元:https://www.cells.co.jp/kyuyo-p/)
サービス名 |
Cells給与 |
キャッチフレーズ |
社労士とその顧問先のための給与計算システム |
サービス概要 |
業務を効率化させる「Cells給与」4つの特徴 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・導入・初期設定 |
価格 |
・新規導入費用 71,500円 / 年 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
3.給与奉行クラウド
(参照元:https://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kyuyo)
サービス名 |
給与奉行クラウド |
キャッチフレーズ |
いつもの業務をより速く・正確に |
サービス概要 |
給与業務は、クラウドでもっと自動化できる! |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・給与処理 |
価格 |
・iEシステム(基本機能) 60,000円 / 年(5,000円/月) |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
4.ジョブカン給与計算
(参照元:https://payroll.jobcan.ne.jp/)
サービス名 |
ジョブカン給与計算 |
キャッチフレーズ |
給与計算担当者の「あったらいいな」を実現 |
サービス概要 |
ジョブカン給与計算は、給与計算担当者の負担を減らすための |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・ジョブカンシリーズ連携 |
価格 |
・無料プラン(中・小規模の企業様) 0円 / 月 |
運営企業 |
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サービス詳細 |
5.マネーフォワード クラウド給与
(参照元:https://biz.moneyforward.com/payroll)
サービス名 |
マネーフォワード クラウド給与 |
キャッチフレーズ |
初心者でも簡単に、 迷わず始められる給与計算ソフト |
サービス概要 |
【特徴】 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・給与計算 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
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サービス詳細 |
6.フリーウェイ給与計算
(参照元:https://freeway-kyuuyo.net/)
サービス名 |
フリーウェイ給与計算 |
キャッチフレーズ |
ずっと無料の給与計算ソフト |
サービス概要 |
給与計算ソフト「フリーウェイ」の特徴 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・給与計算 |
価格 |
・無料版 0円 / (無料) |
運営企業 |
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サービス詳細 |
7.JDL IBEX 給与 net2
(参照元:https://www.jdlibex.net/k2-net/)
サービス名 |
JDL IBEX 給与 net2 |
キャッチフレーズ |
充実の機能で給与計算業務をトータルに効率化 |
サービス概要 |
最大300人までの月給者・日給者・時給者の混在処理に対応し、個人事業者から中規模企業の給与計算に幅広くご利用いただける本格的な給与ソフトです。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・やさしい操作で給与計算業務を効率化 |
価格 |
・JDL IBEX給与net2 1,480円 / 月額利用料 |
運営企業 |
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サービス詳細 |