企業の障害者雇用をサポートする障害者雇用支援。障害者雇用率の引き上げが進む昨今、注目が高まっているサービスです。障害者雇用に関する課題を抱える企業は少なくありません。自社での課題解決が困難であるなら、専門的支援を受けたほうが賢明です。ここでは、障害者雇用支援のサービス内容や活用メリットを解説します。

障害者雇用支援の導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

障害者雇用支援2選|比較・選定ポイントとおすすめ「障害者雇用支援サービス」の特徴や活用事例

障害者雇用支援とは

障害者雇用支援とは

 

障害者雇用支援とは、企業による障害者雇用を支援するサービスです。心身に障害を持つ方に雇用機会が生まれるように、企業と個人(障害者)の双方を支援します。

 

障害者雇用率制度により、事業所(企業・公共団体など)には一定割合の障害者雇用が義務づけられています。民間企業の場合は、2.2%の法定雇用率(従業員数に占める障害者の割合※2020年8月現在)を達成しなければなりません。従業員45.5人以上の企業は、障害者1名以上を雇用する義務があります。

 

とはいえ、すべての企業に障害者雇用のルールや環境が整っているわけではありません。障害を持つ方の雇用方法がわからず悩んでいる企業も多いことでしょう。こうした企業をサポートし、障害者の雇用機会創出と定着を図るのが障害者雇用支援の役割です。

障害者雇用支援の種類

障害者雇用支援の種類

 

障害者雇用支援は提供元により2種類に分けられます。1つは民間企業が行うもの、もう1つは社会福祉法人やNPO(特定非営利活動法人)などが行うものです。

 

民間企業が行う障害者雇用支援は、企業向けのサービスが充実しています。一部サービスは有料ですが、手厚い支援を受けることができます。一方の社会福祉法人やNPOなどが行うサービスは、基本的に無料で利用可能です。ただし、サービス内容は障害者の支援が中心であり、企業に向けた支援は民間企業のものほど手厚くありません。

 

次節からの解説は、民間企業による障害者雇用支援に的を絞って進めます。

障害者雇用支援のサービス内容

障害者雇用支援のサービス内容

 

企業に対する障害者雇用支援サービスの内容を3つに分けて解説します。

雇用準備をサポート

はじめて障害者雇用を行う企業にとって、障害者受け入れのための土台となる雇用準備は重要な課題です。障害者雇用支援サービスを利用すれば、専門スタッフのサポートを受けながら、雇用準備を進められます。

 

  • クライアント企業にコンサルティングを実施
  • 課題の洗い出しとプラン設計
  • 障害者雇用に向けた社内制度・環境づくりを支援
  • 管理者育成をサポート

障害者採用をサポート

一般的な採用業務と障害者採用では進め方が異なります。障害者雇用支援サービスを利用すれば、採用準備から面接まで、専門スタッフの支援を受けながら進めることができます。

 

  • 採用活動の支援(採用企画準備・求人票作成などの支援)
  • 提携支援機関から母集団を形成
  • 就業希望者を企業へ直接紹介
  • 採用希望者の面接に支援スタッフが同行

就業者の定着を支援

障害者が職場に馴染めず、採用後すぐに離職してしまうケースは少なくありません。障害者雇用支援サービスでは、企業への障害者の定着をサポートするサービスが用意されています。

 

  • 障害者の就業先へコンサルタントを手配
  • 就業中の障害者に面談・アドバイスを実施
  • 指導方法やコミュニケーション方法などを管理者にアドバイス
  • 障害者のスキルアップを支援

障害者雇用支援サービスを活用するメリット

障害者雇用支援サービスを活用するメリット

 

障害者雇用支援サービスを導入するメリットには、次の2つが挙げられます。

障害者雇用の知識不足・経験不足を補える

専門的なノウハウなしで障害者雇用を実現することは困難です。求人はハローワークでも行えますが、受け入れ準備や面接などを適切に行うことは容易ではありません。雇用担当者にかかる負担は相当に大きくなるでしょう。

 

障害者雇用支援を活用すれば、採用計画設計から人材選考まで、プロのアドバイスを受けながら進められます。雇用準備の課題となりやすい受け入れ部署選定や業務切り出しなども、プロによるサポートのもと、迷わず進めることが可能です。

障害者雇用の安定化に役立つ

法定雇用率の遵守は企業としての義務ですが、仮に採用がうまくいったとしても離職率が高ければ、法定雇用率を維持するのは難しくなります。

 

障害者雇用支援の定着支援サービスでは、専門スタッフによる障害者のサポートや受け入れ部署の研修なども実施しています。業務の見直しも適宜行い、障害者が安心して長く働ける環境を整えることが可能です。

障害者雇用支援サービス実施の流れ

障害者雇用支援サービス実施の流れ

 

障害者雇用支援サービスは、以下の流れで実施されることが一般的です。

現状と課題のヒアリング

障害者雇用支援のファーストステップとなるのが、コンサルタントによる現状と課題のヒアリングです。現時点での障害者の採用状況のほか、「採用計画を立てたい」「障害者を定着させたい」などといった課題をヒアリングします。

採用準備支援

ヒアリングした内容をもとに、採用準備支援を行います。課題に合わせたプラン提案、業務の切り出し、特例子会社の設立支援など、サポート内容は多岐にわたります。

採用業務支援

ここまでのステップで決まった計画に基づき、専門スタッフが障害者採用業務を支援します。採用応募者の母集団形成、面接会の開催、面接代行などを実施。続いて選考を行い、雇用する人材を決定します。

受け入れ準備サポート

入社が決まった障害者の受け入れ準備を専門スタッフが支援します。社員に対する啓発研修、支援機関との連携準備などを行い、障害者がスムーズに入社できる環境を整えます。

定着支援の実施

障害者の入社後は、定着支援サービスが実施されます。コンサルタントによる支援が行われるほか、看護師による障害者の服薬管理や健康相談などが行われる場合もあります。

障害者雇用支援を活用しよう

障害者雇用支援サービスは障害者雇用の課題解決に貢献します。専門的知見を活かして、法定雇用率の達成や、採用した障害者の定着などをサポートしてくれます。自社での障害者雇用に困難を感じているなら、障害者雇用支援を利用する価値は大。ただし、サービス選定は慎重に行ってください。支援内容を入念にチェックして、自社に適するサービスを選ぶことが肝要です。

 

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