経理・財務業務の効率化に役立つ会計ソフト(クラウド会計)。一連の会計業務を自動化し、事業運営におけるお金の動きをすべて管理できるため、今では企業に欠かせないツールとなっています。ここでは、会計ソフトで実現できることや機能一覧、導入するメリット・効果を紹介します。
会計ソフトの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
会計ソフト 12選|比較・選定ポイントとおすすめ「クラウド会計」の特徴や活用事例
会計ソフトとは
会計ソフト(会計システム)とは、管理会計・財務会計にまつわる業務の自動化や一元管理ができるソフトウェアです。具体的には以下の項目に対応しています。
- 帳票・伝票入力
- 仕訳
- 集計
- 資金管理
- 予実管理
- 財務分析
- 決算
会計業務を紙で管理している場合、お金の動きを売掛・買掛・入金・出金などの各伝票に記入し、さらに仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿に転記する必要があります。会計ソフトがあれば、自動的に勘定科目を選択・仕訳し、帳簿にデータを反映することができます。また、財務分析や決算書作成も自動で行うことが可能です。
簿記に関する高度な専門知識がなくても日々の経理業務を簡易化でき、マンパワーのかかる会計業務フローの大幅な改善が見込めるため、大企業から個人事業主まで企業規模にかかわらず導入が進んでいます。
会計ソフトで実現できること
会計ソフトを用いると、主に以下の3点を実現できます。
仕訳・帳簿付けの手間を省ける
会計ソフトには帳簿入力をサポートする機能があるため、経理業務で取り分け手間がかかる帳簿付けを大幅に効率化できます。また、勘定科目の選択を補助する自動仕訳機能が備わっており、簿記に関する専門的な知識がなくてもスムーズな仕訳が可能です。帳簿付けの手間を省く機能には、主に以下のものがあります。
- 銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどの取引明細を取り込んで自動入力
- 領収書をデータ化して自動入力
- 自動仕訳(仕訳ルールの学習機能を備えたものもある)
各種帳票を自動作成できる
会計業務では経理や決算にまつわる各種帳票・書類を作成する必要があります。会計ソフトを導入すれば、仕訳データに基づいて、総勘定元帳や試算表、貸借対照表、損益計算書、決算書などを自動的に作成することができます。
経営状況を把握できる
会計ソフトには、経理機能のほかに分析機能を強化しているものもあり、経営判断に役立つデータを得ることが可能です。ソフトによって搭載されている機能は異なりますが、提供されているデータの例として以下のものがあります。
- 予実対比表
- キャッシュフロー推移表
- 損益分岐点分析表
- 財務構成分析表
- 資金繰り実績表
- 過去数年間の財務諸表比較
会計ソフトの導入で得られる効果
業務効率化
会計ソフトの導入による大きなメリットは、帳簿付けにかかるマンパワーを大幅に削減できることです。また、各種帳票の自動作成機能により、日々の業務はもちろん、決算期の業務も効率化されます。
高度な専門知識がなくても自社で会計業務を行える
会計ソフトを導入する場合でも簿記の初歩的な知識は必要ですが、入力を補助する機能が備わっているため、高度な専門知識がなくても自社で会計業務を行うことができます。とくに、専門スキルを有する人材の確保が難しい中小企業にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
入力ミスを減らせる
経理作業を紙やExcelで行っていると、記入・転載ミスで帳簿の帳尻が合わなくなることがあります。会計ソフトには、数字を入力した時点で矛盾を知らせる警告機能があります。これにより、人為的なミスを防止できます。
意思決定のスピードアップ
会計情報は企業の“健康状態”をあらわす重要なデータです。経営層は自社の財務状況をいち早く把握し、経営判断を迅速に行う必要がありますが、アナログ管理ではデータが出揃うまでタイムラグが生じてしまいます。
会計ソフトによって会計処理の自動化・効率化が進めば、財務状況をスピーディーに把握できるようになります。タイムリーな意思決定によって、予算配分や投資について適切な一手を打つことが可能です。
会計ソフトの機能一覧
会計ソフトの主な機能を以下にまとめました。
機能 |
内容 |
---|---|
勘定科目の設定 |
業種別のテンプレートやナビゲーションに従い、必要な勘定項目を設定する |
取引入力・仕訳 |
・帳簿入力(現金出納帳・仕訳帳など) ・伝票入力(入金・出金・振替伝票) ・銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどの利用明細データを取り込み自動仕訳 |
申請・承認 |
仕訳伝票を上司が承認・否認する |
集計表作成 |
・月次・年次など期間別に集計 ・残高試算表やグラフを自動作成 |
資金繰り管理・資金予測 |
・現預金の収支・残高の月別集計表を作成 ・売掛・買掛の仕訳データをもとに資金計画を管理 ・受取手形・支払手形の一覧表作成 ・手形の回収状況や履歴チェック |
法人決算・決算書作成 |
・貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書 ・消費税申告書 ・固定資産管理 ・減価償却費の計算 ・勘定科目内訳書 |
予実管理 |
科目別や期間別に予算の達成率を自動集計する |
損益分岐点分析 |
売上の損益分岐点を算出し、売上や費用の目標値を設定する |
キャッシュフロー計算書作成 |
直接法・間接法でキャッシュフロー計算書を作成し、資金の流れを把握する |
データ連携 |
購買管理システムや販売管理システムなど他のシステムと連携できる |
どの機能が搭載されているかはツールによって異なります。選択の際は注意しましょう。
会計ソフトで経理業務を改善しよう
会計ソフトを導入して会計処理を自動化すれば、一連の経理業務の手間・時間を省くことができます。タイムリーに財務状況を把握できるようになるため、スピーディーな意思決定にもつながります。会計ソフトにはさまざまなタイプがあるため、自社に適したものを選択し、業務改善や経営に役立ててください。
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