企業が保有する固定資産を一元管理することができる「固定資産管理システム(固定資産管理クラウド)」。煩雑になりがちな固定資産管理業務を効率化し、スムーズな税務申告業務をサポートします。本記事では、固定資産管理システムで実現できることや機能一覧、導入するメリット・効果を紹介します。

固定資産管理システムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
固定資産管理システム 2選|比較・選定ポイントとおすすめ「固定資産管理クラウド」の特徴

固定資産管理システムとは

固定資産管理システムとは、企業が保有する固定資産を一元管理するシステムのことです。

 

固定資産とは企業が事業運営のために1年以上保有する資産のことで、以下の3種類に分類されます。

 

  • 有形固定資産:建物、土地、機械設備、備品、車両など
  • 無形固定資産:特許権、営業権、借地権、ソフトウェアなど
  • 投資その他の資産:投資目的の有価証券、長期前払い費用など

 

固定資産管理システムには、あらゆる固定資産をデータベース化する機能や減価償却、税務申告をサポートする機能が備わっており、固定資産の管理業務を効率化することができます。

固定資産管理システムで実現できること

固定資産管理システムで実現できること

 

固定資産管理システムを導入すると、主に次の3つのことを実現できるようになります。

固定資産やリース資産のデータベース作成

固定資産管理の基本は、各資産の基本情報を適切に管理することです。

 

固定資産管理システムでは、固定資産を取得してから除却するまでの一連の情報を登録してデータベース化することができます。現物の写真データやデータファイル類を紐づけることも可能です。リース資産に対応しているものでは、情報管理のほかリース料や元本返済額を自動計算してくれます。

減価償却計算の自動化

長期間にわたって保有・使用する固定資産は、適切な方法で減価償却を行う必要があります。固定資産管理システムには定率法や定額法、均等償却など様々な方法で償却計算を行う機能が備わっており、償却額の算出や償却シミュレーションを自動化することができます。

税務申告書の作成を自動化

固定資産を所有する場合、固定資産管理台帳や各種申告書を作成して税務申告を行う必要があります。固定資産管理システムを用いれば、固定資産やリース資産の基本情報を入力することで、法人税申告に必要な「別表十六」や固定資産税申告に必要な「償却資産申告書」を自動作成することができます。作成した申告書は提出用フォーマットで出力できます。

固定資産管理システムの導入で得られる効果・メリット

固定資産管理システムの導入で得られる効果・メリット

 

主に3つのメリット・効果が期待できます。

固定資産の管理・申告業務を効率化できる

固定資産はExcelや紙の書類などアナログな方法で管理されていることが多く、管理業務や税務申告業務は煩雑になりがちです。

 

固定資産管理システムを導入すれば、各拠点に散在する固定資産の基本情報だけでなく、関連書類・データ類もシステムで一元管理することができます。税務申告の書類や各種帳票を適切なフォーマットで自動的に作成することも可能なため、担当者の業務負担を大幅に削減できます。

資産状況をリアルタイムに把握できる

Excelなどで固定資産を管理している場合、情報の検索や突き合わせに時間がかかり、現在の資産状況を正確に把握するのが難しいことがあります。固定資産管理システムを用いれば必要な情報を簡単に検索できるため、減価償却などの状況をリアルタイムに把握することができます。これにより、廃棄や新規投資などの判断をタイムリーに行えるようになります。

税法改正やIFRSにスムーズに対応できる

固定資産は税制に則って適切に会計処理を行う必要があり、法改正のたびに管理方法を見直さなくてはなりません。また、IFRS(国際財務報告基準)を採用している場合は、準拠した対応が求められます。

 

ほとんどの固定資産管理システムでは法改正の際にアップデートが行われるため、処理方法の変更にも適切に対応することができます。IFRSに準拠するためにコンポーネントアカウンティングや減損戻入などに対応しているものも多く、グローバル基準での会計処理もスムーズに行うことができます。

固定資産管理システムの機能一覧

固定資産管理システムの主な機能を以下にまとめました。

 

機能      

内容

資産情報管理

あらゆる固定資産の情報を登録・管理する

<管理項目の例>

●基本情報(設置場所、メーカー、取得日など)

●取得価額・耐用年数・残存価値

●現物の写真データ

●各種ファイルデータ(Word、Excel、PDFなど)

●稟議書・見積書・検収書

●リース資産管理(リース契約情報・物件情報の管理、リース料の計算、元本返済額・利息相当額の計算)

減価償却の計算

税制に基づいて償却額や簿価、損益予測などを自動計算する。一般的な固定資産システムでは以下のような償却方法に対応している

●定額法

●定率法

●均等法

●一括償却

●特別償却

●増加償却 など

減損会計

減損損失額について各資産の減損額を自動按分する

別表十六作成

法人税申告に必要な「別表十六」を自動作成する

償却資産申告書作成

各地方自治体に提出する償却資産申告書・種類別明細表などを自動作成する

運用管理機能

●ユーザー権限設定

●承認管理

●履歴・ログ管理

外部システム連携

会計システムや原価管理システム、ERPなど外部システムとデータ連携することができる

    

どの機能が搭載されているかはツールによって異なります。選択の際は注意しましょう。

固定資産管理システムで煩雑な管理業務を効率化

固定資産を適切に管理することは企業の重要な責務です。固定資産管理システムを導入すれば、様々な固定資産一元管理し、資産状況をリアルタイムに把握できるようになります。減価償却の計算や税務申告もスムーズに行えるようになり、管理業務の工数を大幅に削減できます。

 

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