ITにまつわる専門的な知識・ノウハウを用いて企業の経営課題を解決に導くのが「ITコンサルティング」です。IT関連のコンサルティング領域は多岐にわたり、コンサルティング会社によって得意分野やサービス内容は異なります。本記事では、ITコンサルティングを比較選定するときのポイントや利用時の注意点を説明します。
ITコンサルティングを比較選定する際のポイント
ITコンサルティングを選ぶ際にチェックしておきたいポイントは以下の3つです。
- サービス内容・得意領域
- 自社と同業種・同規模でのコンサルティング実績
- 担当コンサルタントの力量
各項目を詳しく見ていきます。
サービス内容・得意領域
ITコンサルティングの領域は幅広く、サービス内容や得意領域は各社異なります。そのため、まずは提供内容が自社の課題や依頼したい内容にマッチしているかを確認する必要があります。
参考までに、ITコンサルティングで取り扱う課題の例を以下に挙げます。
- 働き方改革・テレワーク環境の構築
- 業務効率化・生産性向上
- 基幹システムの再構築・クラウド活用
- ペーパーレス化推進
- サイバーセキュリティ対策の強化
また、主なサービス例としては以下のものがあります。
領域 |
サービス例 |
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IT戦略の策定・コンサルティング
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●経営層・関連部門へのヒアリング ●業務プロセスの分析・課題の洗い出し ●現在使用しているシステムの診断・評価 ●IT戦略の策定・計画立案 |
ITソリューションの提案・導入支援
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●課題に応じたソリューションの提案(ERP、RPA、CRMなど) ●クラウドサービス・ツールの導入支援 ●ベンダー・システム開発会社の選定 ●要件定義・RFP(提案依頼書)の作成 |
システムの開発・運用支援
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●プロジェクトマネジメント・PMOの設置 ●システムの品質チェック ●システムの運用・保守支援 |
ITコンサルティング会社によっては、特定の課題・サービスに特化しているところもあるため、ホームページやメールフォームなどでよく確認しましょう。
自社と同業種・同規模でのコンサルティング実績
ITコンサルティング会社は、過去のコンサルティング経験からノウハウを蓄積しています。そのため、自社と同じ業種・規模での実績が豊富なITコンサル会社であれば、課題に対して成果を上げやすい傾向があります。
ホームページ等でどのような業種・規模で実績があるかをチェックし、自社との適合性を見極めましょう。
担当コンサルタントの力量
コンサルティングによって得られる成果は、どのようなITコンサルタントが担当するかで変わる場合があるため、契約前に力量や相性を見極めておきたいところです。
コンサルタントの力量を判断する際は、相談や面談の際に以下のポイントをチェックすることをおすすめします。
- 相談した領域での経験値
- 過去に担当した案件での成果
- こちらの話を傾聴してもらえるか
- 話は論理的でわかりやすいか
- 質問に対する受け答えは的確か
課題・ニーズ別に見たITコンサルティングの向き・不向きの傾向
どのようなITコンサルティングを選ぶべきかは、自社の課題によっても変わってきます。以下に課題・ニーズ別の向き・不向きの傾向をまとめました。
課題・ニーズ |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
オンプレミスの基幹システム運用に限界を感じている |
クラウド環境の構築・運用を得意とするITコンサルティング会社が適している |
多様化するサイバー攻撃に十分に対応できておらず、システム全体のセキュリティ対策を見直したい |
ITセキュリティ領域を得意とするITコンサル会社であれば、現状のシステム環境のリスクを診断し、適切なセキュリティソリューションを提供してもらえる |
業務のIT化を推進したいが、どこから手を付ければよいかわからない |
業務プロセス分析からIT戦略立案、ソリューション提案・運用まで一気通貫でサポートしてもらえるITコンサル会社が向いている |
自社のシステム部門の人員だけでは、DX推進のリソースやスキルが足りない |
専属のITコンサルタントやチームがプロジェクト全体をマネジメントしてくれるコンサル会社が適している。コンサルタントが自社に常駐するところであれば、社員と密に連携しながらDXを推進できる |
ITコンサルティングを利用する際に注意すべき点
ITコンサルティングを利用する際は、以下の2点に留意しましょう。
求める成果を明確にする
ITコンサルティング会社は、依頼主の課題や求める成果に応じたIT戦略・ソリューションを提案してくれます。依頼内容が漠然としているとコンサルティングの方向性が定まらず、本質的な課題解消に至らなくなる可能性があります。
ITコンサルティングに依頼する際は、ITを活用してどのような課題を解決し、どのような成果を期待しているのかを整理・明確化することが先決です。
コンサルタントに丸投げしない
業務のIT化やDXを担当コンサルタントに丸投げすると、自社の方針とは異なる方向に進んでしまうことがあるため注意が必要です。コンサルタントはITの専門家として助言や実行支援を行う立場であり、成果を高めるには社員の主体的な協力が不可欠です。利用する際は、関連部門の社員に理解・協力を促し、コンサルタントとの協業体制を整えましょう。
自社の課題に合ったITコンサルティングを見極めよう
多種多様なITコンサルティング企業から自社に合ったところを選定するには、まず自社の課題や求める成果を明確にすることが先決です。それらに合致するサービス内容かつ自社と同業種・同規模のコンサルティング実績が多ければ、相応の実力が期待できます。ご紹介した比較ポイントを参考に、課題解決につながるITコンサルティングを見つけてください。