煩雑な連結決算を効率化する「連結会計システム(連結会計ソフト)」。グループ企業に必須のツールですが、全社に与える影響の大きさから、サービス選定や導入には慎重を要します。ここでは、自社グループに適する連結会計システムを選ぶための比較方法と選定ポイント、導入時に注意すべき点を解説します。
また、導入実績の多い代表的な連結会計システムをご紹介します。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。
連結会計システムの比較方法・選び方
連結会計システムを比較選定する際のポイント
連結会計システムを選定する際のチェックポイントは、次の4つです。
■システムのタイプを検討する
連結会計システム(連結会計ソフト)は、グループ企業全体への影響が大きいツールです。システム選定に入る前に、次の3タイプのいずれが自社グループに適するか検討しておきましょう。
- スタンドアロンタイプ
子会社が作成した連結資料を手作業で収集し、親会社が手入力する方式のシステムです。子会社への影響が少なく導入しやすいタイプといえますが、手作業が多いという課題があります。 - システム連結タイプ
子会社が利用している会計システムと連結して、自動でデータ収集する方式のシステムです。子会社の負担を抑えつつ業務効率化できる方式ですが、個別会計システムとの相性に注意してサービスを選ぶ必要があります。 - システム統合タイプ
子会社と親会社の会計システムを統合する方式のシステムです。このタイプを導入すれば、連結資料の作成が不要になり、かつ内部統制が強化されます。ただし、導入コストがかさみやすい点と、子会社の業務負荷を考慮する必要があります。
■導入方式を決定する
連結会計システムの導入方式には、オンプレミス型とクラウド型があります。両者のメリット・デメリットを押さえた上で、自社グループで利用する方式を決定しましょう。
- オンプレミス型
自社サーバーでシステムを運用する導入方式です。自社グループの閉じられた環境で運用するため、高いセキュリティ性を確保できます。反面、オンプレミス型は初期コストが高額な点に留意する必要があります。 - クラウド型
インターネット上に設置されたシステムを利用する導入方式です。ソフトウェアの購入やインフラ整備なしで導入できるため、初期コストを安く抑えられます。ただし、クラウド型システムを利用する際は、自社の会計データを社外に預けなければなりません。セキュリティ性に関しては、ベンダーの環境に依存することになります。
■機能を比較する
連結会計システムの選定では、機能の比較に力を入れましょう。特に重点的に比較したいポイントとして次の4点があげられます。
- データ収集方法のバリエーション
- 入力エラーチェックのタイミング
- ユーザー定義仕訳の有無
- 対応言語と通貨の種類
データ収集方法については、前述したシステムのタイプを参考に比較するとよいでしょう。近年の連結会計システムでは、複数のデータ収集方法に対応するものが増えています。子会社ごとにデータ収集方法を変えたい場合は、複数の収集方法に対応するシステムを探してください。
入力エラーのチェックは、手作業でのデータ入力時に行われる場合と、データアップロード時に行われる場合とがあります。スタンドアロンタイプのシステムを利用する場合は、データ入力時にエラーチェックのかかるものを選んだほうがよいでしょう。
ユーザー定義仕訳とは、連結仕訳の定義をユーザーが設定できる機能です。科目変換の定期変更や、自動での内部取引消去の調整、IFRS基準へのデータ組み替えなどに活用できます。
■サポート体制を比較する
連結会計システムの導入と運用には高度な知識が求められます。ベンダーによる手厚い支援を受けられるように、サポート体制が充実したサービスを選定しましょう。サポート体制の比較ポイントには次の5点があげられます。
- 会計に関するコンサルティングを受けられるか
- 専任担当者による継続的なサポートを受けられるか
- トラブル発生時のサポート方法は充実しているか
- サポート対応時間は自社の業務時間をカバーしているか
- 決算期に特別なサポートを受けられるか
上記のほか、海外子会社を持つ企業では、現地時間でのサポートを受けられるかチェックしましょう。連結会計システムを利用する上で、ベンダーによるサポートは重要な要素です。サポートに関する不明点や要望がある場合は、ベンダーに問い合わせてください。
課題・ニーズ別に見た連結会計システムの向き・不向きの傾向
自社グループの環境や抱える課題などにより、導入に適する連結会計システムのタイプが変わります。次の表を参考にして、自社に適するシステムのタイプを検討してください。
環境・課題 |
向き・不向きの傾向 |
---|---|
子会社にさまざまな業種の企業がある / 勘定科目の統合が難しい |
・スタンドアロンタイプであればシステム上の制限を受けにくい。ただし、子会社数が多い場合は手間が大きくなるため注意が必要 ・システム連結タイプも対応しやすいシステム。子会社数が多い場合にも利便性が高いが、複雑な科目変換が必要になる。 ・システム統合タイプは異業種で同一の会計システムを使えない場合があるため事前に確認が必要 |
業務IT化の度合いが子会社ごとに大きく異なる |
・複数のデータ収集方法に対応するシステムが向いている(Excelインポートとデータ連携に対応するものが望ましい) ・子会社用データ入力画面が備わるクラウド型システムであれば、インターネット環境さえあれば手入力によるデータ収集ができる |
グループ企業全体の会計情報をリアルタイムで把握したい |
・システム統合タイプは子会社が入力した会計データをいつでもチェックできるためリアルタイム性が高い |
連結会計システムの導入時に注意すべき点
連結会計システムの導入は、グループ全社全体に影響を及ぼすプロジェクトです。トップダウン式で進めなければ、子会社に必要性や趣旨が十分に伝わりません。また、経理部や財務部の主導で導入を進めると、権限不足により子会社の反発を受ける可能性があります。このため、プロジェクトの主導者は、代表取締役やCEOであることが望ましいといえます。
とはいえ、実際にシステム導入を進めるのは経理部や財務部、情報システム部などでしょう。肝心なのは、グループのトップがプロジェクトリーダーを任命し、グループ全社に周知することです。これにより、システム導入担当者に強い権限を与えられます。中規模企業でシステム導入を行う場合も、トップによる意思表明を行った上で、担当者に権限委譲するようにしましょう。
連結会計システム導入に乗り出そう
連結会計システムの導入は、グループ企業の一大プロジェクトとなります。システム選定を慎重に行い、トップ主導で導入を進めましょう。自社でのシステム選定が難しいと感じるなら、外部の専門家を頼るのも1つの手です。以上を踏まえて、まずは市場にある連結会計システムをチェックしてください。
連結会計システム 4選
1.iCAS(アイキャス)
(参照元:https://www.imprex.co.jp/product/icas.html)
サービス名 |
iCAS(アイキャス) |
キャッチフレーズ |
テレワークでも連結決算!決算早期化を実現‼ |
サービス概要 |
iCASは、連結決算ソリューションの領域で20年以上の歴史を持つ連結会計システムです。上場企業を中心に、導入グループ社数1,000社以上の実績を誇ります。 |
向いてる形態 |
BtoB |
導入社数 |
約 1000 社 (2002年04月01日時点) |
導入企業の傾向 |
上場企業を中心に導入グループ社数1,000社以上 |
価格 |
・価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
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サービス資料 |
2.Sactona(サクトナ)
(参照元:https://www.outlook.co.jp/)
サービス名 |
Sactona(サクトナ) |
キャッチフレーズ |
管理会計・経営管理業務を支える最先端ソリューション |
サービス概要 |
Sactona(サクトナ)は、経営管理を高度化・効率化するためのクラウド・オンプレミス対応型経営管理システムであり、予算編成、予算管理、見込管理などの管理会計・経営管理業務を支える最先端のソリューションです。 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・Sactona Portal |
運営企業 |
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サービス詳細 |
3.DivaSystem FBX
(参照元:https://www.diva.co.jp/product/fbx/)
サービス名 |
DivaSystem FBX |
キャッチフレーズ |
グループの財務・非財務情報のファイル収集 |
サービス概要 |
【特長】 |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
機能一覧 |
・事前準備 |
運営企業 |
|
サービス詳細 |
4.DivaSystem
(参照元:https://www.diva.co.jp/product/lca/)
サービス名 |
DivaSystem |
キャッチフレーズ |
連結会計業務のスタンダード |
サービス概要 |
≪データ収集から連結処理、レポーティング、決算開示まで連結決算業務の一連の業務をカバー≫ |
向いてる形態 |
BtoB/BtoC |
導入社数 |
約 1100 社 (2020年01月01日時点) |
機能一覧 |
・【データ収集】データベース連携 |
価格 |
・クラウド版 価格はお問合せください |
運営企業 |
|
サービス詳細 |