効率的な連結決算を可能とする「連結会計システム」。グループ会社の会計データの収集や連結処理などを効率化する機能が備わります。連結会計は複雑で、Excelでの管理には限界があります。ここでは、連結会計システムの機能や導入メリット、サービス導入により実現できることを解説します。
連結会計システムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
連結会計システム 4選|比較・選定ポイントとおすすめ「連結会計ソフト」の特徴
連結会計システムとは
連結会計とは、グループ会社を一つにまとめて決算を行うことです。連結決算には複雑かつ膨大な会計処理が必要であり、Excelのような表計算ソフトで対処するには限界があります。そこで用いられるツールが連結会計システム(連結会計ソフト)です。
連結会計システムには、連結決算に必要なデータ収集から連結財務諸表を作成するまで、一連の業務を効率化する機能が備わります。システム活用により、連結決算のネックとなる財務データの整合性チェックや、連結修正仕訳などの手間を軽減できます。
連結決算は親会社と子会社の双方に負担のかかる業務です。連結会計システムは連結決算の業務負担を軽減し、引いては多数のメリットをグループ企業全体にもたらします。
連結会計システムで実現できること
連結会計システムで実現できることを以下にまとめました。主要機能とともに見ていきましょう。
データ収集を効率化
連結会計システムには、連結決算に必要なデータ収集を効率化する機能が備わります。多くのシステムには複数のデータ収集方法が用意されており、子会社の業務環境に適したものを利用できます。
- 子会社の個別会計システムとデータ連携
- 子会社のERPとデータ連携
- 会計ソフトのデータをインポート
- Excel・CSVデータをインポート
- システムに直接データ入力
- 収集したデータの整合性をチェック
- データ収集の進捗をシステムで管理
データ変換を効率化
連結決算には独自の勘定科目が用いられます。このため、子会社から集めた会計データはそのままでは利用できません。連結会計システムには、子会社の会計データを連結決算用の勘定科目体系へと組み替える機能が備わります。
- データ変換マスタを登録
- 子会社の会計データを自動または手動で組み替え
- 海外子会社の会計データを自動で為替換算
連結修正仕訳を効率化
連結決算では、内部取引の相殺や未実現損益の消去などの連結修正仕訳を行い、グループ企業全体の財務状況を計上します。手作業では負担の大きい連結修正仕訳も、連結会計システムを利用すればわずかな手間で完了できます。
- 内部取引を自動または手動で消し込み
- 未実現損益消去を自動または手動で処理
- 資本連結を自動または手動で処理
帳票作成・決算開示を効率化
連結会計システムには、連結財務諸表の作成と決算開示を効率化する機能が備わります。
- 会計基準に準拠した連結財務諸表を自動作成(PL・BS・CF・SS)
- 決算開示データを自動作成
- 決算開示システムとデータ連携
連結会計システムの導入で得られる効果・メリット
連結会計システムの導入により、次の効果・メリットが期待できます。
業務効率化・ミス削減
連結決算は複雑で作業量も多いため、多くの労力を費やすうえ、人的ミスも起こりがちな業務です。連結会計システム導入後は、決算業務全体が効率化され、データチェックや子会社への確認に時間を割けるようになります。また、自動チェック機能によりミスの発見精度が向上します。
業務効率化による人件費削減
連結決算は作業日数のかかる業務です。Excelファイルで決算情報をまとめる環境では、子会社からのデータ収集だけで多くの時間を要することもあります。連結会計システムを導入すれば、連結決算の作業時間が短縮されて人件費削減につながります。
決算業務の属人化を解消
連結決算は属人化しやすい業務です。Excelでの管理では、関数やリンクでシートが複雑化してしまい、シート作成者でなければデータ項目の変更やフォーム修正ができないといったことも往々にしてあります。
システム導入後はデータ入力や項目変更などの方法が標準化され、属人的な作業が排除されます。また、複数人で同時に会計作業を分担できるようになり、会計担当者の負担が大きく軽減されます。
連結会計システムの機能一覧
連結会計システムの主要機能を以下に整理しました。ただし、搭載されている機能は各社で異なるため、事前に確認してください。
機能 |
特徴 |
---|---|
データ収集機能 |
・個別会計システムからデータインポート ・子会社のERPからデータインポート ・子会社の会計ソフトからデータインポート ・Excelファイルをインポート ・CSVファイルをインポート ・子会社用画面から直接データ入力 ・データの異常値を自動チェック ・データ承認フローを設定 ・データ収集進捗を管理 |
連結処理機能 |
・連結処理マスタを登録 ・会計データを連結科目に組み替え ・会計データを合算 ・内部取引を相殺(自動・手動) ・未実現損益を消去(自動・手動) ・資本連結を処理(自動・手動) ・のれん償却を処理(自動・手動) ・外貨で計上されたデータを為替換算 |
帳票作成機能 |
・連結貸借対照表を作成 ・連結損益計算書を作成 ・連結キャッシュフロー計算書を作成 ・連結株主資本等変動計算書を作成 |
開示補助機能 |
・決済開示用データを作成 ・開示システムと連携 |
レポート作成機能 |
・ユーザーによるレポート設計が可能 ・各種分析レポートを作成 ・監査用レポートを作成 |
連結会計システムで業務を改善しよう
連結決算業務の効率化と、それにともなう人的ミス削減、コスト削減、属人化解消など、連結会計システムは多数の導入メリットを持つツールです。ただし、グループ企業全体に影響のあるツールでもあるため、サービス選定は慎重に行うことが必要です。機能やサポート体制などを比較して、自社グループに適するサービスを選ぶことが肝要です。
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