在庫管理の効率化に役立つ「在庫管理システム」。商品の入出庫管理や棚卸など日々の業務負荷を軽減し、ミスのない運用を実現する上で必須となりつつあるツールです。ここでは、在庫管理システムの機能や導入メリット、サービス導入で実現できることを解説します。
在庫管理システムの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
在庫管理システム 7選|比較・選定ポイントとおすすめ「商品管理システム」の特徴
在庫管理システムとは
在庫管理システムとは、資材や商品の在庫管理に特化したシステムです。効率的な在庫管理を実現する機能が備わっており、商品管理システムとも呼ばれます。
在庫管理システムの特徴に、実在庫(物理在庫)を管理できる点が挙げられます。販売管理システムや生産管理システムなどにも在庫管理機能は備わっていますが、その多くは帳簿在庫の管理、すなわち理論上の在庫管理しかできません。これに対して、在庫管理システムは現物に基づいた在庫管理を可能とします。
自社の資産を把握し、ビジネスをコントロールするには、実在庫を正しく管理することが肝要です。在庫管理システムは正確で効率のよい実在庫管理を実現し、引いては多数のメリットを企業にもたらします。
在庫管理システムで実現できること
在庫管理システムの導入により実現できることは、次の4つです。代表的な機能とともに見ていきましょう。
正確な実在庫管理を実現
在庫管理システムに備わったバーコードやQRコードの機能により、実数に基づく在庫管理を効率的に行えます。主に、以下のような機能が提供されています。
- システムにマスタデータを登録
- 資材・商品のバーコードやQRコードで在庫数を管理
- 管理用バーコード・QRコードの発行も可能
- 棚番管理もバーコード・QRコードで行える
入出庫管理を効率化
在庫管理システムの導入により、入出庫時の情報入力を効率化できます。ハンディターミナルを活用して、迅速かつ正確な情報入力を行えるようになります。
- バーコード・QRコード付きの入出庫予定表を発行
- ハンディターミナルで入出庫情報を記録
- スマートフォンによる入出庫記録も可能(一部サービス)
在庫情報の共有を効率化
在庫管理システムには、自社の在庫情報が蓄積されます。サービス導入後はシステムにアクセスするだけで、資材や商品に関する情報をチェックできるようになります。
- 複数拠点の在庫情報をシステムで確認できる
- 在庫数のほかロットや賞味期限、入出庫履歴などを確認可能
- キーワードや条件を指定して情報検索できる
- クラウド型サービスなら社外での情報確認も簡単
在庫分析の精度向上
在庫管理システムの導入により、在庫分析の精度を向上することができます。システムに蓄積されたデータを使い、在庫高や出荷頻度などを分析できます。
- 履歴データをCSVファイルでエクスポート
- ExcelやBIツールでデータ分析できる
- 在庫管理システム上でのデータ分析も可能(一部サービス)
在庫管理システムの導入で得られる効果
在庫管理システムを導入することで、次のような効果・メリットが期待できます。
入出荷作業のミスを防止
紙の台帳で在庫管理する環境では、入荷時の台帳への記入漏れや誤記入、読みにくい字で書いてしまうといったミスが生じがちです。また、台帳をExcelに転記する際に入力ミスが起こる場合もあり、出庫作業では商品の取り間違いに注意しなければなりません。
在庫管理システムの導入により、ヒューマンエラーを防止することが可能です。また、ピッキング時に出庫品を読み間違えると端末にエラー表示が出るため、誤出荷を未然に防げます。
業務負担軽減と人件費削減
在庫管理システムを導入することで、これまで手作業で行ってきた多くの業務を削減でき、業務時間の短縮および人件費削減につなげられます。システム導入により、どのような業務の負担を抑えられるのか、具体的な例を見てみましょう。
- ロケーション管理機能により商品探しの時間を短縮できる(ピッキング)
- 情報入力に要する時間を短縮できる(入出庫・棚卸)
- 在庫問い合わせの手間と時間を削減できる(販売・受発注・営業)
- Excelへの情報入力が不要になる(生産・物流・営業)
上記のように、在庫管理システムは多様な業務の負担を軽減させ、自社の労働環境改善にも役立ちます。
情報集約による意思決定スピード向上
在庫管理システムに集約される情報を分析することにより、在庫回転率や需要予測など、経営判断に役立つデータを取得できます。
取扱商品に関する経営判断を行うには、ABC分析や交差比率分析などを用いて、利益が出やすい商品と出にくい商品、需要動向などを把握することが肝要です。とはいうものの、紙の台帳を使う環境ではリアルタイムでの情報取得ができず、どうしても意思決定スピードが鈍ってしまいます。
在庫管理システムを導入すれば、リアルタイムの在庫情報をいつでも分析できるようになります。情報分析はExcelでも可能ですが、取扱商品や資材の点数が多い場合は、BIツールを使ったほうがよいでしょう。また、分析機能を備える在庫管理システムであれば、外部エクスポートなしでスピーディな情報分析ができます。
在庫管理システムの機能一覧
在庫管理システムの機能を以下にまとめました。搭載されている機能は各社で異なるので、事前によく確認してください。
機能 |
特徴 |
---|---|
マスタ管理機能 |
・商品マスタを登録管理 ・従業員マスタを登録管理 ・仕入先マスタを登録管理 ・発注点を登録管理 ・セット品情報を登録管理 ・保管場所情報を登録管理 ・在庫区分を登録管理 ・各種情報を外部システムからインポート |
入出庫管理機能 |
・入出庫予定をシステムに登録 ・入庫予定表を発行(紙・デジタル) ・ピッキングリストを発行(紙・デジタル) ・バーコード、QRコードで情報管理 ・ハンディターミナル、スマートフォンで情報入力(入出庫登録、検品登録など) ・コードの読み間違いをエラー表示 ・管理用のバーコード、QRコードを発行(入庫時) ・Excel、CSVファイルで入出庫情報を一括登録 |
在庫一覧機能 |
・複数倉庫の在庫情報を一元管理 ・ロット別に情報管理 ・在庫の有効期限を管理(賞味期限、品質保証期限などを管理) ・棚卸登録(バーコード、QRコードで棚卸登録) ・倉庫間移動情報を管理 ・在庫不足を通知 |
情報共有・検索機能 |
・在庫情報をシステムで閲覧 ・データ変更履歴を閲覧 ・条件やキーワードで情報検索 ・クラウド環境で情報共有(クラウド型サービスの機能) |
外部連携機能 |
・ECカートと連携 ・POSシステムと連携 ・受発注システムと連携 ・販売管理システムと連携 ・生産管理システムと連携 ・会計システムと連携 ・BIツールと連携 ・CSVファイルをエクスポート |
分析機能 |
・ABC分析(重点分析) ・在庫高を分析 ・出荷頻度を分析 ・在庫回転率を分析 ※分析機能は一部サービスで利用可能 |
在庫管理システムを業務に活用しよう
業務効率化や作業ミスの防止、意思決定スピード向上など、在庫管理システム導入で得られるメリットは多岐にわたります。これらの利点を持つ在庫管理システムは、在庫管理だけでなく経営改善にも役立つサービスといえます。ただし、サービス選定には注意しなければなりません。機能やコストなどを比較して、自社に適するサービスを選ぶことが肝要です。
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