ECサイトや通販の利用者に一定のニーズがある後払い決済を効率的に導入できる「後払い決済サービス」。近年は同種のサービスが多数登場しており、EC・通販事業者にとっての選択肢が増えています。ここでは、後払い決済サービスの選定ポイントや利用時の注意点を解説します。

また、導入実績の多い代表的な後払い決済サービスをご紹介します。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。

後払い決済サービスの比較方法・選び方

後払い決済サービスを選ぶときのポイント

後払い決済サービスを選ぶときのポイント

 

後払い決済サービスの利用を検討する際は、以下の点をしっかり確認しましょう。

 

■利用限度額は十分か

後払い決済サービスの選定において、まず確認したいのが与信枠、すなわち顧客1人あたりが累計で利用できる限度額です。自社の取扱商品の販売価格を考慮して、十分な利用限度額が設定されている後払い決済サービスを選定しましょう。

 

大半の後払い決済サービスの利用限度額は、10%の消費税込みで55,000円です。ただし昨今は、限度額を最大30万円とするサービスや、上限額を設けず利用者ごとに審査で限度額を決定するサービスなどが登場しています。高額商品を扱うECサイトや通販では、こうした利用限度額の大きい後払い決済サービスを選んだほうがよいでしょう。

 

■代金支払方法は豊富か

購入者が後払い決済を利用する場合の代金支払方法は多種類ありますが、どの方法を使えるかはサービスにより異なります。自社の顧客にとっての利便性を考慮して、対応する支払方法があるサービスを選定しましょう。後払い決済サービスの主な代金支払方法には、次の6つが挙げられます。

 

  • コンビニ払い
  • 銀行振込(ネットバンキング含む)
  • 郵便局払い
  • クレジットカード決済
  • LINE Pay 請求書払い
  • FamiPay

 

上記のほか、昨今は「PayB」や「ゆうちょPay」などスマホアプリを使った銀行決済に対応する後払い決済サービスも増えています。こうしたトレンドも考慮して、サービス選定を進めてください。

 

■与信審査はスピーディに行われるか

後払い決済サービスの利便性を左右する要素に、与信審査のスピードが挙げられます。商品受注から発送までを素早く行えるように、なるべくスピーディに審査が完了するサービスを選びましょう。

 

通常であれば、後払い決済サービスの審査は自動で行われ、注文情報登録から数秒〜数分で結果が出ます。ただし、決済金額が大きい場合や顧客の信用情報に問題がある場合など、イレギュラーなケースでは手動審査が行われるため、結果回答までに時間を要します。こうしたケースを想定して、サービス選定では次の2点をチェックしてください。

 

  • 手動審査の対応時間帯
  • 手動審査の結果回答に要する時間

 

手動審査の対応時間帯が幅広く、結果回答が素早い後払い決済サービスを選ぶことにより、上記のイレギュラーなケースにもスピーディに対応しやすくなります。

 

■既存のシステムとの連携は可能か

EC事業者が後払い決済サービスを選ぶ際に、必ずチェックしたいのが外部システムとの連携性です。自社で利用中のECカートや受注管理システムなどと連携できるサービスを選ぶことにより、注文情報の登録や出荷報告(配送伝票番号の登録)などの業務を自動化できます。

 

後払い決済サービスと外部システムとの連携方法には、CSVファイルの入出力とAPI連携があります。これらのうち、業務の自動化に必要となるのはAPI連携です。自社システムとAPI連携できる後払い決済サービスを選ぶことにより、業務負荷を抑えた後払い決済の導入が可能となります。

 

■利用コストは適切か

後払い決済サービスの利用では、自社にとって適切な料金が設定されたサービスの選定が重要になります。具体的には次の3点をチェックして、費用対効果の高い運用ができるサービスを選び出しましょう。

 

  • 月額基本料と決済手数料率
  • 請求書発行料金
  • オプション料金(導入費と月額料金)

 

多くの後払い決済サービスでは複数の料金プランを用意しており、月額基本料金の高いプランほど決済手数料率が低い傾向があります。決済手数料率は各サービスで0.1〜0.2%ほどしか変わりませんが、取引額が大きくなれば手数料の差も大きく膨らむので要注意です。こうした点を考慮して、無理なく運用できるサービスを選定しましょう。

 

なお、高額な後払い決済(税込55,001円以上の決済)が可能なサービスでは、取引額に応じて利用料金が設定されます。こちらのタイプの料金を確認したい場合は、サービス提供元へ問い合わせを行ってください。

課題・ニーズ別に見た後払い決済サービスの向き・不向きの傾向

課題・ニーズ別に見た後払い決済サービスの向き・不向きの傾向

 

自社の課題や要望によって、利用に適する後払い決済サービスは変わります。次の表を参考にして、自社に向く後払い決済サービスのタイプを検討してください。

 

課題・要望

向き・不向きの傾向

年配の顧客が多い / 顧客が安心して利用できるサービスを導入したい

・自社のロゴを入れられるなどオリジナルデザインの請求書を発行できるサービスは、安心感の醸成に役立つ

・請求書を商品に同梱できるサービスは、安心感につながりやすい傾向がある

・与信審査に時間がかかりすぎる場合、顧客が不安になることがあるため注意が必要

注文キャンセルの発生を抑えたい / キャンセル発生時の負担を抑えたい

・支払期限の延長が可能なサービスはキャンセル抑止に役立つ

・注文キャンセル料が無料のサービスは負担の軽減につながる

セキュリティ性の高いサービスを利用したい

・SSL暗号化通信を導入しているサービスや、外部機関のセキュリティ認証(プライバシーマーク・ICMS認証など)を取得しているサービスが適している

若い顧客層が便利に使えるサービスを探している

・分割での後払い決済が可能なサービスが便利

・LINE Pay請求書払いやPbayなどのスマホアプリでの決済が可能なサービスは若年層のニーズが高い

後払い決済サービスの利用時に注意すべき点

後払い決済サービスの利用時に注意すべき点

 

後払い決済サービスの多くは、入金サイクル(代金立替払いのサイクル)を複数パターン用意しています。入金サイクルを早めれば自社の資金繰りが楽になりますが、そのぶん業務負荷が高まるので要注意です。

 

後払い決済サービスの入金サイクルには月末1回払い、隔週払い、毎週払いなどがあり、自社に都合のよいパターンを選ぶことが可能です。月間の入金回数を減らせば入金処理の回数が減り、業務負荷と人件費を抑えられます。入金管理に割く人員やコストに余裕のない中小企業では、特に入金サイクルと業務負荷のバランスに気を配りましょう。

 

なお、多くの後払い決済サービスでは、月ごとに入金サイクルを変更できるようになっています。資金繰りの厳しい時期や繁忙期などに合わせて、入金頻度をコントロールすることが可能です。

後払い決済サービスの利用準備を進めよう

後払い決済サービスの選定では、各サービスの利用限度額や代金支払方法、利用コストなどをチェックしてください。与信審査のスピードや既存のシステムとの連携性も確認して、自社のECサイトや通販に適するサービスを選び出しましょう。サービス利用に際しては、入金サイクルと業務負荷のバランスに注意することも大切です。以上を踏まえて、具体的なサービス選定へ進んでください。

後払い決済サービス 6選

1.atone

(参照元:https://atone.be/business/ec/)

サービス名

atone

キャッチフレーズ

カードがいらない やさしい後払い決済

サービス概要

ネット・実店舗で使える業界No.1カンパニーのコンビニ後払い。
【特徴・メリット】
EC通販事業者
・顧客のカゴ落ちを防ぎ、新規顧客を獲得
・翌月払い、ポイント還元で継続率を向上
・決済手数料は1.9%から。加盟店のリスクはゼロ
実店舗
・キャッシュレス店舗を実現
・新しい購買機会の創出
・ECでの後払い利用ユーザーの新規獲得
・業界最低水準の決済手数料 2.4%

(参照元:株式会社ネットプロテクションズHP)

向いてる形態

BtoC

価格

・価格はお問合せください

運営企業

株式会社ネットプロテクションズ

サービス詳細

atoneの詳細を見る

 

2.NP後払い

(参照元:https://www.netprotections.com/lp/atobarai5/)

サービス名

NP後払い

キャッチフレーズ

「コンビニ後払い」で、新規顧客を獲得!

サービス概要

ネットプロテクションズが提供する、未回収リスクを100%保証し、
全国のコンビニ・銀行・郵便局でお支払い可能な「後払い決済」サービスです。
【メリット】
・未回収リスクを100%保証!
・スマートフォンユーザーの獲得増加!
・業務負荷を軽減!
・キャッシュフロー改善!

(参照元:株式会社ネットプロテクションズHP)

向いてる形態

BtoC

価格

・価格はお問合せください

運営企業

株式会社ネットプロテクションズ

サービス詳細

NP後払いの詳細を見る

 

3.後払いドットコム

(参照元:https://www.ato-barai.com/)

サービス名

後払いドットコム

キャッチフレーズ

後払いはスマホでキャッシュレスが常識に!

サービス概要

「後払いドットコム」は、カゴ落ち・未払いリスク・入金確認・最速業務といった店舗様のお悩みを解決します。
【特長】
・売上アップ:購入者様の安心・便利のニーズを満たし、新規顧客獲得・顧客満足度向上により、売上アップを実現。
・未払いリスクを100%保証:店舗様の未払いリスクはゼロ。立替え先払いにより資金繰りを改善。
・請求業務一切不要:煩雑な請求業務は、すべて「後払いドットコム」が代行。
・親切丁寧サポート:土日祝日も電話とメールでしっかりサポート。さらに、通販事業に特化したスクロールグループのノウハウを生かし、店舗様をトータルサポート。
(参照元:株式会社キャッチボールHP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

価格

・0円 / 初期導入費用
・リスクフリー  0円 / 月額
・スタンダード  4,500円 / 月額(税抜)
・エキスパート  18,000円 / 月額(税抜)
・スペシャル  45,000円 / 月額(税抜)

運営企業

株式会社キャッチボール

サービス詳細

後払いドットコムの詳細を見る

 

4.Paidy

(参照元:https://paidy.com/payments/)

サービス名

Paidy

キャッチフレーズ

欲しい、を今すぐ。したい、も今すぐ。

サービス概要

いま買いたい、かなえます。
【できること】
・メアドと携帯番号だけでOK
・お支払いはまとめて翌月
・ペイディプラスでもっと便利に
(参照元:株式会社Paidyホームページ)

向いてる形態

BtoB/BtoC

価格

・価格はお問合せください

運営企業

株式会社Paidy

サービス詳細

Paidyの詳細を見る

 

5.スマートピット

(参照元:https://www.smartpit.jp/index.html)

サービス名

スマートピット

キャッチフレーズ

安心、便利なコンビニ決済スマートピット

サービス概要

スマートピットとは、払込票を発行せずに決済ができるコンビニ収納代行サービスです。
スマートピットポータルサイトや、スマートピットWebサイトから無料でダウンロードできるスマートピットシートに記載されたスマートピット番号を使って、スムーズに決済できます。
【スマートピット独自のメリット】
・全国のコンビニが支払い窓口に!
・リアルタイムで収納状況がわかる!
・請求書が発行不要でコスト削減を実現!
・個人情報不要なので漏洩の心配なし!
(参照元:エヌ・ティ・ティ・インターネット株式会社HP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

価格

・価格はお問合せください

運営企業

エヌ・ティ・ティ・インターネット株式会社

サービス詳細

スマートピットの詳細を見る

 

6.PayPal

(参照元:https://www.paypal.com/jp/webapps/mpp/home)

サービス名

PayPal

キャッチフレーズ

オンライン決済も、 送金もスマートに。

サービス概要

オンラインでのお買い物も、友達とのお金のやりとりも、ビジネス上の決済も、これからはスマホひとつでいつでもできる。
【メリット】
・支払い情報は相手に伝えない
・カードまたは銀行口座でお支払い
・カードのポイントはそのまま貯まる
・おトクな手数料
・海外通販でおトクにショッピング
・お支払いはワンタッチ™
(参照元:PayPal Pte. Ltd.ホームページ)

向いてる形態

BtoB/BtoC

運営企業

PayPal Pte. Ltd.

サービス詳細

PayPalの詳細を見る