一定のルールをもとに、ユーザーの好みに合った商品やコンテンツをおすすめするレコメンドエンジン。ECサイトの売上増やWebサイトの閲覧数アップに貢献するツールとして、導入が進んでいます。ここでは、レコメンドエンジンで実現できることや機能一覧、導入のメリットを説明します。
レコメンドエンジンの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。
レコメンドエンジン10選|選定ポイントと導入実績豊富なレコメンドエンジンの特徴や活用事例
レコメンドエンジンとは
レコメンドは「推薦する」という意味を持つ言葉で、おすすめの商品やコンテンツなどを提示することをレコメンデーションといいます。レコメンドエンジンとは、ECサイトや情報ポータルサイトなどにおいて、レコメンドを表示するツールのことです。
Webサイトでよく見かける「あなたにおすすめのアイテム」「チェックしたアイテムの関連商品」といった情報は、レコメンドエンジンにより表示されています。近年では、AI(人工知能)を活用し、より高度なレコメンドを可能にしたツールも多く提供されています。
レコメンドエンジンでは、ユーザーの行動履歴などからおすすめの情報を提示する基本機能にくわえ、リマインド機能やメール配信、データ管理、効果レポートなどが付随し、サイト利用者への多角的なアプローチをサポートしてくれます。
レコメンドエンジンで実現できること
レコメンドエンジンの導入により、次の5つの施策を実現できます。
利用者のニーズに合わせたレコメンド
レコメンドエンジンの基本機能として、利用者の好みや関心に合わせた商品・コンテンツの提案を実現できます。レコメンドの仕組みにはさまざまなものがありますが、代表的な機能は以下のとおりです。
- ユーザーベースレコメンド:利用者の行動履歴をもとに、類似する行動パターンを持つユーザーがよく見ているアイテムを表示する
- アイテムベースレコメンド:利用者の購買履歴をもとに、類似する購入履歴を持つユーザーがよく買っているアイテムを表示する
- テキストマイニングレコメンド:利用者が閲覧中の商品名・説明文をもとに、おすすめアイテムを表示する
- ルールベースレコメンド:サイト運営者が一定のルールを定め、関連するアイテムを表示する
- パーソナライズドレコメンド:利用者の嗜好性を分析し、そのユーザーに最適なアイテムを表示する
利用者の興味を引くランキング表示
レコメンドエンジンを活用すれば、ユーザーの興味を引きつけるランキング情報を表示できます。
- 売れ筋ランキング
- 閲覧ランキング
レコメンドメールやリマインド機能で機会損失を防止
レコメンドエンジンには、機会損失を防ぐための機能が備わっています。とくにECサイトでは、継続的な利用を促すうえで、個々に合った情報を届けることは有効な方法です。一斉配信するメルマガよりも、効果的なアプローチが可能になります。
- レコメンド情報を含んだターゲティングメールを配信
- 新着のアイテムやコンテンツなどをメールで配信
- PUSH通知で消耗品の再購入を促す
- カートインしている未購入商品をメールでお知らせ
- 最近チェックした商品をお知らせ
レコメンドの効果をレポート
レコメンデーションは、一度実施すれば終わりではなく、効果測定をしながら改善を繰り返す必要があります。レコメンドエンジンでは、レコメンドのもとになるデータベースを蓄積して分析や施策に生かすことができます。レポート機能を活用すれば、実施した施策の効果測定が容易です。測定できる数値は、提供ツールによって異なります。レポート結果から、サイト利用者をセグメンテーションすることも可能です。
- CV率・クリック率:経由別(レコメンド経由・非経由)、アイテム別、表示場所別などさまざまな角度からレポート
- 購入単価:利用者の購入単価をレポート
- 閲覧URLや使用デバイス、訪問回数などをもとに利用者をセグメンテーション
レコメンドエンジンの導入で得られる効果
レコメンドによる売上拡大
レコメンドエンジンの導入効果のうち、代表的なものが売上の拡大です。ECサイトでは、商品が多くなるほどユーザーが気に入るものを見つけ出すのは難しくなりますが、レコメンドエンジンを活用すれば、マッチする商品を見つけやすくなりCVRの向上が期待できます。また、ユーザーが興味・関心を示す商品を表示することで、クロスセルやアップセルによる売上増も見込めます。
情報サイトの場合は、ユーザーのニーズに即した情報をおすすめすることで、サイト回遊率や滞在時間の向上につながり、結果としてサイト全体の成長に役立ちます。
顧客体験の向上
ユーザーは自分が求める情報を提供されることで、満足を感じやすくなります。レコメンドエンジンは、ユーザーに合わせた情報の提示により顧客体験の向上を図ります。サイトへの信頼や愛着を醸成できれば、リピート率の向上につながります。
サイトの分析と改善を効率化
レコメンドエンジンは、導入してからがスタートです。結果を検証して改善施策を投じるPDCAを回すことで、効果を得ることができます。
そこで役立つのが、レコメンドエンジンに備わるレポート機能です。レポート機能を活用すれば、効果のあった施策やアイテム別のCV率、損失した販売機会などを細かく分析できます。
レコメンドエンジンの機能一覧
レコメンドエンジンの主な機能をまとめました。
機能 |
特徴 |
---|---|
レコメンド機能 |
●協調フィルタリング ・ユーザーベース:行動履歴・閲覧履歴をもとに、おすすめ商品を提案 ・アイテムベース:購買履歴(あるいは閲覧中の商品)をもとに、おすすめ商品を提案 ●パーソナライズドレコメンド サイト利用者の嗜好性を分析し、おすすめ商品を提案 ●テキストマイニングレコメンド 閲覧中の商品名・テキストから、おすすめ商品を提案 ●ルールベースレコメンド 運営者の定めたルールをもとに、おすすめ商品を提案 |
ランキング機能 |
・アクセスランキングを表示 ・人気ランキングを表示 ・カテゴリ別ランキングを表示 |
クーポン機能 |
・サイト上へのクーポン表示やPUSH配信 |
リマインド機能 |
・カートインしている未購入商品を通知 ・消耗品の再購入時期を通知 ・最近チェックした商品を表示 ※通知はポップアップ、メール、PUSH通知などで行う |
メール送信機能 |
・各種レコメンドメールを送信 ・各種ランキングをメールで紹介 ・新着アイテムや再入荷、値下げアイテムなどをメールで通知 ・ピックアップ商品をメールで紹介 |
テスト機能 |
・ABテスト(複数商品をレコメンドして成果を確認できる) |
レポート機能 |
・CV率・クリック率をレポート(レコメンド経由・非経由、アイテム別、表示場所別など) ・購入単価をレポート ・ロングテール分析 ・販売機会損失分析 |
顧客管理 |
・各種デバイスより得た顧客情報を統合 ・各種データ(閲覧ページ、利用デバイス、訪問回数など)に基づき顧客をセグメンテーション ・収集したデータに基づき顧客をスコアリング |
機能は提供サービスによって異なります。導入を検討する際は、事前に確認してください。
レコメンドエンジンは自社に適したものを選ぶことが重要
レコメンドエンジンは、サイトの収益拡大やリピーター育成に役立ちます。ただし、提供されているサービスによって、搭載されている機能や充実度は異なるため、事前によく確認する必要があります。自社サイトの状態を見極め、かつ必要とする機能を特定したうえでサービスを選ぶことが肝要です。
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