さまざまなデータの管理・分析・レポーティングを簡便にし、意思決定スピードや精度の向上に役立つBIツール(ビジネスインテリジェンス)。経営判断をはじめ、マーケティングや営業戦略の策定など多くの場面でデータが重視される昨今、注目を集めているツールです。ここでは、BIツールの機能や導入メリットを解説します。

BIツールの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

BIツール 23選|比較・選定ポイントとおすすめ「ビジネスインテリジェンスツール」の特徴や活用事例

BIツールとは

BIツールとは

 

BIツール(ビジネスインテリジェンス)とは、自社に蓄積された膨大なデータを管理・分析・レポーティングし、経営判断に活用するためのツールです。業務システムを横断したデータ収集・分析ができるため、会社経営における課題発見や意思決定スピードの向上に役立ちます。BIツールが活用される場面の例を以下に挙げます。

 

  • 経営分析
  • 財務分析
  • 顧客分析
  • 営業・売上分析
  • 人事データの分析

 

企業では基幹システムやCRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援システム)といったさまざまなシステムが使われ、それぞれのデータが社内に分散しているために活用しきれていないケースが少なくありません。BIツールを活用すれば、企業内に散在するデータが体系的に整理され、さまざまな意思決定に活用できる利用価値の高いデータになります。

 

また、データ分析を行える部署が限定されていると、現場が求める情報と得られる情報とに乖離が起きたり経営判断スピードが低下したりといった問題が生じます。BIツールでは、専門スキルなしでも扱える「セルフサービス型BI」も提供されており、誰もが容易にデータを扱えるという大きな特徴があります。

BIツールで実現できること

BIツールで実現できること

 

BIツールの導入により実現できることは、次の3つです。

社内外のデータを収集・蓄積

BIツールには高度な連携機能が備わっています。社内外の多様なソースからデータを収集・蓄積し、意思決定のための判断材料とすることが可能です。

 

  • 外部システム(ERP・CRMなど)からデータをインポート
  • 外部サービス(クラウド型アプリ・SNSなど)からデータをインポート
  • 各種ファイル(XLS・CSV・TXTなど)をインポート

データの集計・分析・ビジュアライズ

BIツールにインポートしたデータは簡単に集計・分析できます。膨大なデータを扱う場合、プログラミングや関数などの知識が必要となりますが、BIツールがあれば専門スキルがなくても必要な情報を取り出すことが可能です。また、データのビジュアライズ機能が搭載されており、分析結果を視覚的にわかりやすくすることも効率的に行えます。

 

  • 直感的操作でデータ集計・分析(OLAP分析・データマイニングなど)
  • 分析データをグラフ化
  • 各種レポート(経営指標分析・人件費分析など)を自動作成
  • 任意のファイル形式(PDF・XLSなど)でレポートを出力できる

効率的な情報確認

BIツールに収集した情報はダッシュボード機能でチェックできます。重要なレポートを一覧表示できるため、情報確認の手間がかかりません。レポートには最新データが反映され、数値の重要な変化はアラート機能で通知されます。

 

  • 自動集計したレポートをダッシュボードに表示
  • 表示内容のカスタマイズが可能
  • 大きなデータ変化をアラート表示
  • メール・チャットで最新情報やアラートを通知

BIツールの導入で得られる効果

BIツールの導入で得られる効果

 

BIツールの導入により得られるメリットには次のものがあります。

経営分析を効率化

複数のシステムで業務データを管理する環境では、経営状況の確認や分析に多大な時間を要しがちです。BIツールの導入により、複数の業務システムに蓄積した情報を一元管理できるようになり、経営分析の作業が大幅に効率化されます。

 

とくに「セルフサービスBI」と呼ばれるツールは専門知識がなくても扱えるように設計されており、経営者や現場の社員が自身でデータ分析・レポート作成することが可能になります。

経営課題の発見

BIツールでは高度な分析機能とレポート機能により、業務上の問題を早期発見・検証することが可能です。エクセルとの違いは、分析の多角性です。エクセルでは縦軸・横軸を用いた2軸の分析を行いますが、BIツールではキューブ(立方体)と呼ばれる多次元データベースの構築が可能で、多角的な分析により課題を特定することができます。膨大かつ多種類のデータの中から関連性を見出し、スピーディな課題分析を実現します。

データ分析業務のコスト削減

各システムから必要な情報を取り出し、表計算ソフトで集計して分析するといった作業は短時間では完了しません。データ抽出を情報システム部門に一任している場合は、部署間の連携にも手間がかかります。こうした手間暇はコスト増加の要因であり、できる限り削減したいところです。

 

BIツールを活用すれば、各種作業の手間と時間が削減され、コストダウンにつながります。また、情報システム部門以外でのデータ分析も可能になります。

BIツールの機能一覧

BIツールの機能一覧

 

BIツールの基本機能を表にまとめました。

 

機能

特徴

データインポート機能

・業務システム(ERP・SFA・CRMなど)のデータをインポート

・各種データファイル(XLS・CVS・TXTなど)をインポート

・クラウド型アプリ(クラウドストレージ・グループウェアなど)のデータをインポート

・IoTのデータをインポート

・SNSのデータをインポート

・運用型広告のデータをインポート

データ分析機能

・OLAP分析(問題の要因を分析)

・データマイニング(データの関連性・法則を分析)

・プランニング(予算編成や計画の根拠となる情報を調査)

・簡易操作でデータ分析を実行(セルフサービスBIの機能)

レポート作成機能

・分析データからレポートを作成

・グラフィカルなレポートを作成可能

・簡易操作でのレポート自動作成が可能(セルフサービスBIの機能)


 

ダッシュボード機能

・各種レポートを画面に表示

・ダッシュボードから詳細情報へアクセスできる

・任意のレポートを表示可能

・レイアウトのアレンジが可能

アウトプット機能

・任意のファイル形式(XLS・PDFなど)で情報を出力

アラート・通知機能

・データが閾値に達した場合にアラート表示

・アラートをメールやチャットで通知

・重要なデータ変化をAIが判断して通知

※通知機能の充実度はツールにより大きく異なる

BIツールはメリットの多いサービス

BIツールの導入により、業務データの分析を大幅に効率化できます。スピーディなデータ分析が可能となり、結果的に経営分析や意思決定も素早く行えるようになります。データ分析のコストを削減できることも、BIツールの導入メリットです。以上のようにメリットの多いBIツールですが、サービス選定は慎重に行いましょう。ツールの導入目的を明確化した上で、自社に適するサービスを選ぶことが肝要です。

 

BIツールの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

BIツール 23選|比較・選定ポイントとおすすめ「ビジネスインテリジェンスツール」の特徴や活用事例