労働力人口の減少が深刻化するなか、自社のノンコア業務を外部に委託するBPOサービス(BPO企業・BPOソリューション)に注目する企業が増えています。BPOはアウトソーシングの手法の1つで、人材不足や業務効率化の課題を解消し、経営資源の有効活用を実現しますここでは、BPOサービスの内容や活用メリットを解説します。

BPOサービスの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

BPOサービス 13選|比較・選定ポイントとおすすめ「BPO企業・BPOソリューション」の特徴や活用事例

BPOサービスとは

BPOサービスとは

 

BPO(Business Process Outsourcing)とは、ビジネスプロセスの一部を外部委託し、自社リソースをコア業務へ集中化させる経営手法です。業務を運営込みでアウトソーシングする手法であり、その実現には専門サービスであるBPOサービスが欠かせません。

 

BPOサービスの役割は、委託された業務の運営全般です。業務の遂行だけでなく、業務設計や人材採用、業務改善などもBPOサービスが担います。

 

BPOサービスは間接業務の外部委託に用いられることが一般的です。具体的には人事や経理などの事務系業務、受発注業務、コールセンターなどが主な委託対象となります。

 

上記業務のほか、Webサイト運用やマーケティングなど、専門性の高い業務を委託することも可能。自社の都合に合わせて、多様な業務をアウトソーシングできます。

BPOサービスの内容

BPOサービスの内容

 

BPOサービスではどのような内容が提供されているのか、具体的に見ていきましょう。

業務体制の改変をサポート

BPOの導入には業務体制の改変を要します。BPOサービスでは、ヒアリングや調査などを通じて、新しい業務体制の構築をサポートしてくれます。

 

  • クライアント企業へヒアリングを実施
  • 業務量や問題点などを調査
  • 課題に応じた解決策を提案
  • BPO導入後の業務フローを設計

一部業務を受託・運営

BPOサービスは多様な業務の委託に対応します。定型的な業務を委託できるだけでなく、サービスによってはクリエイティブな業務を委託することも可能。業務の運営形態も複数種類から選択できます。

 

  • 多種多様な業務を委託可能(対応業種はサービスにより異なる)
  • 運営・人材管理・指揮命令を含めて業務を受託
  • クライアント企業に常駐して受託業務を運営(オンサイト型)
  • クライアント企業の外部で受託業務を運営(オフサイト型)
  • 地方・海外拠点での業務運営も可能(ニアショア・オフショア)

運用状況検証と業務改善

BPOサービスでは、業務委託開始後の運用検証や業務改善を任せることができます。自社の意向を運用改善に反映させることも可能です。

 

  • 新業務体制の運用状況を検証
  • クライアント企業へ定期レポートを提出
  • 必要に応じて業務体制を改善
  • クライアント企業からの要望に対応

BPOサービスを活用するメリット

BPOサービスを活用するメリット

 

BPOサービスを活用することで、次のようなメリットを得られます。

リソース集中化による生産性向上

間接業務をBPOサービスへ委託することで、自社リソースをコア業務に集中化できるようになり、生産性向上に役立ちます。

 

労働力人口が減少している昨今、生産性の停滞に悩む企業は少なくありません。人材派遣で人員を補充することも可能ですが、業務管理の手間は省けません。

 

そこで役立つのがBPOサービスです。指揮命令や運営管理込みで業務をアウトソーシングできるため、ノンコア業務の負荷を大幅に削減できます。BPO導入後はコア業務へ人員を再配置することが可能。生産性向上に向けた新体制を構築できます。

業務品質の向上

導入段階で業務の整理や標準化を行うことがBPOサービスの特徴です。アウトソーシングの準備過程において、高度に体系化された形へと業務が再構築されます。

 

自社リソースのみで業務を行う環境では、作業上の問題点が見落とされがちです。日々の業務に手一杯となり、チェック体制の不備や作業の属人化に気付かずにいる企業は多いものです。作業体制の不整備は業務品質低下の要因となるうえ、属人化は社員の病欠や退職による業務停滞を招きます。

 

上記のような状態の部署にBPOサービスを導入すれば、業務の効率化と品質向上を同時に実現できます。現状を詳しく調査した上で業務プロセスの再設計が行われるため、作業の問題点を見落としたまま進むことはありません。加えて、サービス導入後も定期的な運用検証が行われるため、さらなる業務品質向上も期待できます。

業務コストを削減できる

BPOサービスは業務コスト削減に役立ちます。次の3つのメリットを活かして、人件費や設備費などを削減できます。

 

  • 地方・海外拠点の活用により人件費・設備費などを抑制できる
  • 業務の繁閑に合わせて人員を調整できる(固定費を変動費化できる)
  • 採用活動や人材教育のコストを削減できる

 

コールセンターをBPOサービスに委託するケースで考えてみましょう。現在のコールセンターが東京にあるなら、BPO導入時に地方へ拠点を移すことにより、人件費や設備費を削減できます。新拠点とする施設はBPOサービスが用意するため、移管に大きな手間はかかりません。

 

固定費である人件費を変動費化できる点も、BPOサービスの大きなメリットです。自社で雇用する場合の費用を削減でき、かつ繁閑に応じて人員を増減できるようになります。人数調整はベンダーが行うため、人材採用や教育のコストはかかりません。

BPOサービス実施の流れ

BPOサービス実施の流れ

 

BPOサービスは、以下の流れで実施されることが一般的です。

現在の業務調査と分析

BPOサービスへ業務委託を依頼すると、まず現状の業務に関する調査と分析が行われます。業務調査においては、社員へのアンケートが実施されることが一般的です。各社員が回答の時間を持てるように、BPO導入先の部署へ通達しておきましょう。調査と分析が完了したら、業務委託化の可否が判定されます。

新体制構築と業務設計

BPOの導入が決定したら、新しい業務体制の構築および業務の新設計が行われます。クライアント企業とBPOベンダーの担当者間で協議を行い、ユニットビルディングや業務フロー策定、マニュアル作成などを進めます。

新体制の運用開始

新業務体制の構築が完了したら、業務引継ぎを経て新体制の運用が開始されます。オフサイト型で行う業務委託には、委託先施設への自社社員の出向を必要とするケースがあります。

運用検証と改善

BPO導入後は、定期的に運用検証と業務改善が行われます。サービス導入後に新たな課題が生じるケースは少なくありません。定期的な運用見直しにより、より精度の高い業務体制が整っていきます。

BPOサービスを業務改善に活用しよう

BPOサービスは自社の生産性向上やコスト削減に役立ちます。間接業務をはじめとする、多様な業務をベンダーへ委託することが可能。運営込みで業務を委託できるため、コア業務への自社リソースの集中化や人件費削減を実現できます。ただし、BPOサービスの選定は慎重に行いましょう。各ベンダーの特色や対応業務などをチェックした上で、自社に適するBPOサービスを選ぶことが肝要です。

 

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