毎月の給与計算や年末調整は、人事労務の仕事のなかでもとくにマンパワーを要します。その効率化に役立つのが「給与計算アウトソーシング」です。給与明細の発行や住民税の更新など給与計算にまつわる様々なタスクを代行してくれます。記事では、給与計算アウトソーシングのサービス内容と活用するメリット、利用の流れを説明します。

給与計算アウトソーシングの導入を検討している方は以下の記事も参考にしてください。

給与計算アウトソーシング 7選|ランキング・比較ポイントとおすすめ「給与計算委託」の特徴

給与計算アウトソーシングとは

給与計算アウトソーシングとは

 

給与計算アウトソーシングとは、従業員の給与・賞与の計算をはじめとする給与計算業務を請け負う代行サービスです。給与計算代行サービスとも呼ばれています。

給与計算のほか、勤怠管理や労務管理まで幅広くサービスを提供している代行会社もあります。給与計算には専門知識が必要なうえマンパワーもかかるため、専門会社に委託する企業が増えています。

 

以下のようなケースに該当する場合は、給与計算アウトソーシングに適しているといえます。

 

  • 従業員数が多く、給与計算業務の負担が大きい
  • 給与計算の知識・スキルを有する人材が不足している
  • 労働基準法や社会保険の改正・改定への対応に不安がある

給与計算アウトソーシングのサービス内容

給与計算アウトソーシングのサービス内容

 

給与計算業務は、以下のような基礎データを用いて行います。

 

  • 従業員の氏名・住所などの属性情報
  • 従業員の基本給や各種手当
  • 従業員の勤怠データ
  • 社会保険料
  • 住民税

 

給与計算アウトソーシングでは、これらのデータをクライアント企業から入手・登録し、以下のようなサービスを提供しています。

給与計算の代行 

給与計算アウトソーシングの基本サービスは、従業員一人ひとりの毎月の給与計算の代行です。一般的な給与計算業務は、以下のような手順で行います。

 

  1. 勤怠データや各種手当をもとに総支給額を計算
  2. 社会保険料や雇用保険料、税金(所得税・住民税)などの控除額を算出
  3. 総支給額から控除額を差し引き、手取り額を確定
  4. 支給の手続き

 

給与計算アウトソーシングを利用すれば、上記の一連の業務を委託することができます。賃金規定は企業によって異なりますが、給与アウトソーシングでは自社の賃金規定に沿った計算ロジックに基づく給与算出に対応します。

 

また、サービスに以下の業務が含まれる場合もあります。

 

  • 給与明細の発行(明細作成・印刷・封入・郵送)
  • 振込用データ一覧作成
  • 源泉所得税納付書の作成

年末調整の代行

給与計算業務のなかでもとくに手間のかかる年末調整を委託することが可能です。

 

  • 扶養控除申告書の作成・配布
  • 申告書の回収・内容チェック
  • 年末調整の計算
  • 源泉徴収票の作成・明細発行
  • 賃金台帳・源泉徴収簿の作成
  • 法定調書合計表の作成

住民税の管理・更新の代行

給与計算アウトソーシングでは、各市区町村によって異なる住民税の管理や、毎年5月から6月にかけて行われる住民税の更新も委託できます。

 

  • 各市区町村から送付される特別徴収税額通知書の開封・内容確認
  • 特別徴収税額通知書の内容をデータ化
  • 特別徴収税額を従業員別に封入・納品
  • 退職・休職にともなう異動届出書の作成

給与計算アウトソーシングを活用するメリット

給与計算アウトソーシングを活用するメリット

法令・制度改正にスムーズに対応できる

税金・社会保険に関連する法令は毎年のように改定されます。給与担当者はその内容を確認し、適切に対応する必要があります。しかし、専門知識が求められるため、社内の人材だけでキャッチアップするのは難しい場合があります。

 

給与計算アウトソーシングは、人事労務の知識・スキルが豊富なプロが業務を代行してくれるため、法令・制度の改正にもスムーズかつ適切に対処できます。

定型的な業務の効率化・繁忙期の業務負担軽減

給与計算業務は毎月の給与計算にくわえ、年間を通して多種多様なタスクが重なり合いながら発生するため煩雑になりがちです。例えば、住民税の改定時期は夏季賞与の時期と重なり、年末調整は冬季賞与と重なります。

 

給与計算アウトソーシングを利用すれば、給与・賞与計算や年末調整、住民税更新などのルーティンワークを削減できます。繁忙期の業務負担が軽減すれば、戦略的で生産性の高い業務に人的リソースを振り分けることが可能です。

人件費・システム費などのコスト削減

給与計算を自社で行う場合、「人件費」と「システム費」の2つのコストがかかります。人件費には、担当者の給与・賞与のほか、育成コストも含まれます。また、給与計算システムの構築・メンテナンスにはまとまった費用がかかるほか、法改正に対する改修コストが必要になることもあります。

給与計算アウトソーシングは、給与計算業務のノウハウを熟知したプロが実務を行うため、自社で人材を抱えるよりも高い費用対効果が期待できます。くわえて、自社でシステムを用意する必要がないため、トータルコストを削減することが可能です。

給与計算アウトソーシングを利用する流れ

給与計算アウトソーシングを利用する流れ

 

給与計算アウトソーシングは、一般的に以下のような手順で利用します。毎月の給与計算代行の流れを例に、見ていきます。

相談・見積書の確認

代行会社に依頼したい業務内容を相談し、見積書を提出してもらいます。相談や依頼は電話・Webで行えます。代行会社のサービス範囲や料金に含まれる作業内容をしっかり確認しましょう。

必要な資料・データの提供

依頼先が決まったら契約し、給与計算に必要な資料・データを提出します。具体的には以下のようなものです。

 

  • 賃金規定や就業規則
  • 賃金台帳または給与明細一覧表
  • 従業員情報

 

これらをもとに、代行会社はデータ登録作業やシステム改修などの初期設定を行います。

勤怠データの提出・給与計算

代行会社側の体制が整ったら本稼動です。まず、月締めの出退勤データや残業・休暇データなどを提供します。代行会社はそれらをもとに勤怠時間・休暇の集計や社会保険料・税金の計算を行い、給与データを作成します。

納品

給与明細や給与集計表、退職者の源泉徴収票などが納品されます。データ納品または郵送に対応しています。代行会社によっては、各種金融機関への振込や税金納付に対応しているところもあります。

給与計算アウトソーシングで定型業務を効率化しよう

定型的な給与計算業務をアウトソーシングすれば、人的リソースを生産性の高いコア業務に注力させることができます。少子高齢化にともなう人材不足が深刻化する昨今、給与計算アウトソーシングは有効な選択肢といえるでしょう。

 

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