日本より人件費が安い国のエンジニアを活用し、システムやソフトウェアを低コストで開発できる「オフショア開発」。慢性的なIT人材不足を補う方法としてニーズが高まっており、さまざまな特徴を持つオフショア開発会社が参入しています。ここでは、自社に適したオフショア開発会社を比較検討するポイントと利用時の注意点を説明します。

また、導入実績の多い代表的なオフショア開発会社をご紹介します。実際に利用する企業の活用事例も交えながら、サービスの強みや特徴の解説を行います。自社の課題や目的に照らし、適切なサービスを見つけてください。

オフショア開発会社の比較方法・選び方

オフショア開発会社を比較選定する際のポイント

オフショア開発企業を比較選定する際のポイント

 

オフショア開発の最大の特徴・メリットは、低コストで優秀なIT人材を確保できるという点です。オフショア開発会社を比較検討する際もコストメリットに目が向きがちですが、人件費以外にも見極めるべきポイントがあります。とくにチェックしておくべきポイントは以下の4点です。

 

  • 自社案件に類似した領域の開発実績はあるか
  • 自社案件に合った契約形態に対応しているか
  • オフショア開発先の人件費・英語力・技術力の水準
  • セキュリティ面で安心できるか

 

各項目を詳しく見ていきます。

 

■自社案件に類似した領域の開発実績はあるか

オフショア開発会社を選定する際、まずチェックしておきたいのが得意とする分野・領域です。オフショア開発のサービスには以下のような分野があります。

 

<システムやソフトウェアの開発>

  • 業務システムの開発
  • ソフトウェア開発
  • アプリケーション開発
  • ゲーム開発
  • AIやIoTの先進技術を用いたシステム開発

 

<システムの運用・保守>

  • システム監視・稼働管理
  • バックアップ管理
  • バージョンアップ・機能追加
  • サーバー・ネットワーク性能管理
  • システム移行(マイグレーション)
  • セキュリティ管理

 

<データ入力・画像加工>

  • データ入力(申込書・アンケートなど)
  • データプロセッシング(データ照合・抽出・マージなど)
  • 紙の文字情報をスキャンしてデータ化
  • 画像処理・レタッチ
  • HTMLコーディング

 

得意分野や過去に手掛けた案件・取引実績は、オフショア開発会社のホームページで確認できます。自社案件に近い領域の実績が豊富であればノウハウが蓄積されている可能性が高いため、一定以上の水準の品質・スピードが期待できます。

 

■自社案件に合った開発形態に対応しているか

オフショア開発の開発形態には「受託型」と「ラボ型」の2種類に大別されます。それぞれの特徴を以下に整理しました。

 

受託型

依頼内容に応じてシステムなどの開発を請け負う方式

・案件単位で契約する

・受注側には納品責任がある

・基本的に受注側が開発チームをマネジメントするので、自社の管理コストを削減できる

・大幅な仕様変更には対応しにくい(追加費用が必要)

ラボ型

一定期間(半年から数年)、現地エンジニアを自社専属の開発人員として契約する方式 

・優秀なエンジニアやプログラマーを継続的に活用できる

・急な仕様変更や機能追加にも柔軟に対応できる

・契約期間中は最低保証を行う必要があり、案件がない場合でも人件費が発生する

・自社で開発人員のタスク管理をする必要がある

 

両方に対応している開発会社もあれば、ラボ型に特化したところもあるので、選定時は自社に合った開発形態が選べるか確認してください。

 

■オフショア開発先の人件費・英語力・技術力の水準

どの国をオフショア開発先としているかは開発会社によって異なるため、それぞれの国の特徴の違いをチェックしておくことも大切です。

 

一概には言えませんが、国によって人件費の相場や技術力の水準は変わってきます。また、日本語ができる一部のスタッフ(ブリッジSEなど)を除き、オフショア開発では英語でのコミュニケーションが基本となるため英語でのコミュニケーションが可能かどうかも大切な比較ポイントです。

 

日本に人気のオフショア先の特徴を以下にまとめたので、傾向をつかむための参考にしてください。

 

人件費

英語力

技術力・実績

中国

△(地域差あり)

インド

ベトナム

○(高騰傾向)

フィリピン

ミャンマー

 

中国やインドは各国のオフショア開発先としての実績が豊富ですが、最近では、国策としてIT教育に力を入れており親日国としても知られるベトナムの人気が高まっています。 

 

■セキュリティ面で安心できるか

オフショア開発先では機密データも取り扱うため、情報漏えいなどのリスクが懸念されます。オフショア開発会社を選定する際は、以下のようなセキュリティ対策を実施しているか確認することをおすすめします。

 

  • スタッフのセキュリティ管理教育
  • 適切なセキュリティソフトの導入
  • 入退室管理
  • 監視カメラの設置
  • 職場への持ち込み制限
  • ソースや開発資料の一元管理

課題・ニーズ別に見たオフショア開発会社の向き・不向きの傾向

課題・ニーズ別に見たオフショア開発企業の向き・不向きの傾向

 

どのようなオフショア開発会社を選ぶべきかは、自社の課題によっても変わってきます。以下に課題・ニーズ別の向き・不向きの傾向をまとめたので、選定時の参考にしてください。

 

課題・ニーズ

向き・不向きの傾向

オフショア開発先と日本語でコミュニケーションをとりたい

日本語検定資格や日本への留学経験があるスタッフ、またはブリッジとなるSEやPMが在籍するオフショア開発会社がよい

自社にシステム開発のノウハウがない

要件定義からリリースまでワンストップで提供している開発会社であれば、スムーズな進行が期待できる

開発したいシステムの仕様・納期が明確に決まっていて、無駄なコストは抑えたい

依頼内容に沿って納期までにシステムを開発・納品してもらえる受託型のオフショア開発が適している

継続的に開発案件や保守業務が発生するが、対応する人材が足りない

一定期間、人材を確保して自由に使用できるラボ型開発に対応しているオフショア開発企業がおすすめ

仕様を柔軟に変更しながらシステム開発を進めたい

ラボ型に対応しているオフショア開発企業であれば、急な仕様変更にもきめ細かく対応しやすい

大規模な開発案件をスピーディーに進めたい

・多くのエンジニアをアサインできるオフショア開発企業が適している

・製品・サービスの国際規格「ISO9001」の認証を受けた開発企業や、プロジェクトマネジメント力を5段階評価で表す「CMMI」のレベルが高いところであれば一定以上のサービス品質が期待できる

 

ただし、上記は目安となるため、該当しないサービスもあります。事前に各社のサービス内容をしっかりチェックしてください。 

オフショア開発の利用時に注意すべき点

オフショア開発の利用時に注意すべき点

 

オフショア開発を利用する際は、以下の2点に留意しましょう。

 

■説明・指示はわかりやすく明確に

難しい言い回しや専門用語を多用すると、日本語が堪能な現地スタッフやブリッジSEであっても伝わりづらい場合があります。説明に対する認識のズレや理解不足があると、プロジェクトの進行や品質に影響が出る可能性があるため注意が必要です。

 

また、海外の人材には、日本人のように相手の意図を汲み取って対応する姿勢はあまり期待できません。説明はわかりやすい言葉で端的に伝えることを意識しましょう。説明資料には画像を多く用いると、イメージを共有しやすくなります。

 

■こまめに進捗確認をする

オフショア開発では、言葉・文化の違いや時差などの影響によって思わぬトラブルや遅延が発生することがあります。ブリッジSEや現地リーダーと定期的にWebミーティングを実施し、進捗状況やアウトプットの確認を行うことをおすすめします。

最適なオフショア開発企業を見極めよう

一口にオフショア開発と言っても、オフショア開発先の人件費・スキルの水準や得意とする開発領域は異なります。オフショア開発企業を選ぶときは、どのような案件を委託するかを明確化し、求めるスキル・品質のレベルや費用対効果を考えたうえで検討することが大切です。ここで紹介したポイントをふまえ、自社に適したオフショア開発企業を選んでください。

オフショア開発会社 5選「特徴」と「活用事例」

1.ベトナムオフショア開発(株式会社バイタリフィ)

(参照元:https://vietnam-offshore.vitalify.jp/)

サービス名

ベトナムオフショア開発

キャッチフレーズ

ベトナムでのオフショア開発 No1老舗企業

サービス概要

日系オフショア企業のパイオニアとして、ベトナムのホーチミンとハノイにそれぞれの拠点がございます。

弊社では2008年からのオフショア開発のナレッジを元に、仕様の理解を徹底することで安定した品質を担保しています。スマートフォンアプリ開発拠点としては、ベトナムでNo.1の実績を誇っております。

各プロジェクトに日本人マネージャーをアサインしますので、リーズナブルなコストのまま日本国内と変わらないクオリティを実現しています。

価格

・ラボ型開発  価格はお問合せください
・プロジェクト型開発(受託型開発)  価格はお問合せください

運営企業

株式会社バイタリフィ

サービス詳細

ベトナムオフショア開発の詳細を見る

サービス資料

 

導入した企業の声

富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 クラウドプラットフォーム本部 プラットフォーム開発部 竹平 森悟様 セールスマーケティング本部 デジタルソリューション部 前野 粒子様 クラウドプラットフォーム本部 プラットフォーム開発部 ディン トゥイ ズオン様:

導入目的は、以前は国内のシステム開発会社に発注していたが、単価が高く、依頼内容を選別しなければいけないため。ベトナムオフショア開発を活用することで、以前と比べると半分以上のコストが削減できています。

 

2.チーム提案型開発(株式会社Sun Asterisk)

(参照元:https://sun-asterisk.com/service/)

サービス名

チーム提案型開発

キャッチフレーズ

国内外の開発リソースで幅広く対応

サービス概要

中・大規模のアプリ、プラットフォーム開発、インフラ構築まで国内外1,500名を超える開発リソースの連携でスピーディーに対応します。

運営企業

株式会社Sun Asterisk

サービス詳細

チーム提案型開発の詳細を見る

 

導入した企業の声

株式会社モノフル 事業責任者 宇都様 テックリード 渡部様:

導入目的は、新サービスの構想から開発、グロースの支援をしてもらうため。助っ人CTOを活用することで、様々な業界でのコンサルティングや開発経験を元にした「GLPの資産を活用するためのベストなサービス」という提案を得られたのは、非常にありがたかったです。

 

3.スマラボ(株式会社アイディーエス)

(参照元:https://sma-labo.jp/)

サービス名

スマラボ

キャッチフレーズ

日本企業に最適化したラボ型オフショア開発サービス

サービス概要

スマラボは、IT人材不足の日本企業にとって、現実的な選択肢としてのオフショア開発を提供いたします。
弊社は、さまざまなオフショア開発に取り組んだ後、ベトナムに100%子会社を設立。ベトナム人エンジニアと深くコミュニケーションを取りながら、開発を行ってきました。経験に裏付けされたナレッジを活用し、ユーザーニーズに応じた柔軟な開発体制を提案、高品質を担保しています。
また、アカウント対応、コミュニケーション支援、開発計画の策定まで、全サポートを日本人が行うことで「オフショア開発」を意識させない、日本企業にとって最適なソリューションを提供します。

運営企業

株式会社アイディーエス

サービス詳細

スマラボの詳細を見る

サービス資料

 

4.企業のDXを支援する開発サービス「ハイブリッド型サービス」

(参照元:https://hybrid-technologies.co.jp/service/)

サービス名

企業のDXを支援する開発サービス「ハイブリッド型サービス」

キャッチフレーズ

ハイブリッド体制でビジネス変革を伴走

サービス概要

当社は、クライアント企業のビジネス状況に適したデジタル戦略の提案から開発リソースの提供、開発
後のグロースまで伴走し、ビジネス成長に貢献します。

向いてる形態

BtoB/BtoC

導入社数

約 290 社

(2023年02月01日時点)

価格

・価格はお問合せください

運営企業

株式会社ハイブリッドテクノロジーズ

サービス詳細

企業のDXを支援する開発サービス「ハイブリッド型サービス」の詳細を見る

サービス資料

 

5.日商エレクトロニクスベトナム

(参照元:https://www.nissho-vn.com/)

サービス名

日商エレクトロニクスベトナム

キャッチフレーズ

最適なオフショア開発サービスを提供します。

サービス概要

≪日商エレクトロニクスが長年蓄積してきたプロジェクト管理経験及び業務ノウハウをいかして、日本と同等な基準でソフトウエア開発サービスを提供することができます。≫
ソフトウエアプロダクトの開発、保守、アップグレードなどを一貫してサポートする『プロダクトマネージメントサービス』ならびに金融業界を中心とする各種業務システム開発プロジェクトにおいて、オフショア開発サービスを提供しております。
【特徴】
・プロダクト開発&保守の実績。
・日本語対応スキル。
・アーキテクトによるサポート。
(参照元:Nissho Electronics Vietnam Company LimitedHP)

向いてる形態

BtoB/BtoC

価格

・価格はお問合せください

運営企業

Nissho Electronics Vietnam Company Limited

サービス詳細

日商エレクトロニクスベトナムの詳細を見る